肌の弾力維持にタンパク質「DDR2」が重要、ファンケルが発見

2018年1月9日 05:17

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真皮のコラーゲンとエラスチン、および線維芽細胞と「DDR2」。(画像:ファンケル発表資料より)

真皮のコラーゲンとエラスチン、および線維芽細胞と「DDR2」。(画像:ファンケル発表資料より)[写真拡大]

 DDR2というコラーゲン受容体タンパク質が、ヒトの肌の弾力性や柔軟性において重要な役割を果たしているという事実を、ファンケル社の研究グループが発見した。

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 ヒトの肌の深い部分には真皮と呼ばれる層がある。これは主として、コラーゲンやエラスチンなどの繊維構造で構成されている。エラスチン繊維はコラーゲンを結びつけて網目をつくり、肌に弾力性や柔軟性を持たせている。だが、その機能は、よく知られているように老化とともに低下していく。

 この研究では、エラスチン繊維の中にあるDDR2というコラーゲン受容体の機能に注目した。紫外線は真皮のコラーゲン繊維を破壊するが、DDR2はその損傷部位を認識し、新しいコラーゲンの合成を開始する「シグナル」の役割を担っていることが、これは既に知られている。

 今回の研究では、紫外線を照射したコラーゲン繊維を繊維芽細胞に添付、DDR2のつくるI型コラーゲン、コラーゲンを分解する酵素であるMMP1、エラスチン繊維の形成に関わるタンパク質であるEMILIN2について調べた。

 結果として、損傷したコーラゲン繊維は、それらの遺伝子発現量を増加させるということが分かった。

 また、DDR2の働きを阻害剤によって低下させると、遺伝子発現量は減少することが分かった。話を総合すると、DDR2は損傷したコラーゲンの再構築に関わるだけでなく、エラスチン繊維の形成にも関与しているということだ。

 また、同様の問題として、老化によるDDR2の減少も、エラスチン繊維の形成を阻害することが発見された。つまり老化による肌の弾力の低下は、DDR2の減少によって起こっている、ということが示されたわけである。

 なお、研究の詳細は第47回欧州研究皮膚科学会において口頭で発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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