上質なTBSドラマが帰って来た!『あなたのことはそれほど』1話の感想

2017年4月25日 21:14

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『あなたのことはそれほど』にて現代女性を好演する波瑠。彼女の演技はさることながら演出面で見ても高レベルになっているので見やすいドラマである(c)TBS

『あなたのことはそれほど』にて現代女性を好演する波瑠。彼女の演技はさることながら演出面で見ても高レベルになっているので見やすいドラマである(c)TBS[写真拡大]

■『あなたのことはそれほど』第1話が放送

 4月18日の火曜夜10時からTBSでドラマ『あなたのことはそれほど』の放送がスタートした。波瑠と東出昌大の2人が主演となっており、不倫をテーマにした重厚な人間ドラマが展開されている。連続テレビ小説でも主演を務めた波瑠が、当ドラマでも現代的な女性を見事演じている内容となっていた。

【こちらも】いくえみ綾の『あなたのことはそれほど』がドラマ化、主演は波瑠

■飽くなき幸せを求める女性が主役

 『あなたのことはそれほど』はいくえみ綾の漫画が原作となっているドラマである。主人公の美都(波瑠)は小学校からの親友である飯田香子(大政絢)と友人の結婚式に呼ばれていた。その式場から二次会会場へ移動する際、2人は初老男性と若い女性が結婚式を挙げている場面目撃する。しかし、そこに若い男性が現れて、花嫁をさらって式場から逃げてしまう。美都はつい花嫁の逃走を手伝うが、それは彼女が理想の恋愛に憧れる女性だったからだ。

 美都は常に理想の男性を求めているが、それは中学時代に少しだけ仲良くなった有島光軌(鈴木伸之)みたいな人だった。どのような男性も有島と似たような人を求め、美都はいつも満足することができず恋愛に失敗していた。そんな彼女の前に、渡辺涼太(東出昌大)という青年が現れた。彼は有島とは全然違うタイプの人間だったが、自然と落ち着くことができる自分がいるのを感じていた。

 美都と涼太は付き合ってから1年以内で結婚することになる。2人は無事に新婚生活をスタートさせるが、美都は寝言で有島の名前を呟いてしまうなど、なおも彼のことを忘れられずにいた。そのことを涼太は知りながらも、何も追求することができずにいる。

 ある日、美都が女子会から帰っている途中にハンバーガー店に入った。そこで偶然にも有島に出会うことになった。突然の再開に興奮する2人だったが、その夜にラブホテルへ向かうことになってしまう。

■波瑠の演技とリアルな現代人女性像が重なる

 『あなたのことはそれほど』は不倫ドラマというグループに分類されるだろう。しかし、第1話を見終わった後には、それだけで片付けるにはもったいないドラマにも感じてしまう。

 波瑠が演じる美都は、いつも有島のことを思っている女性として映し出される。その一方で、20代以降も誰よりも女性の幸せを求める人物にもなっている。誰よりも清らかな思想だが、その危うさも同時に映し出している。

 第1話のドラマ冒頭に花嫁が出てくるが、彼女と美都は再び出会うことになる。そのとき、彼女は自分を式場から連れだした男性とは別の人と歩いていた。これにがっかりする美都だが、花嫁の女性は「自分を幸せにしてくれる人と私は付き合いたい」という言葉を残す。この2人は違うようで、どちらも結局は男性に依存していることを表現していると思うと、現代女性が「結婚」というものに何を求めているのか浮き彫りにしているように感じた。

 こうした対比がわかるのも、波瑠の演技力があってこそだろう。『あなたのことはそれほど』で見せる波瑠の姿はどこか危ういが、その分艶やかな雰囲気を漂わせている。ぜひ、第2話からでもその姿をチェックしてもらいたい。

 『あなたのことはそれほど』は火曜10時からTBSにて放送中。第2話は4月25日に放送予定である。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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