米議会、NASAに恒星間探査機の開発を要請

2016年5月29日 19:10

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 共同通信の報道によると、米下院の予算委員会がNASAが要求していないにも関わらず、光速の10分の1の速度で航行できる恒星間探査機の研究開発費を2017年度予算に盛り込み、開発を求める異例の形となっているという(毎日新聞の記事)。

委員会の報告書には「太陽系から最も近い恒星系であるケンタウルス座アルファ星へ向かう無人科学探査機を、アポロ11号の月面着陸から100年となる2069年の打ち上げを目指して開発すべきだ」と記されているということで、なんとなく技術的難易度を理解せずに政治主導で要請が出されてしまったようにみえる。予算が実際に認められるには本会議や上院の承認も必要となるので確定ではないが、50年も先のこととはいえ、何か技術的な目途があっての話なのだろうか。

 実際に予算委員会の報告書(PDF: 該当部分は60ページ)が求めているのは、光速の10分の1程度での航行が可能な推進技術の研究・開発だ。現在のところ、このような推進技術で技術的成熟レベル(TRL) 1~2を超えるものは存在しないが、概念上は光速の10分の1を実現可能な推進技術の研究にNASAも出資している。これを踏まえて、恒星間航行に向けた推進技術の評価報告書を2017年度中にまとめるよう求めている。Scienceの記事では、先日話題になったNanocraft計画を念頭に置いたものとみている。

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