NTTが「勝つための脳を鍛える」スポーツ脳科学プロジェクト発足

2017年2月11日 22:07

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記事提供元:エコノミックニュース

 スポーツでは「心・技・体」と言われるように、強靭でしなやかな「体」に加えて、身体を最適に操るための「技」、メンタル状態を自在にコントロールできる「心」が重要とされている。しかし、従来のスポーツ科学のアプローチは主に「体」のメカニズム解明に焦点が当てられ、「技・心」のメカニズムは科学的に解明されていない部分が多くある。

 日本電信電話(NTT)<6701>は、NTTグループのAI関連技術corevoの研究開発の一環として、スポーツにおける「心」と「技」を鍛える新しいトレーニング法の確立をめざし、スポーツ脳科学(Sports Brain Science:SBS)プロジェクトを1月に発足した。

 SBSプロジェクトでは、瞬間的な対人インタラクションが鍵となる競技の一つである野球・ソフトボールに焦点を絞り、脳の潜在的な情報処理の役割の解明をめざす。その第一弾として東京大学運動会硬式野球部、慶應義塾体育会野球部の協力を受け、多様な能力を持つ選手の脳情報処理の特性とパフォーマンスとの関係を明らかにする研究を本格的に開始した。ここでは、従来からの実験室での脳機能計測に加え、スマートブルペンおよび実戦での生体情報計測を実施し、様々な条件下での生体情報とパフォーマンスの関係を解析する。

 計測環境を整えたスマートブルペンでの投球動作、打撃動作の精緻な生体計測と、従来から行っている実験室での脳機能計測および評価を並行して実施し、脳情報処理における選手個人の特性とパフォーマンスとの関係の解明をめざす。脳機能の評価には、表層的な身体反応、特に眼球の動きから心の状態を深く読み取るbody-mind reading技術などの独自の解析技術を活用する。

 生体情報センシング技術hitoeを活用して実戦での生体情報を計測し、選手の運動量変化では説明できない心拍数の変化を捉える。この変化から推定されるメンタル状態と、映像データやスコアデータから推定されるケーム中の選手のパフォーマンスとの関係の解明をめざす。

 SBSプロジェクトでは、今後、ジュニアからアマチュア、プロのレベルまで様々な層のアスリートと連携し、アスリートが持つ潜在的な脳情報処理メカニズムの解明をめざす。ここで得られる知見は、野球のほかにも、例えばテニスやバドミントン、さらには格闘技など、瞬間的な対人インタラクションが勝敗を分ける様々な競技におけるアスリートのパフォーマンス向上につながるほか、長期的な計測を通じて、選手の能力発達,才能の早期発見など、選手の育成に役立つ知見の獲得にもつながるという。そしてこれらの知見をもとに、アスリートの脳を鍛えパフォーマンス向上を支援する新しいトレーニング手法の確立をめざす。(編集担当:慶尾六郎)

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