iPhoneキーボードに非公開の「抑制リスト」、「独裁者トランプ」「スリーピー・ジョー」も対象 研究者が解析

2026年11月8日 14:38

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記事提供元:International Business Times

米アップルのiPhoneキーボードには、予測変換や入力補完で原則として候補に出さない約10万の単語・語句を収めた非公開のリストがあることが明らかになった。(Photo by appshunter.io on Unsplash)

米アップルのiPhoneキーボードには、予測変換や入力補完で原則として候補に出さない約10万の単語・語句を収めた非公開のリストがあることが明らかになった。(Photo by appshunter.io on Unsplash)[写真拡大]

 米アップルのiPhoneキーボードには、予測変換や入力補完で原則として候補に出さない約10万の単語・語句を収めた非公開のリストがあり、「Dictator Trump(独裁者トランプ)」や「Sleepy Joe(スリーピー・ジョー)」といった政治的な表現も含まれていることが、11月6日に公表された調査で明らかになった。

 この制限は、予測変換と、キーボード上で指を滑らせて単語を入力するスワイプ入力に影響する。手入力でこれらの表現を打つことは妨げられないが、キーボードの自動機能を使うと、特定の語句の入力がかなり難しくなる場合がある。

■独立系研究者が発見、政治や歴史に関わる語句も

 リストを発見したのは独立系研究者のデリック・カウフマン氏で、調査結果を「Swipeblocked」というウェブサイトで公開した。対象となった表現の多くは卑語や薬物、性、暴力に関するものだが、政治や歴史的な出来事、著名人に関わるものもある。

 英語の対象語句には「right wing conspiracy(右派の陰謀)」「Tibetan independence(チベット独立)」「United Ireland(アイルランド統一)」「make America great again(米国を再び偉大に)」などがある。「Santa isn’t real(サンタは実在しない)」や「iMessage isn’t working(iMessageが動かない)」といった日常的な表現も含まれている。

 カウフマン氏の公開した調査では、復元された英語の語句は4513件に上り、ほかの27の言語・文字体系でも同様の制限が見られる。同氏は、リスト全体には派生形を含めて約10万件の項目があると推計しているが、項目の数え方によって総数は変わり得るとしている。

■アップル「不適切な言葉の提示を避ける設計」

 アップルは、語句の選定方法や、特定の政治的表現が含まれている理由を公には説明していない。

 ロイター通信が入手した回答で、アップルは自社のキーボードについて、不適切または攻撃的となる可能性のある言葉を提示しないよう設計されていると説明した。また、利用者は望む言葉を自由に入力でき、予測変換の候補を無視することもできると強調した。

 アップルは、リストの規模や構成に関する質問や、特定の政治的語句が制限されている理由については直接回答しなかった。

■スワイプ入力で別の単語に置き換わる例も

 違いが表れるのは、こうした表現をスワイプ入力しようとした場合だ。

 ロイターがカウフマン氏の特定した語句の一部を試したところ、キーボードは予想外の単語に置き換えることが多かった。「Sleepy Joe」は「Sleepy hope」に、「United Ireland」は「United Iceland」になることが多かった。

 「Dictator Trump」はスワイプ入力できたものの、キーボードは小文字の「trump」を使い、入力補完でこの表現全体を候補として示さなかった。代わりに「dictator trumps」を提案した。

 制限には一貫性を欠く面もある。カウフマン氏の調査では、キーボードは「bad boy」を入力できたが、「bad girl」は入力しにくかった。同様に、「read smut(官能小説を読む)」はスワイプ入力できたが、「read gay smut(ゲイ向け官能小説を読む)」はできなかった。

■英語以外でも政治的表現が対象に

 制限は英語にとどまらない。公開された多言語データには、インドの政治家に関するヒンディー語の表現、移民に関するフランス語の語句、占領地に言及したヘブライ語の表現なども含まれる。

 ヒンディー語では、インドの野党指導者ラフル・ガンジー氏を揶揄する政治的な侮辱表現「ラフルはパップ(愚か者)」が対象に含まれている。フランス語のリストには「移民が多すぎる」を意味する語句があり、ヘブライ語のリストには「占領地」が含まれている。

 サイバーセキュリティー企業トルモのエンジニア、マット・スイシェ氏はロイターに対し、独自に同じリストを復元し、カウフマン氏の結果とほぼ一致したと語った。

■「掲載理由までは示さない」と研究者

 カウフマン氏は、データにある語句が含まれていても、アップルがそれを入れた理由が示されるわけではないと注意を促している。項目の一部は個別に選ばれたのではなく、より広い単語パターンから生成された可能性があり、復元した語句のすべてをiPhoneで検証したわけでもないという。

 アップルのサポート資料によると、予測変換は、キーボードが次に入力されると見込む単語や語句を入力中に提示する機能だ。利用者は候補を拒否したり、手入力を続けたり、キーボード設定で予測変換をオフにしたりできる。

 ただし、こうした設定では、特定の言葉が候補から外される理由は分からず、非公開リストを利用者が調整する手段もない。

 アップルの言語処理機能を巡っては、以前にも予期しない挙動が問題になった。2025年には、音声入力で「racist(人種差別主義者)」と話すと、画面に一瞬「Trump」と表示されるとの報告が利用者から相次いだ。アップルは不具合だとして、その後修正した。

 カウフマン氏の調査サイトでは現在、復元された制限語句を言語別に閲覧したり、語句ごとの違いを調べたり、アップルのキーボードデータの経時的な変化を確認したりできる。

※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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