大手ゼネコンの売上総利益率は10%の大台に 受注もリーマン・ショック以来の高水準

2015年6月30日 11:14

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記事提供元:エコノミックニュース

 帝国データバンクは、全国の主要上場建設会社の2014年度の決算短信から、連結ベースの売上高、売上総利益率、および単体ベースの受注高とその官民比率について調査・分析した。調査対象は、主要な上場建設会社62社で、受注高については前年度との比較が可能な51社であった。

 まず、主要上場建設会社62社のうち、個別受注高の判明している51社の 2014年度の受注高は、前年度比9.9%増の13兆8627億1300万円となった。2014年に実施した前々回の調査で、2013年度の受注高は前年度比19.1%増となっており、業界全体の伸びはややピークアウト感が出てきたようだとしている。

 受注高の伸び率で第1位となったのは、シンガポール、香港など海外での大型案件が好調な「五洋建設」。準大手ゼネコンの一角を占める規模ながら、前年度比 60.8%の大幅増となった。次いで、大阪府の中堅老舗、「錢高組」の同36.1%増、海洋土木に強みを持つ「東亜建設工業」の同34.4%増と続く。

 一方、減少率がもっとも大きかったのは愛知県の「名工建設」。前期に東海道新幹線の大規模改修工事を受注した反動減もあり、前年度比29.0%減となった。続いて、群馬県の中堅ゼネコン「佐田建設」が同13.8%減となった。民間建築工事の減少幅が大きかった。

 工事受注高の内訳(官・民)が判明しているのは36社だった。官公庁工事の受注高は、前年度比22.9%増の3兆4405億1600万円となった。増加企業数 27社に対して、減少企業数は9社にとどまっているという。官公庁受注高の伸び率は、「鉄建建設」が前年度比95.1%増でトップ。主力の鉄道のほか、道路などで公共工事増加の恩恵を受けた。次いで、準大手の「西松建設」の同77.5%増、「大本組」の同74.4%増と続く。いずれもインフラ関連が好調だった。

 民間工事の受注高は、前年度比4.3%増の6 兆5878億1200万円。増加企業数23社に対し、減少企業数は13社となった。2014年12月の前回調査で、2014年度の民間工事受注高は21.4%減少していたが、通年では2008年リーマン・ショック以来の高い水準を維持した。

 上場建設会社62社の売上総利益率を個別企業の平均でみると、2014年度は 10.2%だった。前年度の9.0%に比べて、1.2ポイントの大幅な上昇となり、10%の大台に乗せた。売上総利益率は56社で上昇し、6社で低下した。

 昨年来、資材価格高騰、人手不足が収益圧迫要因として指摘されるなか、業界ピラミッドの頂点に位置する上場ゼネコンの事業環境改善が指摘されてきたが、受注単価引き上げによる採算改善効果が建設業界全体に波及している。前年度から続く上場ゼネコンの収益回復トレンドは、今年度も継続している。(編集担当:慶尾六郎)

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