産総研、鷹の風圧検知機能をセンサーで実現 飛行機の最適な姿勢制御なるか

2018年2月7日 17:29

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開発したセンサーフィルムの外観(左)と車のフロントガラス上での風圧分布計測の様子(右)(写真:産総研の発表資料より)

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 産総研は6日、風圧の分布を高密度に計測できるセンサーフィルムを開発したと発表した。

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 鷹やハヤブサなどの鳥類は、翼の羽根1本1本を使って風を面状に受け、風圧の分布や流入角度を捉えることで飛行に最適な姿勢を選択する。

 飛行機が乱気流に突入した時の揺れは誰もが遭遇する不安な体験だ。揺れが大きな時には、シートベルトなしでは怪我を伴うこともある。こうした乱気流の中でも安定した飛行体勢を維持するために、鷹の持つ優れた機能の元となる羽根を模倣するという。

 羽根の模倣での課題は、風圧や風速を多点で計測することだ。

●風圧検知センサーの特長

 今回開発したセンサーは、樹脂フィルムを切り紙細工のように加工して風圧に応じた動きを示す可動構造をフィルム面内に数多く形成。その動きを高感度ひずみセンサーで検知して風圧の分布を取得した。

 樹脂フィルムをデバイスの基板として用いると同時に、風圧を検知するセンサー機能の一部として利用。

 このような基板の活用方法はガラスやシリコンウエハーなどの硬い基板を使った電子デバイスでは困難だ。樹脂フィルムの着想はバイオミメティクスの観点から得られたもので、鳥の翼を構成する羽根や、田に並ぶ稲穂のように、微弱な力に対して個別に動く構造を、樹脂フィルムを使って形成した。

●バイオミメティクスとは

 バイオミメティクスとは、生物の持つ優れた機能の元となる構造を模倣することでその機能を獲得し、工学や医療の分野に応用することだ。

 代表例として、ハスの葉の表面構造を模倣した高撥水性表面の形成や、ヤモリの指の表面構造を模倣した強粘着面の形成などが挙げられる。

●風圧検知(産総研、風圧検知センサー)のテクノロジー

 羽根状の可動構造を10ミリメートル間隔でX方向、Y方向にそれぞれ13個ずつ配列させ、169個のセンサーを1枚のフィルム内に格子状に形成。樹脂フィルムの風を受ける面で風圧や風速をセンシングする。

 風圧や風速はひずみセンサーで検知。高感度ひずみセンサー用導電インクを独自に開発し、市販のひずみセンサーの100倍の感度(ゲージ率202)を達成。

 製造工程もシンプルだ。ひずみセンサーはスクリーン印刷で樹脂フィルムに形成。Y電極線、絶縁層、X電極線、ひずみ検出部と印刷する。このひずみセンサーフィルムに、レーザー加工で羽根を作る。これらは大気中で実施でき、蒸着のような真空装置も必要としない。

 飛行機の姿勢制御をはじめ、車体や機体の低燃費化に向けたデータ取得など、モビリティー分野での幅広い分野に応用していく。(小池豊)

関連キーワード産業技術総合研究所(産総研)

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