息子と父親の対比で見ると解釈が変わる『光のお父さん』、3話が伝えたかったこと

2017年5月25日 21:25

印刷

仕事先にて様々な人に出会うことがあるが、やはりどのような相手だろうとまずは興味を持つことが大事だと思わされるエピソードであった(c)TBS

仕事先にて様々な人に出会うことがあるが、やはりどのような相手だろうとまずは興味を持つことが大事だと思わされるエピソードであった(c)TBS[写真拡大]

■現代流の親子のつながりを描く『光のお父さん』

 MBSで日曜深夜12時50分、TBSでは火曜深夜1時28分から放送中の深夜ドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』。2話目まであまり主人公の光生の生活スタイルや考え方が見えてこなかったが、3話目でどのような考え方を持っている人間なのか見えてきた。

5月5日はこどもの日、『光のお父さん』第2話から親子関係を考える

■『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』3話の内容

 光生(千葉雄大)が紹介したゲーム『ファイナルファンタジーXIV』にすっかりはまった父親の博太郎(大杉漣)は、彼からキーボードを買ってもらうことでチャットができるようになる。はじめて父親とまともな会話ができるようになった光生だが、家で見せる寡黙な父と違って冗談好きな一面が垣間見えた。

 現実とゲームでの姿の違いに面喰いながらもゲームを通じて楽しむ2人。しかし、光生は仕事先で苦手な担当に当たってしまい、上司からも担当を変更されそうになる。先輩の袴田貴貴弘(袴田吉彦)にフォローを入れてもらうことで何とか担当を変更されずに済むが、どうしても担当先の人と話がかみ合わず、結局は自分から担当を変更してもらうように申し出る。

 あまりゲームをする気分でもないが、博太郎からゲーム内で遊ぶように誘われてしまう光生。あまり気分は乗らないが、父親の誘いを断ることもできず冒険を手伝うことになる。しかし、博太郎のゲームレベルはまだまだ乏しく、ボスに勝つことができなかった。

■ゲーム越しの父親から多くのことを学ぶ光生

 あまり気分も乗らない光生は、チャットにて「次の機会にしましょう」と博太郎にメッセージを送る。しかし、博太郎はそれでもあきらめず、「続けることは難しいけれど、辞めるのはいつでもできる」と返信する。自分が誘ったゲームにのめり込んでいる父親の熱意に感化された光生は、ボスに勝つまで対戦することになる。

 後日、博太郎の影響からか仕事の考え方を変えることになった光生。上司に自ら担当を代えて欲しくない旨を伝える。自ら営業先に向かった光生は、先日の飲み会での無礼を謝罪すると共に、先方が好きなお菓子を手渡す。さらに、担当の上司が好きな野球の話題も披露し、距離を一気に近づけた。

■現代人は本当に「我慢」できなくなったのか

 『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の3話目では、光生の社会での生活が垣間見れるエピソードになっていた。一見すると現代人にありがちな「我慢できない」や「諦めが早い」姿に映る。しかし、光生と博太郎をセットで観てみると、ただ我慢できないというよりは、光生が先方に興味を持っていないことが問題であるようにも見える。

 3話では劇中にて「仕事は結局、人同士の付き合いだよ」という言葉を担当が発する。忘れがちになるが、別に同じサービスであればどこでもいいのである。それでも「ここしかない」と思わされるのは、担当が言うように人間性による部分が大きいのだろう。

 また、3話では博太郎が光生から薦められゲームにのめり込んでいる様子が映し出されている。博太郎は2話にて一度はゲームを辞めそうになるが、光生の助言もあって継続できている。これは、「どうしてもファイナルファンタジーXIVを続けて欲しい」という息子の熱意があったからこそ、博太郎の心を動かしたのだろう。

 光生がとにかく担当の人に興味を持つようになった姿と、博太郎がゲームをプレイする姿を照らし合わせると、本当に大事なのは「我慢」よりも「相手に興味を持つこと」と思わされる。光生と博太郎はどちらも、仕事やゲームを通じてその人間に触れたいと思ったからこそ、他人を動かすほどの力を発揮しているように思う。

 『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』はMBSで日曜深夜12時50分、TBSでは火曜深夜1時28分から放送している。また、動画配信サービスの「Netflix」でも配信中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事