北朝鮮の地政学リスクが高まる中、米経済指標は良好 8月10日のドル円為替

2017年8月10日 11:35

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 8月9日11:00(すべて日本時間)ごろには1ドル109円74銭までドルが下がった。北朝鮮の地政学リスクが高まったのが原因である。やや反発した後にもドルは売られ続け、21:30ごろには1ドル109円56銭の下値をつけた。地政学リスクと年内追加利上げ・バランスシート縮小開始への期待のはざまで市場は揺れている。

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 急落していくドルを止めたのは21:30に発表された第2四半期非農業部門労働生産性速報値であった。結果は+0.9%と事前予想の+0.7%を上回った。また、ティラーソン国務長官が危機的な状況ではないことを強調したことで、市場は落ち着きを取り戻した。そしてドル買いに転じることになる。23:00の6月卸売在庫改定値が事前予想を上回ったことと、卸売売上高が前回の-0.1%から+0.7%へ大幅な改善がみられたことでドル買いの動きは加速し、23:30ごろには1ドル110円17銭までドルは戻した。

 日付の変わった10日にはFRB高官らの講演があり、エバンス・シカゴ連銀総裁は9月のバランスシート縮小開始を支持したが、インフレの見通しには疑問を投げかけた。ブラード・セントルイス連銀総裁はバランスシート縮小をゆっくり進めていくことに賛成したが、金利は現行維持という内容の発言をしている。年内の追加利上げ観測は後退し、ドル売りとなり、3:45ごろには1ドル109円75銭まで下げることになった。ハト派2人の主張に対し、本日はタカ派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁の講演が予定されている。低迷するインフレの状況に対し、強気姿勢を貫けるかに注目が集まるだろう。

 本日は21:30に前週分新規失業保険申請件数、7月生産者物価指数(PPI)、コア指数が発表される。コア指数に関しては特にインフレを測るうえで重要な経済指標となるだろう。

 問題は北朝鮮と米国の関係だ。核戦争という言葉もトランプ大統領のコメントに目立つようになってきている。中国が間に入って調整しているものの、北朝鮮は8月中旬にはグアム攻撃計画の準備が完了すると公言しているだけに、地政学リスクは極めて高い状況が続くだろう。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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