NICT、暗号化状態でセキュリティレベル更新と演算が同時にできる暗号方式を開発

2015年1月21日 10:52

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情報通信研究機構(NICT)が開発した暗号方式の概要を示す図(NICTの発表資料より)

情報通信研究機構(NICT)が開発した暗号方式の概要を示す図(NICTの発表資料より)[写真拡大]

  • 情報通信研究機構(NICT)が開発した暗号方式の暗号化と複合処理の概要を示す図(NICTの発表資料より)
  • 情報通信研究機構(NICT)が開発した暗号方式の更新処理の概要を示す図(NICTの発表資料より)

 情報通信研究機構(NICT)は、暗号化されたデータのセキュリティレベルの更新処理と準同型演算処理を同時に実現する暗号方式を世界で初めて開発した。

 データマイニングに使用する暗号化されたデータは、安全のため定期的に鍵長の変更によるセキュリティレベルの更新を行う必要がある。鍵長の変更方法は2種類あるものの、暗号文を一度復号するためデータ漏洩の危険性があったり、2度目の暗号化以降のデータ処理が不可能といった問題があった。

 今回の研究では、データを暗号化する際に暗号文をデータ領域と付加情報に分割し、付加情報を伸ばす技術を新たに開発した。その結果、暗号化されたデータのセキュリティレベルの更新処理と準同型演算処理を同時に実現することができるようになった。実際に、暗号化されたデータのクラウドサーバ上での統計処理を想定した実証実験として、100万件のデータに対する線形回帰計算を暗号化したまま行ったところ、30分程度で処理ができることを確認した。

 今後は、一億件(日本の人口)規模のデータを用いて、保険やバイオインフォマティクスなどの分野で使われる計算を暗号化したまま行い、大規模なプライバシー保護データマイニングシステムが構築可能であることを実証していく予定となっている。

 なお、この内容は1月20日(火)~23日(金)に福岡県北九州市小倉で開催される「2015年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2015)」で発表される。

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