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チョコレート産業による資金投入、チョコの健康増進効果信じる人広げたか
近年、ダークチョコレートの健康増進効果を信じる人が増加し、米国では砂糖菓子全体の売り上げが減少する中でチョコレートの売り上げは増加しているそうだ。これはMarsやNestlé、Barry Callebaut、Hershey’sといったチョコレート製造大手が30年にわたり、学術研究に資金を投入し続けた成果なのだという(Voxの記事、Consumeristの記事)。
Marsの資金提供または助成による100件の研究をVoxが調査したところ、98件がチョコレートやココアに健康増進効果があると結論付けるものだったという。米ニューヨーク大学の栄養学研究者Marion Nestle氏は、製品のイメージをお菓子から健康食品に変えることを意識してチョコレート産業が研究に資金を投入したと指摘する。これにより、ダークチョコレートやココアはスーパーフードの仲間入りを果たし、売り上げに貢献することになる。
当初はチョコレートの健康に対する効果の研究に注力していたMarsだが、後にカカオフラバノールの研究へシフトしていく。カカオ豆に含まれるカカオフラバノールは、食品に加工する過程で多くが失われてしまう。そのため、Marsではカカオフラバノールが破壊されにくい製法を用いたというサプリメント商品CocoaViaを発売している。
カカオフラバノールを摂取すると血中の一酸化窒素合成量が増加し、血管が拡張して血圧が低下する。血圧が低下すれば心疾患リスクも低くなるが、チョコレートやココアによる血圧低下はわずかであり、効果は短時間しか持続しない。さらに、カカオの血圧低下効果が実際に心疾患リスクを低下させることは確認されていないという。Marsは研究者に対し、チョコレートやココアにおけるカカオフラバノールの効果を示すよう要求したことはないというが、研究者は意識・無意識に限らず資金提供者に配慮しているとみられる。
また、チョコレートやココアの健康増進効果はメディアにとって美味しいネタであり、報道で取り上げられる際に誇張が加わることもある。たとえば、米コロンビア大学の研究者がMarsから資金提供を受けた研究では、加齢による記憶力低下の原因と考えられている歯状回の機能について、カカオフラバノールの摂取で改善できるかどうかを調査。毎日カカオフラバノール900mgと (−)-エピカテキン138mgを3か月摂取したグループで、歯状回の機能と認知機能が改善したとのデータを得ている。
ところが、大学のニュース記事では「フラバノールが加齢によって低下した記憶力を回復させる」といった見出しになる。また、研究者がチョコレートとカカオフラバノールを結びつけることを厳密に避けたにもかかわらず、The New York Timesの記事では記憶力を改善するにはチョコレートがいいといった内容になっている。
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※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
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