【不動産大手・銘柄診断】三井不動産は東日本震災の影響が一巡

2012年5月27日 11:05

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■東日本震災の影響一巡、分譲事業の営業利益40%の大幅伸長

  三井不動産 <8801> は13年3月期連結業績見通しについて、売上高が前期比9%増の1兆4600億円、営業利益が同7%増の1350億円、経常利益が同6%増の1090億円、純利益が同10%増の550億円としている。

  特別損益ではネット100億円の損失見込みだが、分譲事業の大幅増益が全体を押し上げる模様だ。予想EPS(1株利益)は62円62銭、年間配当は22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。なお13年3月期からSPC連結に関する会計基準の変更を早期適用する。

  セグメント別営業利益(連結消去前)見通しは、賃貸事業が前期比2%増の980億円、分譲事業が同40%増の220億円、マネジメント事業が同4%減の330億円、子会社の三井ホームが同15%増の48億円、その他事業が0億円(前期は8億円の赤字)としている。

  賃貸事業では、新規開業の「三井アウトレットパーク木更津」や「ダイバーシティ東京」が寄与する模様だ。分譲事業では、東日本大震災の影響が一巡して分譲の戸数増加と利益率改善を見込んでいる。住宅分譲戸数は前期比484戸増加の5800戸(うちマンションは同388戸増加の4900戸)の計画である。

  マネジメント事業については、個人向け仲介取引件数やプロパティマネジメント(施設運営・管理・清掃・保守業務等)受託物件の増加を見込むが、ファンド組成に伴うアセットマネジメントフィーを計上するため、営業減益見込みとしている。

  賃貸事業の空室率の推移を見ると、単体ベースの首都圏オフィス空室率は、07年3月期末が1.6%、08年3月期末が1.3%、09年3月期末が2.5%、10年3月期末が3.9%、11年3月期末が4.0%、12年3月期末が4.4%となった。市場平均に比べて低水準とはいえ上昇傾向である。

  連結ベースの全国商業施設空室率は、07年3月期末が0.5%、08年3月期末が0.3%、09年3月期末が0.8%、10年3月期末が1.1%、11年3月期末が1.3%、12年3月期末が0.4%となり、引き続き低水準を維持している。

  個人向け住宅分譲の営業利益率は、07年3月期が9.4%、08年3月期が11.4%、09年3月期が6.7%、10年3月期が3.8%、11年3月期が3.1%、12年3月期が4.0%となり、改善傾向である。13年3月期は5.0%の計画である。

  なお、12年3月期末の有利子負債は1兆7434億円となり、11年3月期末比33億円増加した。D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は1.62倍で同0.09ポイント低下した。

■26週船を下回り軟調、PER、利回りに割安感ない

  株価の動きを見ると、3月14日の年初来高値1683円から反落し、足元では1200円近辺まで下落している。週足ベースで見れば26週移動平均線を割り込んで軟調展開となっている。

  足元の株価水準を指標面で見ると、13年3月期会社予想ベースの連結予想PERは19~20倍近辺、予想配当利回りは1%台後半、12年3月期連結BPS(1株当たり純資産1227円54銭)ベースの実績PBRは1倍近辺の水準である。需給面では信用倍率(5月11日時点)が3倍台である。

  足元の1200円近辺まで下落しても、指標面では割安感が台頭しない。当面は下値固めが必要で、11年秋の安値圏1100円近辺が意識される可能性もあるだろう。また、反発には市場全体の地合い改善も必要なだけに、再度のサプライズ追加緩和などの支援材料が欲しいところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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