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金星の極域上空の特異な気温分布を理論的に解明―JAXA安藤紘基氏ら

金星極域上空温度と大気の流れのイメージ図(宇宙航空研究開発機構、慶應義塾大学、京都産業大学の発表資料より)[写真拡大]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の安藤紘基研究員、慶應義塾大学の杉本憲彦准教授らによる研究チームは、大規模なコンピュータシミュレーションから、金星の極域上空の大気に生じている特異な気温分布を再現し、その生成・維持メカニズムを理論的に解明することに成功した。
1970年代の金星探査ミッションによって、金星の極域上空の大気で、気温が高い領域を冷たい領域が囲っているという不思議な気温分布が明らかになった。しかし、この気温分布がどのように生じ、長期間維持されるのかは解明されていなかった。
今回の研究では、大規模な数値シミュレーションを行ったところ、まず太陽光が金星の雲層を暖めることに起因した南北方向の大気の流れが生じ、この流れが極域上空で集まって下降流となること、そして、気圧の高い低高度に向かう大気は圧縮されて温度が高くなるという大気の流れを解明することに成功した。
今後は、今年4月頃から金星探査機「あかつき」が本格的な観測を開始し、搭載された複数のカメラによる観測から、金星の南北方向の大気の流れの強さや気温分布がわかることで、本研究の実証に繋がると期待されている。
なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。論文タイトルは、「The puzzling Venusian polar atmospheric structure reproduced by a general circulation model」。
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