脳の前障に電気刺激を与えると意識を失うことが発見される

2014年7月9日 10:00

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記事提供元:スラド

eggy 曰く、 ジョージ・ワシントン大学のMohamad Koubeissi氏が率いる研究チームが、脳の一部である前障に電気刺激を与えることで、「意識のスイッチ」をオフにすることができたと発表しているそうだ。前障に電気刺激を与える実験はこれまで行われておらず、これが世界で初めとなる (New ScientistSlashdot)。

 同チームは脳深部刺激電極を用いて、癲癇持ちの女性の脳の各エリアに電流を流すことで、癲癇の発生場所を特定する検査を行っていた。 刺激電極を前障の横に配置して高周波電気刺激を流したところ、女性は意識を失い、読書を止めて空中をぽかんと見つめていたとのこと。また聴覚及び視覚的反応もなく、呼吸も徐々にゆっくりになっていったという。そして電流を止めると忽ち意識を取り戻したのだが、電流を流していた間のことについては一切記憶がなかった。実験は2日間に渡って行われ、 前障に電流を流す度に同様の反応がみられたという。

 これまで多くの研究者により、前障には、バラバラに活動する脳の各エリアの知覚を一つの体験となるようまとめる役割があるとする学説が提唱されてきたが、今回の実験を行ったKoubeissi氏も同様の見解を示している。 脳を車に例えると、前障はイグニションキーのようなものといえるそうだ。車は様々なパーツが機能することで動くが、これらのパーツを一斉に起動するために鍵を差し込める箇所は一カ所しかない、ということらしい。

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