国内株式市場見通し:決算通過で仕切りなおし、待機資金は過去最高水準

2013年11月9日 18:13

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記事提供元:フィスコ


*18:13JST 国内株式市場見通し:決算通過で仕切りなおし、待機資金は過去最高水準

■空売り比率は1年2ヶ月ぶり高水準

先週の日経平均は下落。連休中の海外株高の流れを背景に上昇して始まったが、その後は為替の円高基調から下げに転じるなど、方向感の掴みづらい展開だった。物色は決算を手掛かりとした流れのなか、強弱感の対立によって決算評価も定まりづらい状況。注目されたトヨタ<7203>の決算については事前の上振れ報道で期待感が高まったものの、発表後は買いが続かず、こう着感の強い相場展開に。これが市場心理の不安定さを表す格好となった。

また、5日から空売り規制が緩和された。当日は売買代金に占める空売りの比率が29.2%に急上昇し、2012年9月以来、約1年2カ月ぶりの高水準だった。方向感が定まりづらいなか、下落局面での収益を狙った売り仕掛け的な売買が増加する展開に。週末には欧州中央銀行(ECB)が予想外の利下げに踏み切り、ユーロが下落。これが嫌気される格好から日経平均は14000円割れ目前までの下げを余儀なくされた。

一方、本格化する決算では上方修正や好決算が相次いでおり、特に低位材料株や中小型株など個人投資家嗜好の銘柄への物色は活発。全体相場が不安定ななかでも、物色意欲の強さが窺えた。また、先週は、日本経済新聞社、日本取引所グループ、東京証券取引所が共同で開発した新株価指数「JPX日経インデックス400」が発表された。これを手掛かりとした新興市場の銘柄への物色もみられていた。

■押し目狙いの待機資金

今週で決算が一巡するほか、手控え要因であった米雇用統計の発表が通過したため、仕切り直しのスタンスに向かうかが注目される。日経平均は一先ず節目の14000円を割り込まず、辛うじて幻のSQを下に残す格好となった。8日の米国株式相場は、雇用統計の結果を受けてNYダウは大幅に上昇。円相場は1ドル99円台と円安に振れて推移している。シカゴ日経225先物清算値も先週末の下落部分を吸収する水準であり、週明けの株式市場は買い先行で始まろう。

そのほか、投信協会によると、証券口座に残っている現金の受け皿であるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)の9月末残高は9兆655億円と過去最高水準と報じられている。9月だけで4500億円増えており、押し目狙いの待機資金として注目される。また、政府は金融・資本市場の活性化に向け、新たな私的年金の創設などを柱とする成長戦略をつくると報じられている。税制優遇措置を導入し、1500兆円に上る家計の金融資産を貯蓄から投資へと動かす狙いがあり、市場への資金流入期待が底堅さに繋がりそうである。

■現在の需給環境は売り方優位

もっとも、ソフトバンク<9984>があっさり25日線を割り込むなど、売り安心感がある需給状況でもある。空売りの増加は将来的な買い戻し余力の拡大に繋がるとは言え、現在の需給環境では、売り方優位である。ブリヂストン<5108>などのように、リコールをキッカケに売りを仕掛けたとしても、結果的にショート筋が踏まされる需給状況を見極める必要がありそうだ。

日経平均の14000円前半ベルでの攻防が続くようだと、空売り比率が更に高水準となることが見込まれる。これによって需給に厚みが増してくる可能性があるため、いずれショートカバー狙いの戦略に変わることになる。まずはシグナルを待ちたいところであろう。

■決算一巡で海外要因などの影響を受けやすく

決算が一巡することもあり、海外要因などの影響を受けやすくなるため、14日に予定されている次期FRB議長候補のイエレンFRB副議長の指名公聴会辺りは、株式や為替市場に影響を与えよう。また、14日発表の日本の7-9月期国内総生産(GDP)は、4-6月期から減速が予想されているが、10-12月期以降は緊急経済対策による需要の伸びが拡大するとみられている。

そのほか、「JPX日経インデックス400」については、これから検証などが行われるとみられるが、構成銘柄のパフォーマンスが相対的にTOPIXなどをアウトパフォームするようだと、ファンド筋の組み入れ期待なども高まり、高ROE銘柄への関心が集まりやすく、断続的な物色材料になりそうである。《TN》

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