Rh-型の女性が妊娠したら…

2013年2月24日 19:14

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記事提供元:エコノミックニュース

 最近親しくなった友人から血液型が「Rh-のB型」だと聞き驚いた。私の周りでは初めての「Rh-の人」だったのだ。だが友人は、医者から「日本ではRh-の人間は200人に1人にいる」と聞いたそう。日常生活では特に困る事はないが、妊娠時は大変な思いをした体験談を話してくれた。妊婦検診を受けようと個人の産婦人科へ行ったら「出産は無理」と、断れた。幸い次に訪れた総合病院で受け入れてもらえ、無事出産したそうだが、一体Rh+の場合と何が異なるのだろうか。

 そもそもRh式血液型とは赤血球膜の抗原による分類法で、現在は40種以上の抗原が発見されている。その中でD抗原がある場合がRh陽性(Rh+)、ない場合がRh陰性(Rh-)。日本人でRh-血液型にABO式血液型も加味すると、出現率はA型が4/2000、O型が3/2000、B型が2/2000、AB型が1/2000とされている。Rh-の人にRh+の血液を輸血すると、赤血球を破壊する一種の化学反応が起き、血液の凝集、溶血等のショックを起こす可能性がある。

 また前述でも触れたが、Rh-型の女性は妊娠時に「Rh不適合妊娠」の注意が必要だ。母親がRh-型でも父親がRh+型の場合、ほとんどのケースで子供はRh+になる。その場合第一子の妊娠には影響はないが、第二子以降の胎児がRh-だと、病気や死亡のリスクが伴う。と言うのも、妊娠28週以降から胎児の血液が母親へ侵入することがあり、分娩時の胎盤剥離により胎児の赤血球が母親の血液中に混入。免疫反応によって、母親の体内に抗RhD抗体(Rh+の赤血球を破壊する物質)が作られるのだ。抗体が作られるまでに4~8週間以上を要するので、第一子には影響がないが、第二子以降は、この抗体が胎盤を通り抜けて、胎児の血液に移動し赤血球に反応し破壊。貧血症状を起こし、重症化すると心不全や胎児死亡(流産)や新生児溶血性黄疸という病気なる可能性があるのだ。

 ここまでの話だと不安になるが、きちんと対策はある。まず妊娠中は、間接クームステストと呼ばれる検査を定期的に行い、母体にRhD抗体が産生されていないことを確認。妊娠28週頃に間接クームステストを行い、陰性の場合(抗RhD抗体が産生されていない場合)、抗ヒト免疫グロブリンを注射。さらに出産後に赤ちゃんの血液型がRh+であることを確かめて、再度注射する。この注射により、母体のRhD抗体の産生が予防でき、第二子を妊娠しても、核黄疸や溶血反応を起こさない。この抗ヒト免疫グロブリン注射は、妊娠中は予防処置なので保険適用外、出産後は保険が適用だが、福島県二本松市では抗ヒト免疫グロブリン注射の接種費用(2回分)の助成を行なっている。同市のような助成制度を取り入れている自治体はまだまだ少ないが、今後少子化を支える対策のひとつとしても、もっと普及しても良いのではないだろうか。(編集担当:野口奈巳江)

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