世界的に好調なマイコン市場で光る、日本企業の挑戦

2014年10月25日 21:16

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記事提供元:エコノミックニュース

世界的に回復基調にあるマイコン市場。ロームグループのラピスセミコンダクタは9月、低消費電力でありながら高機能・高性能な16bitローパワーマイコン「ML620500シリーズ」の開発を発表した。

世界的に回復基調にあるマイコン市場。ロームグループのラピスセミコンダクタは9月、低消費電力でありながら高機能・高性能な16bitローパワーマイコン「ML620500シリーズ」の開発を発表した。[写真拡大]

 世界規模でマイコン市場の好調が続いている。 アメリカの調査会社IC Insightsの発表によると、今年のマイコン売上高は過去最高が見込まれており、前年比6%増の161億米ドル、出荷数も前年比12%増となる181億個に達する見通しだ。また、今後数年間に渡ってこの好調が続くとみられており、15年には7%増、2016年には9%増の予測がなされている。

 市場が好調な理由としてはまず、産業機器や車載製品の売上が世界的に回復基調にあることが挙げられる。また、世界のマイコン出荷数の約半分を占めるといわれるICカード向けマイコンの出荷数も急増していることも大きい。さらには家電や住宅設備機器の分野においてもIT制御やセンサ制御などの需要は年々増えており、マイコンの必要性は増すばかりだ。市場を牽引するのは、やはり32 bitマイコンといわれているが、低価格で開発も容易、低消費電力な8 bitや16 bitマイコンの需要も急増しているという。

 このような情勢の中、日本の半導体企業も積極的な展開を見せている。例えば、これまで8bitローパワーマイコンで高い評価を得ているローム<6963>グループのラピスセミコンダクタも9月、これまで同社が培ってきた低消費電流技術をベースに、低消費電力でありながら高機能・高性能な16bitローパワーマイコンシリーズ「ML620500シリーズ」の開発を行い、16bitマイコンの市場に本格的に参入することを発表した。同製品は同社の16bitローパワーマイコン開発第1段となる製品で、同社オリジナルの高効率16bit ローパワーCPUコアを搭載し、書換え可能なフラッシュメモリを内蔵、ISP(イン・システム・プログラム)に対応しており、オンボードでの書込みが可能となっている。

 最大の特長としては、従来品に比べ、超低消費電力でありながら高機能処理を実現したことにある。従来の8bit、4MHzの商品と比べ、CPUバス幅2倍、動作周波数4倍に性能を向上させつつも、Halt時の消費電流は450nAと低消費電力を維持することに成功しており、8bitマイコンでは処理が間に合わなかった、グラフィカルな液晶表示制御や通信制御などの高機能な処理も可能になるという。また、演算性能の向上によって、ロームグループが得意とする、Bluetooth Low Energyなどの無線モジュールや各種センサモジュールと組み合せた、より複雑なアプリケーションの実現も可能だ。

 世界的にみると、32bitの製品がマイコン市場の主流のように言われてはいるが、今後の成長幅で考えると、ウェアラブル機器を始めとする電池駆動の電子機器に向けて、低消費電力の16bitマイコンにはまだまだ大きな可能性が秘められているのではないだろうか。8bitの技術と経験を活かし、満を持して16bitマイコンの市場に踏み込んだラピスセミコンダクタのフロンティア精神に期待したい。(編集担当:藤原伊織)

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