ポルシェ、カイエン エレクトリック向け11kWワイヤレス充電を欧州で展開 伝送効率は最大90%

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ポルシェは、カイエン エレクトリック向けの「Porsche Wireless Charging」を欧州で展開する。床面に設置したグラウンドパッドの上に車両を停めると、充電ケーブルを接続せずに最大11kWで充電できる。電力網からバッテリーまでの伝送効率は最大90%としている。
英国では、車両側の受電装置とグラウンドパッドを組み合わせて利用する。英国仕様のカイエン エレクトリックには必要な配線などの準備装備が標準搭載され、受電装置は新車注文時に選択できるほか、ポルシェセンターで後付けすることも可能だ。
■量産BEV向けの11kWワンボックスシステム
Porsche Wireless Chargingは、駐車スペースに置くグラウンドパッドと、車体底部に装着する受電装置で構成される。グラウンドパッドには電力変換や充電制御に必要な機器がまとめられており、別体のウォールボックスや制御装置を必要としない。
ポルシェは、量産バッテリーEV向けとして11kWのワンボックス型床面プレートを市場投入する初の自動車メーカーだとしている。カイエン エレクトリックは、このシステムを利用できる同社初のモデルとなる。
自動車向けワイヤレス充電は、これまでにも市販車へ導入された例がある。BMWは2018年、プラグインハイブリッド車の530e iPerformanceに、出力3.2kW、効率約85%の工場装着型システムを設定した。
韓国ではGenesis GV60を使ったワイヤレス充電サービスが2022年に始まったものの、現地報道によると、需要や信頼性、事業拡大に伴うコストなどを理由に2023年に終了した。ポルシェのシステムは、より高い充電出力に加え、必要な機器を床面プレート内へ統合することで設置を簡素化している。
■磁界を介して最大11kWを伝送
ワイヤレス充電では、グラウンドパッドの送電コイルに交流電流を流して磁界を発生させる。車体底部の受電コイルに生じた交流電流を整流器で直流へ変換し、高電圧バッテリーへ送る仕組みだ。
ポルシェのシステムは85kHzで動作し、送電側と受電側のコイルを磁気的に結合して電力を伝える。ポルシェによると、車両とグラウンドパッドの間に12~18cmの空隙がある状態でも、最大11kWで90%を超える伝送効率を実現する。
最大11kWという出力は、一般的な家庭用有線ACウォールボックスと同等である。これは充電地点から車両へ送られる最大出力であり、実際の充電時間はバッテリー残量、温度、電源設備、充電設定などによって変わる。
カイエン エレクトリックは総容量113kWhの高電圧バッテリーと800Vアーキテクチャを採用する。有線AC充電では標準の車載充電器で最大11kWに対応し、ワイヤレス充電も同じ出力水準に設定されている。
■設置機器をグラウンドパッドに集約
グラウンドパッドの大きさは長さ117cm、幅78cm、高さ6cmで、重量は約50kgである。ガレージやカーポートのほか、屋外の駐車スペースにも設置でき、通電部分は雨や雪から保護されている。
インバーターや充電制御などの機能はグラウンドパッド側にまとめられている。設置時には電源への接続が必要となるが、別の壁掛け型制御装置を追加する必要はない。電気設備への接続は有資格の電気工事士が行う。
充電時には、カイエン エレクトリックの車高が自動的に下がり、グラウンドパッドと受電装置の間隔を調整する。受電装置は前輪の間にある車体底部へ取り付けられ、飛び石や天候の影響から保護される。
英国仕様では、受電装置を取り付けるための準備装備が標準化されている。受電装置は新車注文時だけでなく、納車後もポルシェセンターで追加できるため、購入時に選択しなければ利用できなくなる仕様ではない。
■駐車位置をUWBと画面表示で案内
充電には送電コイルと受電コイルを適切な位置に合わせる必要がある。カイエン エレクトリックでは、パークアシストの画面に車両とグラウンドパッドの位置関係を表示し、ドライバーを充電可能な位置へ案内する。
位置検出には超広帯域無線(UWB)も利用する。登録済みのグラウンドパッドへ近づくと車両が設備を認識し、画面上に位置合わせの案内を表示する。車両を所定の位置に停車してシフトを「P」に入れると、充電が自動的に始まる。
初回利用時には、車両とグラウンドパッドをパスワードでペアリングする。その後は設置場所を車両が記憶し、同じ場所へ戻った際に設備を自動認識する。同一のグラウンドパッドには複数の車両を登録できる。
My Porscheアプリでは、充電状態や充電履歴の確認、充電出力の設定、車内の事前空調などを利用できる。グラウンドパッドはLTEまたはWi-Fiでインターネットへ接続し、遠隔診断やソフトウェア更新にも対応する。
■動体と金属異物を検知して充電を停止
安全機能として、グラウンドパッドには動体検知と金属製異物の検知機能が組み込まれている。車両とパッドの間で人や動物の動きを検知した場合や、パッド上の金属物が加熱した場合には、充電を自動的に中断する。
検知対象がなくなると、システムは充電を再開できる。充電中の電磁界は主に車体底部の範囲に限定され、シールド材とフェライトによって磁束を送受電コイル間へ導く。
ポルシェによると、グラウンドパッドはTÜV SÜDを含む試験を受けており、EU向けのCE認証と米国向けのUL認証を取得している。屋外使用にも対応し、車両がタイヤで乗り越えても重大な損傷が生じない構造としている。
グラウンドパッドにはLTE通信機能が標準搭載され、追加の携帯通信契約を必要としない。地下駐車場などLTEの受信状態が良くない場所では、Wi-Fiへ接続してオンライン機能を利用できる。
■英国では新車装着時に約140万円
英国では、車体底部へ取り付けるワイヤレス充電用ビークルパッドが新車注文時に1322ポンド、家庭側のグラウンドパッドが5355ポンドと報じられている。新車注文時に一式を導入する場合は計6677ポンドとなる。
2026年9月18日時点の為替で約8940ドル、翻訳基準の1ドル=157円で換算すると約140万円に相当する。電気工事や設置場所の状況によっては、機器代とは別に設置費用が発生する可能性がある。
英国で受電装置を後付けする場合の価格は、新車注文時のオプション価格と異なる。グラウンドパッドの購入や現地調査、設置工事については、ポルシェが案内する設置事業者を通じて手配できる。
Porsche Wireless Chargingは英国を含む欧州で受注が始まっている。米国については、ポルシェが2026年後半の提供を予定している。
■狙いは家庭充電の手間を減らすこと
ポルシェの分析では、同社の電気自動車における充電の約75%が自宅で行われている。ワイヤレス充電は、有線方式を置き換えるほど充電時間を短縮するのではなく、帰宅するたびにケーブルを取り出して接続する作業をなくすことに主眼がある。
伝送効率が最大90%であるため、同じ量の電力をバッテリーへ蓄えるには、理論上は伝送損失の分だけ多くの電力が必要になる。一方、最大出力は有線AC充電と同じ11kWで、ポルシェは充電時間も11kWのウォールボックスと同等としている。
カイエン エレクトリックでは、駐車位置の案内、車高調整、認証、充電開始、安全監視を一つのシステムとして統合した。家庭での充電を、車両を所定の位置へ駐車するだけの日常動作に組み込むことが、このシステムの中心的な価値となる。
元記事: Porsche Wireless Charging Now Sells in Europe: First BEV at 90 Percent Inductive Efficiency
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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