スマートウォッチをダイブコンピューターに DIVEROID「WatchDive」、149ドルから支援募集へ

(Diveroid.com)[写真拡大]
DIVEROIDは、対応するApple WatchやSamsung Galaxy Watchをダイブコンピューターとして使うためのケースとアプリ「WatchDive」を公開した。同社によると、専用センサーで水深や水温を測り、腕時計上で減圧計算と潜水情報の表示を行う。Kickstarterでの支援募集は2026年12月に開始予定で、先着100人向けの価格は149ドル(約2万3500円)となる。
■ケースとアプリを組み合わせ、潜水機能を提供
WatchDiveは、スマートウォッチを専用の水中ハウジングに収めて使う製品だ。ケース側が水中での測定を担い、腕時計側の画面と処理能力を利用する。スマートウォッチ本体は別売りとなる。
DIVEROIDは、ダイブコンピューター機能を追加のサブスクリプションなしで提供するとしている。日常使いの腕時計を潜水中にも活用し、専用機器への追加投資を抑えたいダイバーに向けた提案だ。
2026年11月時点の公式案内では、Kickstarterの先着100人向け価格が149ドル(約2万3500円)、その後の支援価格が200ドル(約3万1600円)、一般販売価格が299ドル(約4万7200円)とされている。無料の発売通知登録は、先着価格の確保とは別の手続きになる。
同社は、別途3ドル(約474円)を支払う価格予約でも149ドル(約2万3500円)の購入価格を確保できるとしている。この手数料は商品代金に充当されず、商品を購入する場合の合計は送料・税を除いて152ドル(約2万4000円)となる。公式メディアルームでは、2027年3月までの配送完了を予定している。
■水中用センサーと腕時計の処理能力を活用
一般的なスマートウォッチの気圧計は、気圧や高度の変化を測るためのものだ。潜水用の深度計には、水中の圧力変化を測定できるセンサーと、それに対応した防水構造が必要になる。水深40mで人体や機器が受ける絶対圧は、水面の大気圧を含めて約5気圧となる。
WatchDiveでは、ケースに組み込んだ圧力・水温センサーの測定値を腕時計へ送る。ダイビング専門誌X-Ray Magによると、センサーと腕時計の間はBluetoothで通信する。The Scuba Newsが伝えた同社の説明では、潜水中の計算は腕時計上で行い、スマートフォンやインターネットへの接続を必要としない。
同社が案内している表示項目は、現在の水深、潜水時間、水温、無減圧限界時間(NDL)、減圧停止の案内、安全停止や浮上速度の警告、コンパスなどだ。NDLは、その深度に滞在した場合に減圧停止が必要になるまでの時間の目安となる。
空気より酸素濃度を高めた呼吸用ガスであるナイトロックスにも対応する。スキューバダイビングに加え、フリーダイビング用のモードも用意するという。
浮上後は、潜水プロファイルをDIVEROIDのモバイルアプリへ同期して振り返れる。GoPro、Insta360、Canonなどのカメラで撮影した映像も、アプリ内で潜水ログとともにまとめられる。潜水中の計測から、帰宅後の記録整理までをつなぐ構成だ。
■BühlmannモデルとGF設定の役割
The Scuba Newsによると、DIVEROIDはWatchDiveにBühlmann ZHL-16C減圧アルゴリズムと、調整可能なグラディエントファクター(GF)を採用すると説明している。Bühlmann系のモデルは、ShearwaterやGarminのダイブコンピューターにも採用されている。
この減圧モデルは、チューリッヒ大学で1959年から潜水研究に取り組んだ医師Albert A. Bühlmannの研究に由来する。ZHL-16Cは、ガスの吸収・排出速度が異なる16の仮想的な組織区画を用い、窒素などの不活性ガスが体内に出入りする過程を計算する。Bühlmannモデルの主要なパラメーターセットの中でも、保守的な設定を採るものだ。
ダイブコンピューターは、水深、滞在時間、呼吸するガスなどから各区画の不活性ガス分圧を推定し、浮上や減圧停止の目安を示す。こうした計算は、潜水後の減圧に伴う気泡形成や減圧症のリスクを管理するために用いられる。
GFは、周囲圧とモデル上の許容不活性ガス分圧であるM値との差に対し、どの割合まで過飽和を許容するかを調整する設定だ。例えば30/85では、最初の減圧停止付近に30%、水面で85%という値を用いる。組織の窒素量そのものを30%や85%に制限するという意味ではない。
GFの低い側の値は主に最初の減圧停止深度に、高い側の値は水面へ戻る際の許容過飽和度に関わる。高い側の値を下げると、一般に浅い深度で必要となる減圧時間が長くなる。ダイバー支援団体DANは、深い停止中にはガス交換の遅い組織で不活性ガスの吸収が続く場合があると説明している。
2018年にDoug Fraedrichが学術誌「Diving and Hyperbaric Medicine」で発表した研究は、4種類の市販機用アルゴリズムを米海軍の実験潜水データなどと比較した。提案した全試験を初期設定で通過したものはなく、ZHL-16CではGFの高い側を70以下、低い側を55以上とする調整で基準を満たせると報告した。この研究が扱った総減圧時間、無減圧限界時間、最初の停止深度などの評価は、設定が計算結果をどう変えるかを理解する手掛かりになる。
■推奨水深40m、規格対応は手続き中
DIVEROIDによると、WatchDiveケースの推奨使用深度は40mで、水深60m相当の耐水試験を完了している。X-Ray Magは、同社が海でのベータテストも実施したと伝えている。いずれも、発売に向けて同社が公表している試験情報だ。
The Scuba Newsによると、DIVEROIDは2026年10月、EN 13319などへの対応手続きが進行中だと説明した。最終製品の評価では、対応する腕時計との組み合わせ、測定精度、電池持続時間、操作性なども確認項目となる。
EN 13319は、ダイバー用の深度計や、深度・潜水時間を測定する機器について、機能・安全上の要求事項と試験方法を定めた欧州規格だ。規格の適用範囲では、表示される減圧停止情報は対象外とされている。深度・時間の測定と減圧計算は、それぞれ評価する必要がある。
深度の測定値は、体内のガス負荷やNDLを計算するための入力となる。機器の信頼性を考える際には、減圧モデルの名称だけでなく、センサーから計算、表示に至る一連の動作を見ることが重要だ。DANも、ダイブコンピューターの検証に、アルゴリズム、シミュレーション、実地試験など複数の段階を挙げている。
X-Ray Magによると、DIVEROIDは利用者に、認定資格や自身の限界を守り、予備のダイブコンピューターを携帯するよう案内している。潜水計画や機器の選択は、受けた訓練と使用条件に沿って行うことになる。
■Apple Watch Ultra向けにはアプリ単体版を計画
2026年11月時点の公式対応表では、初回のケースとアプリの組み合わせは、Ultra、Ultra 2、Ultra 3を除くApple Watchを対象としている。機種ごとの最終的な対応状況は、発売時に示される予定だ。
Galaxy Watchでは、Watch4、Watch4 Classic、Watch5、Watch5 Pro、Watch6、Watch6 Classic、Watch FE、Watch7、Galaxy Watch Ultra、Watch8、Watch8 Classic、Watch9が挙げられている。ケースを利用する初回製品と、今後のアプリ単体版では対象機種が分かれる。
DIVEROIDは、水深・水温センサーを内蔵する腕時計向けに、ケースを使わないアプリ単体版も計画している。対象としてApple Watch Ultra、Ultra 2、Ultra 3、Galaxy Watch Ultra2を掲げており、ケース版に続く展開となる。
Samsungの日本向け公式情報では、Galaxy Watch Ultra2はEN 13319に準拠し、「水深アプリ」で水深、水温、潜水時間を確認できる。日本では2026年8月7日に発売された。Samsungの米国向け発表では、Maresと開発する追加のダイビングアプリを2026年後半に提供予定とし、高度な機能をサブスクリプションの対象としている。
Apple Watch Ultra向けのOceanic+にも、無料の基本機能と有料のスキューバダイビング機能がある。2026年11月時点で確認できるOceanicの公式掲載価格は、米ドル建てで1日4.99ドル(約788円)、月額9.99ドル(約1580円)、年額79.99ドル(約1万2600円)で、地域別の料金はアプリ内で案内する。WatchDiveは、こうした選択肢に対して、潜水機能への追加の継続課金を求めない点を訴求する。
■スマートフォン用機器の経験を腕時計へ
DIVEROIDは、スマートフォンを水中機器として利用する製品を手がけてきた。同社の企業紹介では、Artisan & Oceanは2013年に創業したとされる。Indiegogoの過去の製品ページには、創業者Jungil Kimと、Android向け製品やスマートフォン用水中ハウジングの開発経緯が記されている。
韓国のスタートアップメディアSeoulzによると、Kimは2013年に韓国政府の助成を受けて事業を始めた。同媒体は、済州島で目撃したダイバーの死亡事故が、手頃なダイブコンピューターを開発する動機になったと紹介している。身近な端末の処理能力に水中用センサーを組み合わせる発想は、WatchDiveにも引き継がれる。
海事メディアil nautilusが掲載したAIDAの発表では、DIVEROIDは2023年の第30回AIDA世界選手権のスポンサーにも名を連ねている。水中用機器の開発とダイビング分野での活動を続けてきた企業による、新たな製品展開となる。
市場調査会社SkyQuestの2026年4月付レポートを扱うGIIの紹介によると、世界のダイブコンピューター市場は2024年に5億4250万ドル(約857億円)と推計され、2033年には10億3140万ドル(約1630億円)へ拡大すると予測されている。既存メーカーにはGarmin、Suunto、Shearwater、Maresなどがあり、日常の活動記録にも使える腕時計型製品が展開されている。
価格帯にも幅がある。2026年11月時点の米販売店Santa Barbara Aquaticsの掲載では、Cressi Leonardoは249.95ドル(約3万9500円)で、Shearwater公式のPerdix 2は1195ドル(約18万9000円)からとなっている。Garminの日本向け公表価格では、Descent G2は11万8000円、Descent Mk3i 51mmのシリコンバンドモデルは24万8000円で、いずれも税込みだ。
WatchDiveは、こうした一体型機器に対し、所有済みのスマートウォッチへ水中用の測定機能を追加する方式を採る。ケース版では幅広い腕時計の活用を目指し、アプリ単体版では内蔵センサーを利用する計画だ。購入費用と継続料金、対応機種、最終仕様を含めた製品像が、12月の支援募集に向けた焦点となる。
元記事: Smartwatch Dive Computer Without Subscription Fees: DIVEROID’s WatchDive Case Starts at $149
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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