国立天文台、天の川の電波地図作成 史上最も広大で詳細に

2018年2月5日 20:35

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FUGINにて得られた銀経10-50度における天の川3色電波画像。(画像:国立天文台発表資料より)

FUGINにて得られた銀経10-50度における天の川3色電波画像。(画像:国立天文台発表資料より)[写真拡大]

 天の川は条件がよいときは肉眼でも観察できる。詳しく調べてみると、星があまりない場所もいくらか見て取れる。しかしこれはそこに星がないのではない。そこにはガスや塵が集積しているため、向こうの星が見えないのである。そうした天の川の詳細を、国立天文台は大規模に電波望遠鏡で探査し、その詳細な電波地図を作成した。

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 天の川は夜空に川の如くに輝いて見える星々に付けられた名であるが、その正体は、われわれの住むこの地球とその太陽系が属する、つまり我々自身の住まう銀河系の星々である。ゆえに天の川銀河とも呼ばれる。

 今回の観測には、野辺山45メートル電波望遠鏡が活用された。国立天文台野辺山宇宙電波観測所を中心に、筑波大、名古屋大、上越教育大、鹿児島大などから多くの研究者が参加して共同研究チームが結成されたのである。

 人類史上最も広大かつ詳細な天の川の電波地図の作成。このプロジェクトは2014年から2017年にかけて行われた。結果として、これまでの地図に比較して詳しさではおよそ3倍、満月520個分に相当する大きさの地図を作成することができた。

 この地図には、天の川銀河の全体から、個々の星の誕生に関わる分子雲コアの構造に至るまで、多くの星間物質の構造が記されている。特に、これまでの地図では拾うことのできなかった、多数のフィラメント構造の存在が明らかになっている。これは星の誕生に関わる重大な鍵であるらしい。

 この電波地図は今後の研究観察の土台ともなるものであり、これをもとにさらなる多くの新発見がもたらされるものと期待されている。

 研究の詳細の第一報は、『日本天文学会欧文研究報告(Publication of the Astronomical Society of Japan)』 に2017年10月に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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