米国、高所得者にも物価高の重圧 NYで快適に暮らすには年2500万円

米国で物価高により年収10万ドルを超える層にも購買力低下の圧力が強まっている。Photo by Kit Suman on Unsplash[写真拡大]
米国で物価上昇が再び加速し、年収10万ドルを超える層にも購買力低下の圧力が強まっている。生活費には地域差が大きく、ニューヨーク市では単身者が「快適」に暮らすために年15万8954ドル(約2510万円)の収入が必要との試算もある。
米労働統計局(BLS)が14日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.7%上昇した。伸び率は8月の3.4%から加速した。前月比では季節調整済みで0.6%上昇し、8月の0.4%上昇を上回った。
上昇をけん引したのはエネルギー価格である。ガソリン価格は前月比9.1%上昇し、CPI全体の前月比上昇分の半分以上を占めた。住居費は0.4%上昇した。航空運賃は前年同月比22.4%上昇した。
15日にBLSが発表した9月の生産者物価指数(PPI)も大幅に上昇した。最終需要向けPPIは前月比1.3%上昇し、2022年3月以来の大幅な伸びとなった。前年同月比では6.3%上昇した。
物価上昇は賃金の購買力にも影響している。BLSによると、民間非農業部門の全従業員の実質平均時給は2025年9月から2026年9月までの1年間で0.7%低下した。実質平均週給も同期間に0.1%低下した。
名目平均時給は同期間に3.0%上昇したものの、物価上昇率を下回った。平均的な労働者は名目賃金が増えていても、1年前に比べて賃金で購入できるモノやサービスがわずかに減ったことになる。
こうした家計への圧力は、生活費が高い都市ほど顕著である。
金融情報サイトSmartAssetが2026年に米国の主要100都市を対象に行った調査によると、単身者が「快適な生活」を送るために必要な年収は、ニューヨーク市で15万8954ドル(約2510万円)だった。カリフォルニア州サンノゼは15万8080ドル(約2497万円)、ボストンは13万9776ドル(約2208万円)と試算された。
一方、テキサス州サンアントニオは8万3242ドル(約1315万円)、テネシー州メンフィスは8万6320ドル(約1363万円)だった。年収10万ドル(約1579万円)の場合、サンアントニオでは調査上の「快適な生活」の基準を上回るが、ニューヨーク市では約5万9000ドル(約932万円)不足する計算になる。
SmartAssetは「50・30・20ルール」に基づいて必要年収を算出した。税引き後収入の50%を住宅や食料、交通などの必要経費、30%を裁量的な支出、20%を貯蓄や債務返済に振り向けられる水準を「快適」と定義している。この金額は最低限生活するために必要な収入を示すものではない。
子ども2人と働く大人2人からなる4人家族の場合、必要な世帯年収はさらに高い。ニューヨーク市では33万7875ドル(約5336万円)、ボストンでは36万8742ドル(約5824万円)、サンノゼでは40万2771ドル(約6361万円)と試算された。単身者ではニューヨークが3都市で最も高いが、4人家族ではサンノゼ、ボストン、ニューヨークの順となる。地域による保育費などの違いが必要年収を大きく左右する。比較的生活費の低いサンアントニオでも19万2608ドル(約3042万円)が必要とされた。
物価上昇の再加速は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策判断も難しくしている。FRBは9月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25ポイント引き上げ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.75〜4.00%とした。
インフレ指標の上振れは追加利上げを検討する材料となる一方、市場の政策金利見通しは経済指標などによって大きく変動している。借入金利がさらに上昇すれば、住宅ローンやその他の信用コストを通じて、生活水準を維持しようとする家計の負担が一段と重くなる可能性がある。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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