米アンソロピック、AI基盤効率化のDecart買収を見送りとの報道―協業の可能性は残る

2026年9月10日 00:51

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記事提供元:Tech Times

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Anthropicが、イスラエルのAIスタートアップDecartの買収を見送ったとBloombergが報じた。両社は約60億ドル(約9240億円、1ドル=154円換算)規模の取引を協議し、Anthropicはデューデリジェンスを実施したが、最終的に買収を進めないと判断したという。買収契約は締結されておらず、見送った理由も明らかになっていない。

AnthropicとDecartの担当者は、Bloombergの取材にコメントを控えた。一方、事情に詳しい関係者によると、完全買収とは異なる形で両社が協業する可能性は残されている。

■AI基盤の効率化技術を開発

Decartは2023年にDean Leitersdorf、Orian Leitersdorf、Moshe Shalevによって設立された。AIモデルの学習や推論に使う半導体の処理効率を高め、既存の計算基盤でより多くの需要に対応できるようにするソフトウェアを開発している。

中核技術の「Decart Optimization Stack(DOS)」は、NvidiaのGPU、GoogleのTPU、Amazon Web ServicesのTrainiumに対応する。複数種類のAIアクセラレーターにまたがって学習や推論処理を最適化することで、特定の半導体基盤への依存を抑えながら、計算資源の利用効率向上を目指す仕組みである。

Decartはこのほか、映像をリアルタイムに近い速度で変換する「Lucy」や、操作に応じて環境を生成するワールドモデル「Oasis」を開発している。同社の公式情報によると、これらのモデルと基盤技術を組み合わせ、映像生成やロボット向けシミュレーションなどに展開している。

■性能値はDecart側の公表値

Decartは2026年5月、DOS 2.0について、AIエージェントの推論処理で毎秒1600トークンを超える性能を実現すると発表した。世界モデルについては、主要なハードウェア基盤上で毎秒100フレームを超える処理性能を掲げている。

もっとも、毎秒1600トークンという数値はDecartが公表した性能値であり、利用するモデル、ハードウェア、入力の長さ、バッチ処理の条件などによって実際の速度は変わる。AnthropicのClaudeを使った大規模環境で同程度の効果が得られるかについて、公開された独立検証は確認されていない。

Bloombergによると、Anthropicが買収を検討した狙いは、Decartの技術を利用して自社の既存計算基盤でより多くの需要を処理することにあった。買収の見送りによって特定の技術的課題が未解決になったとまでは確認されておらず、Anthropicが今後どのような形でDecartの技術を利用するかも明らかになっていない。

■直近の資金調達では約40億ドルの評価

Decartは2026年5月、Radical Venturesが主導するシリーズBで3億ドル(約462億円)を調達した。このラウンドにおける企業価値は約40億ドル(約6160億円)で、同社の累計調達額は4億5000万ドルを超えた。

出資者にはNvidia、Adobe Ventures、Toyota Ventures、eBay Ventures、Sequoia Capital、Benchmarkなどが含まれる。報道では、DecartがAnthropicとの協議に先立ってNvidiaとも買収交渉を進め、Anthropicより高い評価額を提示されていたとされる。ただし、Nvidiaによる提案の正確な金額や条件は公表されていない。

Anthropicによる買収案についても、報道によって約60億ドルから約70億ドルまで幅がある。一部の報道では対価の多くがAnthropic株式になる予定だったとされるが、最終契約には至っていない。

■NvidiaはHugging Face買収で合意

Nvidiaは米国時間の2026年9月3日、AIモデル共有基盤を運営するHugging Faceを約129億ドルで買収することに合意したと発表した。これは買収完了ではなく、必要な規制当局の承認などを前提とする契約段階である。

NvidiaがDecartに改めて買収を提案するかどうかは不明だ。Hugging Faceとの取引を理由に、同社がほかの買収に消極的になると判断できる公式情報も示されていない。

■完全買収以外の協業も選択肢

AnthropicはClaudeの開発と提供に必要な計算能力の拡大を進めている。2026年7月にはAMDとの戦略的提携を発表し、AMD Instinct MI450シリーズのGPUを最大2ギガワット規模で導入する計画を明らかにした。最初の1ギガワット分は2027年上半期に導入を始める予定で、AMDはAnthropicに最大50億ドルを出資する方針である。

この提携には、Claudeを使ったAMD向けソフトウェア開発や、AMDのGPU上で動く処理の最適化に関する共同作業も含まれる。Anthropicはハードウェアの確保だけでなく、ソフトウェアとの共同最適化によって計算基盤の効率を高めようとしている。

Decartとの買収協議は終了したものの、ライセンス契約、顧客としての利用、資本提携など、完全買収を伴わない関係を築く余地は残る。現時点で確認されているのは、Anthropicがデューデリジェンスを実施したうえで約60億ドル規模の買収を進めないと判断したことと、両社が別の協業を検討する可能性があることまでである。

元記事: Anthropic Abandons Decart Acquisition, Leaving Claude Compute Cost Gap Unsolved

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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