GoogleのAI要約で変わるSEO戦略 眠る過去記事を「再び稼ぐ資産」に

2026年10月2日 12:07

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記事提供元:International Business Times

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 AIを使った検索サービスの普及が、インターネット上の情報の探し方だけでなく、情報を生み出したウェブサイトへのアクセスにも影響を及ぼしている。米調査機関Pew Research Centerによると、Google検索でAIによる要約が表示された場合、利用者が通常の検索結果をクリックした割合は8%にとどまり、AI要約が表示されなかった場合の15%を下回った。

 こうした環境では、出版社や企業にとって「新しい記事をどれだけ増やすか」だけでなく、すでに保有するコンテンツをどう活用するかが重要になりつつある。過去の記事の中から再び検索需要を取り込めるものを見つけ、更新・最適化する戦略である。

■AI要約表示時、通常の検索結果クリックは8%

 Pew Research Centerは、米国の成人900人が2025年3月に行ったウェブ閲覧を分析した。対象となったGoogle検索は6万8879件で、このうち1万2593件でAIによる要約が表示された。

 AI要約が表示された検索ページでは、利用者が通常の検索結果のリンクをクリックした割合は8%だった。AI要約がない場合は15%だった。また、AI要約内に示された出典リンクがクリックされた割合は1%にとどまった。

 AI要約が表示された検索ページを見た後、そのままブラウザでの閲覧を終えた割合も26%と、AI要約がない場合の16%を上回った。

 ニュース検索でも、外部サイトを訪れない「ゼロクリック」の増加がみられる。Similarwebのデータでは、ニュース関連のGoogle検索のうちニュースサイトへのクリックが発生しなかった割合は、GoogleがAI Overviewsを本格導入した2024年5月の56%から、2025年5月には69%近くまで上昇した。

 The Next Webは、Google検索全体でもゼロクリックが約60%を占めると報じている。また、出版社へのGoogle検索経由のトラフィックは2025年11月までの1年間で世界全体で33%減少したとしている。

■「新しい記事を増やせば流入も増える」が通用しにくく

 過去約20年間、オンラインコンテンツには「記事を増やせば検索結果に表示される機会が増え、露出が増えればアクセスも増える」という考え方が広くあった。

 AI検索はこの関係を変えつつある。問われるのは単純な記事本数ではなく、どの記事が引き続き読者を呼び込めるのか、既存の記事のうち何を再活用できるのか、そしてどの記事には追加投資する価値がないのかという判断である。

 大規模なメディア運営者の問題は、コンテンツそのものが足りないことではなく、保有する大量の記事を十分に整理・評価できていないことにある場合がある。アクセスが減ると新しい記事を増やす一方で、既存の記事への対応が後回しになれば、同じ検索キーワードを新旧の記事が奪い合う状況も生じる。

 SEOやコンテンツ戦略を手掛ける米Sandler Digitalのティモシー・ブロフィ最高経営責任者(CEO)と、共同創業者兼チーフストラテジストのイーライ・フェルドブラム氏は、メディア運営者の既存コンテンツに活用余地があるとみる。

 フェルドブラム氏は「非常に価値のある資源を持っているのに、それを活用していないようなものだ」と指摘する。「何かを間違えてきた、あるいは方針を変えなければならないという話ではない。手元にある資産を十分に利用していない。その資産が既存のコンテンツライブラリーだ」と述べた。

 さらに、生成AIが普及するなかで既存記事の価値が高まっているとの見方を示す。大規模言語モデル(LLM)が回答を生成するためには情報源が必要であり、「AIにトラフィックを奪われるのか、それともAIの環境を受け入れ、その中で存在感を示すのかだ」と語った。

■数年前の記事にも再浮上の余地

 Sandler Digitalは、既存の記事の中から再び検索流入を生み出せる可能性があるものを特定し、必要な範囲で最適化する。従来の検索だけでなく、AIを通じた情報発見でも見つけられやすくすることを狙う。また、新規記事についても、執筆や編集の段階から検索需要を意識できるよう、ライターや編集者を支援する。

 同社の公式サイトによると、Ziff Davisでは新規コンテンツの企画・優先順位付けに加え、大規模な過去記事群の最適化を支援した。Questexでも複数のサイトにまたがる数百ページの既存コンテンツを最適化したとしている。

 フェルドブラム氏によると、メディア運営者の過去記事を調べると、当初は長期間アクセスを集めることを想定していなかったにもかかわらず、結果的に「エバーグリーン」となっている記事が少なくない。3〜4年前の記事でも大きなアクセスを生み出す可能性がありながら、出版社側がその価値に気付いていないケースがあるという。

 一方で、同じテーマを担当する記者が継続的に記事を書くことで、新しい記事と古い記事が同じキーワードで競合することもある。フェルドブラム氏は、Googleから見ればコンテンツの構成が整理されていない状態になっているにもかかわらず、「多くの出版社はそれに気付いていないと思う」と話す。

■「一度上位に入った記事」を重点的に見直す

 すべての過去記事が再活用に向いているわけではない。

 ブロフィCEOは、もともと検索順位に入った実績がない記事を手直ししても、上位表示される可能性は低いとみる。一方、かつて検索上位に入り、その後順位を落とした記事には再浮上の余地があるという。

 特に、あるキーワードで検索順位が5〜30位程度にあり、しかも出版社側が当初はそのキーワードでの上位表示を意識していなかった記事には価値がある可能性が高いとしている。

 長期間通用するエバーグリーン記事や、一定期間ごとに関心が戻るテーマも対象になる。数年前の商品やトレンドを扱った記事でも、同じテーマが再びニュースになれば読者の需要が戻ることがある。

 ブロフィCEOは、出版社は検索対策への人員や資金の配分を見直す必要があると主張する。過去記事を「墓場」ではなく、管理すべき資産のポートフォリオとして捉え、新しい記事を発注する前に、かつて成果を上げた記事を再評価するという考え方だ。

■狙うのは一時的な急増ではなく「基礎流入」の底上げ

 既存記事の最適化で目指すのは、一度だけアクセスを急増させることではなく、新しい記事を出さなくても得られる基礎的なアクセスを増やすことである。

 ブロフィCEOは、仮に新規記事を公開しない月のアクセスが10万件で、新しい記事によってさらに100万件を得ているサイトがあるとすれば、「ここでの計画は、そのベースラインを引き上げることだ」と説明する。

 既存コンテンツの改善によって毎月5万件、あるいは基礎流入を20%ずつ積み上げられれば、1年後の事業規模は大きく変わる。ニュースが少ない日でも、基礎となる流入が増えていればアクセスの落ち込みを抑えられる。

 そのため、既存コンテンツの分析と管理を一度限りのプロジェクトではなく、継続的な業務として扱う必要があるという。

 Sandler Digitalは、記事の語り口や編集方針そのものを大幅に変更するのではなく、対象を絞って修正し、小規模に効果を検証したうえで取り組みを広げるとしている。

 ブロフィCEOは、こうした作業について、出版社にとって重要性は理解していても日々の編集業務に追われて後回しになりがちだと指摘する。「あまりに当然のことに見える一方で、非常に見過ごされている。運動のようなものだ。誰もがやるべきだと分かっている。でも、本当にやっているだろうか」と述べた。

 AI検索の普及で、出版社の競争力は単純な記事の量だけでは決まりにくくなっている。保有するコンテンツを調べ、更新し、優先順位を付ける仕組みを構築できるかどうかが、検索やAI経由で残るアクセスを取り込むうえで重要になりそうだ。

※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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