太陽のコロナ質量放出で地磁気嵐が地球に到達、週半ばにはG3級の強い「第2波」の可能性も

2026年7月28日 18:13

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記事提供元:Tech Times

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米国東部時間7月24日に太陽の南半球で発生したコロナ質量放出(CME)が、7月26日夜に地球の磁気圏へ到達した。7月27日夜はG1(弱)からG2(中)クラスの地磁気嵐が発生する可能性が最も高く、米国北部、カナダ南部、スコットランド、スカンジナビアではオーロラが見られる可能性がある。しかし、より重要なのは、その後に控える、さらに強いCMEの第2波だ。米海洋大気局(NOAA)の宇宙天気予報センターは7月31日までの地磁気嵐に関する警戒情報を出しており、7月29日ごろをピークにG2からG3(強)クラスの状態になる可能性が高いとしている。

■7月24日の噴出はどのように地球へ到達したか

NASAゴダード宇宙飛行センターのC. Alex Young氏によると、米東部時間7月24日午前0時38分(日本時間24日午後1時38分)、太陽の南半球で、中心子午線に近い座標S20E15付近にあった巨大な太陽フィラメントが持ち上がった。太陽フィラメントとは、太陽外層の大気中に浮かぶ、磁化したプラズマのひも状の構造である。この噴出はC2.4クラスの太陽フレアと、プラズマが宇宙空間へ放出されたことを示す指標となる「コロナ減光」を伴っていた。

発生したCMEは、今シーズンで最も強力なものではなかった。複数の太陽活動周期にわたるコロナグラフの記録によると、CMEの速度は秒速20〜3,200km、平均は秒速489kmである。今回の放出は秒速794〜827kmと高速ではあるが極端ではなく、キャリントン級ではなく、平均を上回る規模の現象に相当する。

EarthSkyの報道によると、米東部時間7月25日午前7時15分(日本時間25日午後8時15分)には秒速325kmの別の遅いCMEが観測されたが、地球に向かう成分はないと予想されている。

■WSA-ENLILモデルの予測と不確実性

接近するCMEの追跡は、レーダーでハリケーンを追うのとは異なる。NOAA宇宙天気予報センターの科学者は、プラズマ雲がいつ、どの程度の強さで地球に到達するかを推定するため、WSA-ENLIL+Coneモデルを使用している。これは、Wang-Sheeley-Arge(WSA)太陽風境界モデル、ENLIL太陽圏伝播モデル、円錐形のCME挿入モデルを組み合わせた3要素のシミュレーションである。

2つの解析モードからは、わずかに異なる結果が得られた。秒速794kmとする前縁部解析では、米東部時間7月26日午後3時25分(日本時間27日午前4時25分)に地球へ到達し、最接近距離は地球半径の6.4倍になると予測された。一方、秒速827kmとする衝撃波面解析では、米東部時間同日午後3時56分(日本時間27日午前4時56分)に、地球半径の6.0倍まで接近すると予測された。どちらの解析もKp指数を4〜6と推定し、G1(弱)からG2(中)クラスの地磁気嵐が発生する可能性を示している。

NOAAの予報官は重要な留保も付けている。今回の現象を「弱く、側面をかすめる」CMEの影響と位置づけ、主な影響は7月26日ではなく27日に現れると予想した。SIDC(太陽影響データ解析センター)は、さらに遅い7月27日後半から28日前半に、かすめるように到達する可能性をモデルで示している。モデルによる26日到達という予測と、予報官による27日という評価の食い違いは、WSA-ENLILの全予測に前後7時間という標準的な誤差幅があることを示している。英国気象庁の宇宙天気運用センターも独自に同様の見通しを示し、CME到達時には「活発」からG1(弱)の地磁気嵐となり、G2(中)に達する可能性もあるとしている。

■地磁気嵐の鍵を握る「Bz成分」

今夜、何百万人もの人がオーロラを見られるか、それとも小規模な乱れに終わるかは、CMEの内部にある惑星間磁場のBz成分という1つの測定値にかかっている。

Bzとは、地球の磁場に対する太陽由来の磁場の南北方向の成分である。Bzが強く南向きになると、地球の昼側の磁気圏界面で磁気リコネクション(磁力線のつなぎ替え)が起こる。これによって太陽風のエネルギーが流れ込み、磁気圏が活性化する。一方、Bzが北向きの場合、地球の磁気シールドは流入するプラズマの大部分をそらす。研究では、マイナス10ナノテスラ以下の南向きBzが3時間を超えて続くと、強い地磁気嵐を引き起こすのに十分だとされている。

重大な問題はタイミングだ。地球に到達する前にBzを測定できる唯一の観測機器は、NOAAのSOLAR-1衛星に搭載されている。この衛星は、運用を終了したDSCOVR宇宙機に代わる主要な太陽風監視衛星として、地球から太陽方向へ約150万km離れた太陽・地球系の第1ラグランジュ点(L1)で観測している。SOLAR-1が測定した太陽風が地球へ到達するまでの猶予は15〜60分しかない。これは送電網を守るための対策を講じるには短すぎる場合が多く、数時間前に出された予報を修正するにはあまりにも遅い。

今夜のCMEが南向きのBzを持続的に伴って到達すれば、シアトル、ミネアポリス、エディンバラ、イングランド北部などでオーロラが見られる可能性がある。Bzが北向きのままであれば、地磁気嵐の警戒情報が出ていても、オーロラは現れない可能性がある。

さらに、7月27日に特有の制約として「真夏の薄明」がある。7月下旬の北緯50度以上の地域、すなわちスコットランド、スカンジナビア、カナダ北部などでは、天文薄明が終わった完全な暗夜がほとんどない。そのため、米国北部やカナダ南部の観測者は、北欧の観測者よりもかなり良い条件で観測できるだろう。

■G1〜G2クラスの地磁気嵐がインフラに与える影響

多くの観測者にとって、今夜の地磁気嵐は実用上のリスクというより、オーロラ観測の機会である。しかし、地磁気嵐の影響は目に見える光だけにとどまらない。

NOAAの地磁気嵐スケールによると、Kp指数5に相当するG1(弱)では、送電網で軽微な電圧変動が起きることがある。衛星運用では大気抵抗がわずかに増加し、地球の磁場を利用して移動する野生動物が一時的に影響を受ける可能性もある。G2(中)になると、高緯度の電力システムで電圧警報のリスクが高まり、地磁気嵐が長時間続いた場合は変圧器が損傷する可能性がある。また、地球低軌道の宇宙機では、測定可能な大気抵抗の増加が生じる。

地磁気嵐の発生中は、電荷を帯びた地球大気の上層である電離層が乱れ、測位システムが利用する電波の経路が曲げられるため、GPSの精度も低下する。この影響は航空ナビゲーション、精密農業、建設測量などに及ぶ。ただし今回については、NOAAがCMEを「弱く、側面をかすめる」と説明しているため、広範なインフラへの影響は考えにくい。最大の注目点は依然としてオーロラ観測の機会である。

SOLAR-1からの太陽風データは、NOAA宇宙天気予報センターのウェブサイト(spaceweather.gov)でリアルタイムに確認できる。同サイトでは、Kp指数の最新値、3日間予報、オーロラの可視範囲を示すマップも継続的に更新されている。

■7月26日から27日にかけての予報

NASAゴダード宇宙飛行センターの太陽物理学研究者C. Alex Young氏が、EarthSkyの7月26日付の太陽活動情報で分析したNOAAの3日間予報は、以下の通りだった。

7月26日は日中を通じてほぼ静穏な状態が続き、ところによりやや乱れた時間帯(Kp 2〜3)がある可能性があった。7月24日のCMEは、早ければ米東部時間午後3時25分(日本時間27日午前4時25分)に到達し、同日遅くにはG1(弱)クラスの活動へ高まる可能性があるとモデルで予測されていた。

7月27日はG1(弱)の地磁気嵐となる可能性が最も高く、Kp 5〜6に達するG2(中)の地磁気嵐になる可能性もある。米国北部、カナダ南部、スコットランド、スカンジナビアの観測者には、夜間のオーロラに注意することが推奨されている。南半球でも、ニュージーランド最南端やタスマニアの観測者が短時間オーロラを見られる可能性がある。

7月28日は、CMEの影響が弱まるにつれて状況が徐々に落ち着くと予想されている。早い時間帯には活発な状態が残る可能性があるものの、一日の終わりまでには静穏からやや乱れた水準へ戻るとみられる。

■太陽活動周期25の現状

今回の現象は、2019年12月に始まった太陽活動周期25(サイクル25)のピークから、活動が緩やかに低下する時期に発生している。NOAAとNASAは2024年10月15日、太陽が極大期に達したと発表した。EarthSkyの7月26日付の太陽活動情報では、365日移動平均で平滑化した黒点数のピークを2024年10月11〜12日としており、2026年2月までには活動の顕著な減少が見られたとしている。

全体的には下降傾向にあるものの、現在地球側を向いている太陽面には、磁気的に複雑な黒点領域が複数存在している。活動領域AR4494は、エネルギー活動が特に複雑な構成であるベータ・デルタ型の分類を維持しており、7月26日時点でも磁束の出現が続いていた。北東象限にある新しい領域AR4496は成長を続けており、今後何日にもわたって地球に影響し得る位置にある。

CMEの到達が予想されるまでの24時間におけるフレア活動は比較的穏やかで、Cクラスのフレアが9回発生したが、MクラスやXクラスの現象はなかった。最も強かったのは、米東部時間7月26日午前3時25分(日本時間26日午後4時25分)にAR4495から発生したC4.2フレアだった。

宇宙天気の研究者は、おおむね2027年半ばまでを、衛星インフラや高緯度の送電網に対するリスクが高い状態で続く期間と位置づけている。この周期の下降期は、2019年や2020年の静穏期に比べて、依然としてかなり活発だからだ。

■より重大な脅威:週半ばに迫るCMEの第2波

今夜の活動は、今週の主要な現象ではない。

NOAAは追加のコロナ質量放出が相次いで発生したことを受け、7月29日から31日を対象とする地磁気嵐の警戒情報を出した。週末には太陽活動が活発化し、太陽フレアやフィラメント噴出に伴って複数の新たなCMEが発生した。一部には地球に向かう成分が含まれており、7月27日早朝に起きた噴出の影響は、早ければ7月29日にも到達し始める可能性がある。7月27〜28日に放出された追加のCMEは7月30日ごろに到達すると予想されており、WSA-ENLILモデルは、これによってG2からG3(強)クラスの状態になる可能性を示している。G3は、高緯度の送電網が、変圧器の鉄心を飽和させ得る地磁気誘導電流にさらされる水準である。

この第2波が今夜の現象より構造的に複雑なのは、「CME同士の相互作用」と呼ばれる現象が起こる可能性があるためだ。予報官や物理学者は、これを「共食いCME(cannibal CME)」の形成と呼ぶこともある。高速で移動する太陽プラズマの雲が、その前を進む低速の雲に追いつくと、両者は合体して「複合放出物」と呼ばれる構造になる。これは、それぞれのCME単独よりも大きな磁気エネルギーを蓄えた結合構造である。歴史的な記録でも、最も極端な宇宙天気現象には複数の連続したCMEが関与していたことが確認されている。1859年のキャリントン・イベントでは複数の噴出が起こり、低緯度でも4夜にわたってオーロラが観測された。

この合体がもたらす重大な結果は、エネルギーの増幅だけでなく、予測の難しさにもある。合体した構造の内部磁場の向きは安定性が低く、モデル化も難しいため、Bz成分の挙動を事前に予測することがさらに困難になる。複数の活動領域が噴出を続けている時期に、強い南向きのBzを伴う共食いCMEが到達すると、地磁気嵐がNOAAの到達前予報を上回る可能性がある。2026年7月4日には、予測を2段階上回るG3の地磁気嵐が実際に到達した。

■今夜の観測方法と週半ばに向けて確認すべきこと

今夜については、米国北部とカナダ南部の観測者は、現地の日没ごろからNOAA宇宙天気予報センターのリアルタイムKp指数を確認するとよい。Kp値が5以上ならG1(弱)、6以上ならG2(中)の地磁気嵐を示す。Spaceweather.comや無料のSpace Weatherアプリなど、NOAAのデータを集約するモバイルアプリやウェブサイトでは、Kp指数が利用者の設定したしきい値を超えた際にプッシュ通知を受け取れる。

オーロラ観測に最適な時間帯は、現地の磁気的な真夜中を挟む時間で、通常は現地時間の午後11時から午前2時ごろである。北の空を広く見渡せる暗い場所を選ぶ必要があり、都市部の光害はオーロラのコントラストを著しく低下させる。高緯度地域には真夏の薄明という制約があるため、おおむね北緯45〜55度の帯域にいる観測者が、暗さと地磁気嵐の条件の最も良い組み合わせを得られる可能性が高い。この帯域にはミネアポリス、シアトル、トロント、エディンバラなどが含まれる。

7月29〜31日の第2波についても同じ監視方法が使えるが、警戒の必要性は一段と高い。G3クラスになれば、オーロラは今夜予想されるG1〜G2の範囲よりもかなり南まで広がり、米国北部全域や米国西部の一部でも見られる可能性がある。1日2回更新されるNOAAの3日間予報は、この第2波を追跡するうえで最も信頼できる単一の情報源である。

■注目ポイントQ&A

●CMEはどのようにして地磁気嵐を引き起こすのですか。また、なぜ予報官は事前に強度を正確に予測できないのですか?

コロナ質量放出(CME)は、太陽から放出される磁化したプラズマの雲です。この雲が地球に到達すると、昼側の磁気圏を圧縮し、地磁気嵐を引き起こす可能性があります。しかし、その強度は、到達時における雲の内部磁場の向きにほぼ全面的に左右されます。磁場のBz成分が南向きの場合、地球の磁場との間で磁気リコネクションが起こり、磁気圏へエネルギーが流れ込んで地磁気嵐を発生させます。Bzが北向きなら、地球の磁気シールドはおおむね機能します。問題は、CMEが地球から約150万km離れたL1監視点に到達するまで、Bzを測定できないことです。そのため、予報官が確認済みのデータを得られるのは、地磁気嵐が始まるわずか15〜60分前です。それ以前に出される強度予報は、いずれも確率的な推定であり、確認済みの観測値ではありません。

●今夜のG1〜G2の地磁気嵐で、オーロラが見える都市はどこですか?

G1(弱)の状態では、オーロラは通常、地磁気緯度でおよそ50度以上の地域から見えます。BzやKpの条件が良ければ、45度付近まで広がることもあります。北米ではシアトル、ミネアポリス、トロントがこの範囲に含まれ、最も強い時間帯にはシカゴやデトロイトでも見える可能性があります。欧州では、エディンバラ、イングランド北部、デンマーク、スカンジナビア南部が範囲に入ります。ただし、高緯度地域では真夏の薄明が視認性を大きく制限します。7月下旬のエディンバラでは完全に暗くなる時間がほとんどないため、淡いオーロラは薄明にかき消される可能性があります。同じ都市で同じKp指数でも、10月ならはるかに見えやすくなります。

●なぜ7月29〜31日の警戒情報は、今夜の現象よりも深刻なのですか?

今夜のCMEは、NOAAの予報官によって「弱く」「側面をかすめる」ものと説明されています。つまり、中心部による直撃ではなく、6月8日のG3共食いCMEや7月4日のG3地磁気嵐といった最近の現象ほど大きな磁気エネルギーを持っていません。一方、7月29〜31日の警戒情報は、太陽活動が特に活発だった7月27〜28日に相次いで発生した複数のCMEに関するものです。これらは移動中に合体して「複合放出物」を形成すると予想されており、磁気エネルギーが増幅されるだけでなく、内部磁場の向きも予測しにくくなります。WSA-ENLILモデルは、これによってG2からG3(強)クラスの状態になる可能性を示しています。G3は、送電網が変圧器を損傷させ得る地磁気誘導電流にさらされる水準であり、今夜のオーロラ観測を中心とした状況とは質的に異なるリスクがあります。

●G1〜G2の地磁気嵐の最中に飛行機に乗っても安全ですか?

はい。G1〜G2の状態が民間航空の安全に直接的な脅威を及ぼすことはありません。高緯度の極地航路を運航する航空会社では、HF(短波)無線通信がわずかに不安定になったり、特に高緯度でGPSの精度が若干低下したりする可能性があります。これらの影響は航空当局によって監視されており、必要に応じて飛行計画が調整されます。一般の乗客が特別な行動を取る必要はありません。国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士も、軌道の大部分では地球の磁気圏によって守られており、G1〜G2の現象によって放射線リスクが高まることはありません。

元記事: Geomagnetic Storm Arrives With More Powerful Waves Still Following Behind

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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