躓きが続くオバマ戦略

2013年9月17日 12:59

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記事提供元:フィスコ


*12:59JST 躓きが続くオバマ戦略
金曜日に米FRB後継議長をサマーズ氏指名で最終調整と報じられたばかりだったので、サマーズ氏の辞退はサプライズとなった。サマーズ氏がタカ派、対抗馬のイエレン氏がハト派との色分けで、市場は金融緩和継続姿勢が強まると受
け止め、株高・債券高・ドル安で反応した。私見では、金融緩和継続の有無はそう簡単に決め付けられるものではないと思っていたので、短期筋中心の反応と受け止める。むしろ、オバマ大統領がウォール街に近いサマーズ氏登用で、進捗度の低い金融規制強化を進めようとしていると見ていたので、その戦略の頓挫のイメージが強い。

週末に米ロ外相会談で、シリアの化学兵器廃棄と米軍の軍事行動を行なわないことで合意したこともリスク選好に作用したと考えられる。複雑な要素が絡むが、シリア内戦停止へ反政府派を含めた平和会議開催に向かえるかどうかが焦点と
なろう。緊張を投影していた原油相場は前週末比1.62ドル安の1バレル106.59ドル、時間外では105ドル台に急落している。11日までの週の株式ファンドには143億ドルの資金流入(前週は114億ドルの流出)となり、シリア情勢の緊張緩和が作用している。

ただ、ワシントンで午前に発生した海軍工廠での銃撃事件、午後にはオプション取引での障害が発生(東部時間午後2時15分再開)など、不安定なニュースがあり、NY株は上昇幅を削った。最も大きな不安定要素は、オバマ大統領が「米債務上限引き上げ問題で、交渉の余地はない」と、強く共和党を牽制したことであろう。シリア問題、FRB後継議長と
立て続けに躓いているオバマ大統領の姿勢が通じるかどうか、月内の暫定予算成立、来月中旬の債務上限引き上げができるかどうか、神経質な展開が想定される。《FA》

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