パイオニア、自動運転に必須な3D-LiDARをMEMSミラーで実現 搭載試験開始

2017年9月8日 20:49

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LiDAR で収集した点群地図データイメージ(写真提供:パイオニアの発表資料より)

LiDAR で収集した点群地図データイメージ(写真提供:パイオニアの発表資料より)[写真拡大]

 パイオニアは7日、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いた独自の「3D-LiDAR(Light Detection and Ranging)」開発を発表した。9 月下旬より、サンプル供給する。自動車メーカーと動作検証し、2020年の量産化に向けて高性能・小型・低価格を目指すという。

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 先進運転支援システムの自動車への搭載が加速している。この先進運転支援の要になるのが、物体を認識するセンシング技術である。センシング技術の主流は、ミリ波レーダーとカメラを用いたシステムであり、自動ブレーキなどで多用されている。そして、その先には自動運転システムがあり、3D-LiDARは必須技術といわれる。

●「LiDAR」とは

 LiDAR(ライダー)は、レーザー光を使った物体の検知と物体までの距離測定をする。レーザー光は、ビームを細く絞り込むことができ、ミリ波レーダーよりも高精度に、物体の存在する角度や形状を検知できる。

 4月のマーケッツ&マーケッツのレポートによれば、LiDAR市場は、2022年に52億480万ドルに達する見込みだという。

 高性能なLiDARは、モーターで本体を回転させて、周囲360度にレーザー光を発射する大型なもので、数百万円と高額である。そのため、性能を維持した上での小型化と低価格化が自動車搭載の必要条件となり、普及価格帯は1万円ともいわれる。

●「3D-LiDAR」自動運転に必須な理由

 自動運転は、整備された高速道路のみならず、整備されていない一般道路も対象になる。この条件を考えると、障害物との測定距離と現在位置の認識に、3D-LiDARが必須となる。

 先ず、一般道路では、周囲の物体を認識して、その正確な距離を測定しながら走行する場面が頻繁にある。数センチメートル単位で周囲の物体との距離を測定できるLiDARへの期待だ。加えて、その測定距離も数百メートルが期待されている。

 次に、自動運転では、建物や形状までを表現した3次元の地図を参照する。LiDARで周囲の建物を検知しながら、その形状を3次元地図と照合して、自動車の地図上での現在位置を把握する。また、計測地図を更新するという連携構想もある。

●LiDAR(パイオニア、MEMS 3D-LiDAR)のテクノロジー

 開口部の小さなMEMSミラーとレンズを組み合わせ、光学設計を最適化し、駆動系をなくして、小型化と耐久性を実現している。また、並行して自動運転用の地図も開発している。

 ミリ波レーダーとカメラでのシステムとLiDARとの役割分担を、自動車メーカーを中心に仕様策定しているという。具体的には、望遠LiDAR、高角LiDAR、中距離の標準LiDARが候補であるようだ。この仕様での性能において、小型・低価格を実現すると思われる。

 パイオニアが競合他社と伍して市場形成していくかは、ここ数年が勝負であろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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