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【株式市況を検証】重要イベントで様子見ムードの1週間
【株式市場フラッシュ(7月2日~6日の日本株式市場)】
★日経平均株価、TOPIXともに5週連続上昇
7月2日~6日の日本株式市場は、週間ベースで日経平均株価が13円97銭(0.16%)上昇、TOPIXが1.75ポイント(0.23%)上昇した。いずれも週間ベースでは小幅ながら5週連続の上昇となった。
なお終値ベースで見ると、4日の日経平均株価は9104円17銭で5月8日(9181円65銭)以来となる戻り高値水準、TOPIXは778.70で5月2日(792.87)以来となる戻り高値水準だった。
1週間の動きを簡単に整理すると、前週末6月28日~29日のEU首脳会議での合意内容がポジティブサプライズとなったが、この内容は29日の取引時間中に伝わっていたため、好感した買いは29日で終了していた。
そして7月2日~5日は、週半ばの4日の米国市場が独立記念日で休場となることに加えて、週後半に5日のECB(欧州中央銀行)理事会、6日の米6月雇用統計という重要イベントを控えていたため、様子見ムードを強めて小動きとなり、方向感に欠ける展開だった。
日本時間5日夜には、中国人民銀行とECBが相次いで政策金利引き下げを発表したが、材料出尽くし感や世界経済減速に対する警戒感が広がり、欧州と米国の株式市場ではネガティブに反応し、外国為替市場ではユーロ売りが優勢になった。このため週末6日の日本株式市場はやや軟調な展開となった。東証1部市場の売買代金は2日から6日まで5営業日連続で1兆円を下回った。
今週の主要国・地域の動向を整理すると、ユーロ圏では前週末28日~29日のEU首脳会議での合意内容を受けて、週前半のスペイン10年債利回りは低下した。ただし、ESM(欧州安定メカニズム)による流通市場での国債買い入れについて、フィンランドとオランダが反対の姿勢を表明したとされ、不透明感を強めた。
5日には、英イングランド銀行が現行の政策金利を据え置き、資産買入枠を500億ポンド増額すると発表した。ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を0.25ポイント引き下げて過去最低水準となる0.75%に、中央銀行の預金金利を0.25%引き下げて0.00%にすると発表した。ドラギECB総裁は記者会見でユーロ圏経済の先行きに慎重な見通しを示した。政策金利引き下げ幅は予想どおりであり、それ以上の政策対応が打ち出されなかったため、株式市場では材料出尽くし感や失望感が広がった。
5日のスペイン中長期債入札は目標上限の合計30億ユーロを調達したが、10年債落札利回りが前回に比べて上昇したため流通利回りも上昇した。6日にはスペイン10年債利回りが7%台に上昇し、イタリア10年債利回りも上昇した。ドイツ財務省報道官はEU、IMF(国際通貨基金)、ECBのトロイカ調査団から報告書が出されていないため、9日のユーロ圏財務相会合でスペインの銀行資本増強支援に関する決定を下さない見込みだと語った。またフィンランドがユーロ圏を離脱するとの懸念、ドイツ政府がドイツ銀行にロンドン銀行間取引金利(LIBOR)操作の疑いで調査に入ったとの報道なども嫌気し、外国為替市場ではユーロ売りが優勢になった。
米国の主要経済指標では引き続き強弱感が交錯した。2日の米6月ISM製造業景気指数、5日の米6月ISM非製造業景況指数は悪化して市場予想を下回った。一方で2日の米5月建設支出、3日の米5月製造業新規受注、米6月自動車販売台数は改善して市場予想を上回った。雇用関連では、5日の米6月ADP雇用報告の民間部門雇用者増加数、および米週間新規失業保険申請件数が市場予想以上に改善した。6日の米6月雇用統計では、非農業部門雇用者増加数は前月に比べてやや改善したが市場予想を下回った。このため株式市場では景気に対する警戒感を強めた。米FRB(連邦準備制度理事会)に対する追加緩和圧力が強まるとの見方がある一方で、早期に量的緩和策第3弾(QE3)につながるほどの水準ではないとの見方が優勢のようだ。
中国では、1日発表の6月製造業PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を上回ったが、2カ月連続の低下となり景気に対する警戒感を強めた。3日発表の6月非製造業PMIは3カ月ぶりの上昇だったが、株式市場の反応は限定的だった。中国人民銀行は日本時間5日夜、政策金利(預金基準金利と貸出基準金利)を6日から引き下げると発表した。約3年半ぶりの利下げとなった6月8日に続き今年2回目の政策金利引き下げだったが、13日発表予定の4~6月期GDPの大幅減速が警戒される結果となった。
日本では、2日発表の6月日銀短観(企業短期経済観測調査)(12年6月調査)で、大企業製造業の業況判断指数DIが前回3月調査に比べて改善し市場予想を上回った。また5日発表の地域経済報告(さくらリポート)で日銀は、09年10月以来11四半期ぶりに9地域全ての景気判断を上方修正した。強気の景気判断となったため、来週11日~12日の日銀金融政策決定会合での追加緩和見送り観測が浮上している。
外国為替市場では、週前半は重要イベントを控えて様子見ムードの強い展開だったが、5日のECBの政策金利引き下げとドラギECB総裁の記者会見後にユーロ売りの動きが強まった。スペイン10年債利回り上昇もユーロ売りにつながった。ドル・円相場は、6日の米6月雇用統計発表直後にドル売り・円買い優勢の場面もあったが、概ね1ドル=79円台で小動きだった、週末6日の海外市場で終盤は1ドル=79円70銭近辺、1ユーロ=97円90銭近辺だった。
日経平均株価の終値ベースで騰落状況を見ると、週初7月2日は前日比3円30銭(0.04%)安と4営業日ぶり小幅反落、3日は前日比63円11銭(0.70%)高と反発、4日は前日比37円58銭(0.41%)高と続伸、5日は前日比24円37銭(0.27%)安と3営業日ぶり小幅反落、6日は前日比59円05銭(0.65%)安と続落した。日中の値幅は2日が100円31銭、3日が69円53銭、4日が40円71銭、5日が61円53銭、6日が104円69銭だった。
日経平均株価の週末7月6日の終値は9020円75銭となり、前週末6月29日の終値9006円78銭に比べて13円97銭(0.16%)上昇した。週間ベースでは5週連続の上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は4日の9136円02銭、週間安値は6日の8977円35銭で、1週間の取引時間中の値幅は158円67銭だった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末6日の終値は771.83で、前週末29日の終値770.08に比べて1.75ポイント(0.23%)上昇した。週間ベースでは5週連続の上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は4日の781.94、週間安値は6日の768.33だった。6日時点のNT倍率は11.69倍で、前週末29日時点11.70倍に比べて0.01ポイント低下した。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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