サッカー・日本代表、グループ首位もW杯出場には厳しい状況続く

2017年8月20日 07:25

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■ワールドカップまで王手ではあるが

 2018年ロシアサッカーワールドカップ、アジア最終予選が佳境を迎えている。日本代表は31日にオーストラリア代表とホームで、9月6日(現地5日)にサウジアラビア代表とアウェーで試合が行われる。日本代表は3月28日にタイに4-0で快勝した時点で残り3試合を残し1勝すればワールドカップ出場という状況になった。

 しかし、イラクにアウェーで引き分けたことにより状況は複雑化している。現時点で日本はグループ内で1位となっているため見た目では優位は変わりないが、実はそこまで楽観視できない。というのも2位サウジアラビア、3位オーストラリアとの勝ち点差は1しかないからである。しかも日本代表の残されている2試合はこの2チームのため、相手も死に物狂いでかかってくることは間違いない。

■日本とは別の試合での結果が重要

 そして実は優位に立っているのはオーストラリアであると見ていい。というのもオーストラリアの残り2試合は日本とタイ。タイは現時点で勝ち点2しか挙げておらず、グループ内では力が劣るチームだ。つまり最終戦のオーストラリアの勝利は10中8、9決まりと見たほうがよい。そうなってくるとオーストラリアは日本戦では「負けない試合」をしたいところだ。

 そしてもう一つ重要な試合がある。サウジアラビア対UAEの対戦だ。この試合は日本対オーストラリアより前に行われる。サウジアラビアが勝てば勝ち点を19に伸ばし、日本代表は精神的に追い込まれそうだ。逆にこの試合でUAEが勝つか引き分ければかなり有利になる。よって日本代表の残された2試合と同じく、この試合の重要度も高いと言える。

■オーストラリア側の見方で考える

 今度は日本代表から離れて、オーストラリアの立場として考えみる。日本戦で引き分けたとした場合、この時点で日本代表の勝ち点は18。オーストラリアは、最終戦のタイ戦に勝利すれば、最終的には勝ち点は20となる。サウジアラビアがUAEに勝ったとした場合、最終節で日本がサウジアラビアに勝利すれば、日本の勝ち点が21でサウジアラビアは19。この試合が引き分けの場合、日本の勝ち点が18、サウジアラビアの勝ち点が20、サウジアラビアが日本に勝利した場合、サウジアラビアの勝ち点が22、日本の勝ち点が19となり、いずれもオーストラリアはワールドカップ出場を決める。

 つまり日本戦では「絶対に勝ちたい」ではなく「絶対に負けたくない」という選択肢が獲られることが予想される。これは、現在オーストラリアと同じ勝ち点であるサウジアラビアがUAEに勝利した場合にも当てはまることで、日本対オーストラリアが引き分けだった場合「勝つ」より「負けない」という作戦に出てくるだろう。

 日本がどちらかに勝ち切れば問題ないのだが、実力が拮抗している相手に引き分けに持ち込む試合をされるという可能性は十分にあるため、アジア最終予選でのワールドカップ出場を決めるのは思ったほど簡単ではない。

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