柔らかい果物を掴んで選り分けられるロボットハンドシステム開発 慶大など

2017年10月1日 09:19

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ロボットハンド部(左)と、腐敗果実排出の様子。(画像:慶應義塾大学発表資料より)

ロボットハンド部(左)と、腐敗果実排出の様子。(画像:慶應義塾大学発表資料より)[写真拡大]

  • システムの構成図。(画像:慶應義塾大学発表資料より)

 慶應義塾大学理工学部、慶應義塾大学先導研究センター、シブヤ精機の共同研究チームは、軟弱果実の取り扱いが可能なロボットハンドシステムの開発に成功した。

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 軟弱果実とは、主には腐敗した果実のことであり、このシステムは柑橘類の腐敗した果実をより分けることを目的とした選果ロボットとして作られている。

 「果実をより分けるマシン」というのは古くから存在する。どうより分けるかについては、「選択したものを吸着する」、「吸引する」といった方式が一般的である。しかし、腐った果実などは柔らかいので、この方式では潰れてしまい、正常な果実の中に混ざってしまうなどして綺麗により分けることができない、という問題があった。

 そこで開発されたのが今回のシステムである。まず、大きさや形状、不均一な青果物に対し、紫外照明や白色照明を活用したマシンビジョンによって果実の大きさ、腐敗度、傷を測定。選定果の識別を行った後、ロボットハンドに連係動作の指令を送ることができる。

 軟弱な上、形も強度も一定でない腐敗果実をハンドリングするために、このシステムでは「リアルハプティクス技術」と呼ばれる方式を用いている。これによって、柔らかいものを柔らかく掴むことを可能ならしめたのだ。

 今後の研究展望としては、柑橘類だけでなく、イチゴ、桃、トマトなどの選果・箱詰めまでを自動化できるロボットシステムや、あるいはお弁当や総菜の製造ラインなどへの適用も検討して研究開発を進めていきたいという。また農作物の収穫など、さらに複雑な取り扱いが必要な作業への展開も検討されている。

 なお、本システムは、10月3日~6日のCEATEC JAPAN 2017(シーテックジャパン2017)、同じくJAPAN PACK 2017(2017日本国際包装機械展)、10月11日~13日の農業ワールド2017への出展が予定されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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