旧大沼山形本店、跡地と施設を市都市振興公社が落札 市主導で再開発へ

2020年12月4日 18:23

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大沼跡地の取得を発表する佐藤山形市長(左)ら(山形市発表資料より)

大沼跡地の取得を発表する佐藤山形市長(左)ら(山形市発表資料より)[写真拡大]

 山形市都市振興公社が、1月に経営破たんした山形市七日町の百貨店「大沼」の跡地と建物を取得した。山形市の佐藤孝弘市長が市役所で記者会見して明らかにしたもので、庁内にプロジェクトチームを設けて近く検討に入る。山形県は百貨店ゼロ県となっているだけに、将来の再開発も見据えながら、商業施設として再生を目指す。

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 旧大沼山形本店の土地と建物などは山形地裁によって競売にかけられ、山形市の外郭団体である市都市振興公社が3億8,200万円で落札した。売却先は18日に正式決定し、執行抗告がなければ26日に所有権が市都市振興公社に移る。

 佐藤市長は市都市振興公社が競売に応札したことについて、「中心市街地にある跡地を活用するためには市都市振興公社が所有し、活用方法をじっくりと検討すべきと考えた」と述べた。検討作業は当面の活用と将来の再開発を見据えた活用の両面から進める方針で、活用方法に関しては「市の中心市街地にあり、市民も商業施設を期待している。商業機能を残せる方法を検討したい」とした。

 当面の活用としては施設の民間委託などを模索し、将来は道路を挟んで隣接する私立病院済生館とともに再開発することも視野に入れる。具体策は庁内に新設するプロジェクトチームで山形商工会議所や七日町商店街振興組合などと協議する。

 全国では百貨店など大型商業施設の跡地を地方自治体が取得し、商業施設と公共施設を同居させてにぎわいを残そうとする事例が増えているが、成功したといえる事例は限られている。出席した記者からこの点を質問された佐藤市長は「民間の動きを期待したが、難しいと判断した。中心市街地を活性化させることで地価上昇や税収増につなげ、市民に還元したい」と語った。

 大沼の経営破たんで山形県は全国初の百貨店ゼロ県、山形市はゼロ県庁所在地となり、地元の商業関係者から跡地の商業施設としての再生を願う声が上がっていた。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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