北米の協働ロボット受注56%増、A3安全会議で新規格と導入実務を議論

(Youtube/A3 Robotics)[写真拡大]
北米の2026年第3四半期の協働ロボット受注は、台数ベースで前年同期比約56%増となった。業界団体Association for Advancing Automation(A3)が10月28日に公表した統計によると、協働型はロボット受注全体の16.7%を占めた。
A3のInternational Robot Safety Conferenceは、11月3~5日、米ミシガン州デトロイトのHuntington Placeを会場に開催される。産業用ロボットの安全規格改定や、人とロボットが作業空間を共有する用途の安全設計が議題となる。
■北米のロボット受注は台数で24.8%増
A3によると、北米企業が2026年7~9月に発注したロボットは1万989台、7億2350万ドル(約1140億円)相当だった。前年同期比で台数は24.8%、金額は26.1%増え、2026年に入って最も受注が多い四半期となった。
協働ロボットの受注は1831台、6380万ドル(約101億円)相当だった。1~9月の累計では4605台、約1億7800万ドルとなり、ロボット受注全体に占める比率は台数で15.9%、金額で9.4%だった。
業種別では、半導体・電子・フォトニクス分野のロボット受注台数が前年同期比97.6%増となった。ライフサイエンス・製薬・バイオメディカル分野も38.7%増加した。1~9月の各分野の受注台数に占める協働ロボットの割合は、それぞれ36.9%、43.8%だった。
A3のエグゼクティブ・バイスプレジデント、Alex Shikany氏は、自動車メーカーの回復に加え、自動車部品や半導体・電子、ライフサイエンスなどに伸びが広がった点を挙げている。同氏は、こうした業種構成の広がりが、用途と産業の両面でロボット市場の多様化を示していると説明した。
■協働ロボットの柔軟性とクリーンルームへの適合
協働ロボットの利点の一つは、人が担当する工程の近くに自動化を組み込みやすいことだ。国際ロボット連盟(IFR)は、手でアームを動かして作業を教える方法や、タブレット型の操作画面などによる扱いやすさを挙げている。少量生産や、生産内容が変わる工程への適応にもつながる。
半導体や医薬品の製造では、作業空間の清浄度も機器選定の条件となる。ISO 14644-1は空気中の粒子濃度によって清浄度を分類しており、必要なクラスは工程によって異なる。ロボットの発じん特性や、ケーブル、先端工具を含む設備の構成を、使用環境に合わせて確認する必要がある。
クリーンルーム向けの仕様を持つ協働ロボットもある。ユニバーサルロボットの日本語資料では、UR20-1750は可搬重量20kg、リーチ1750mm、UR30-1300は可搬重量30kg、リーチ1300mmとされる。同社によると、これらは速度や負荷を抑えた条件でクリーンルームクラス4に対応する。
電子部品の搬送や組み立て、医薬品の包装、分注などでは、対象物に応じた工具と動作の設定が重要となる。安全柵を省けるように設計した設備では、柵の設置面積を抑え、作業者との受け渡しを組み込みやすくなる。操作や教示の容易さと合わせ、品種変更に対応する設備を考える際の利点になる。
■安全性はロボットと周辺設備を合わせて評価
協働用途を支える方式の一つが、動力および力の制限を意味するPower and Force Limiting(PFL)だ。接触時の力や圧力を抑えるように、ロボットの構造や制御、安全機能を設計する。関節のトルクセンサーなどを利用し、外力を検出して保護停止につなげる実装がある。
安全評価では、接触する身体部位、接触面積、衝突か挟み込みかといった条件を考慮する。アームだけでなく、先端工具や運ぶ部品の形状、周囲の固定物も評価対象となる。米労働安全衛生局(OSHA)の技術マニュアルも、用途ごとのリスク評価に基づいて安全方策を選ぶよう求めている。
2025年版のISO 10218-2は、産業用ロボットの用途とロボットセルの統合に関する安全要求を定める。協働用途に関するISO/TS 15066:2016の要求の多くが取り込まれ、安全性をロボット単体ではなく、用途全体として設計・検証・妥当性確認する考え方が示された。
協働用途には、PFLのほか、人との距離に応じて速度を調整する速度・間隔監視や、手動誘導などの方式がある。実際の設備では、作業内容に応じて保護装置と安全機能を組み合わせる。工具交換や保守についても、危険なエネルギーの管理を含めた作業手順を設計することが重要だ。
■半導体・製薬では米国内への投資が続く
A3は半導体・電子・フォトニクス分野の受注増について、米国の半導体製造への継続的な投資や、AIなどを支える電子機器の需要を背景に挙げている。ライフサイエンス分野でも、米国内の医薬品製造などへの投資が続いていると説明する。
2022年成立のCHIPS and Science Actは、半導体製造、研究開発、人材育成などに527億ドル(約8兆3300億円)を措置した。米国内の工場計画には、アリゾナ州のTSMC、オハイオ州のIntel、アイダホ州とニューヨーク州のMicron、テキサス州のSamsungが含まれる。建設や設備導入の工程は拠点ごとに異なる。
TSMCは2026年10月の決算説明で、アリゾナ第2工場の建設が完了し、装置の搬入・設置を進めていると説明した。Micronはアイダホ第1工場の初期ウエハー生産を2027年半ばに見込み、ニューヨークの工場は2026年1月に着工した。Intelのオハイオ第1工場は2030~2031年の操業開始計画で、Samsungはテイラー工場の稼働開始を2027年の事業見通しに盛り込んでいる。
医薬品では、2025年5月の大統領令が米国内製造に関する規制障壁の低減を連邦政府機関に指示した。米食品医薬品局(FDA)は2026年2月1日にPreCheck Pilot Programを開始した。新工場の開発段階から企業と協議し、施設評価の予見可能性を高めることを目指す制度だ。
JLLが2025年6月に公表した調査によると、同年に主要製薬15社が発表した米国内の製造・研究開発投資計画は、今後5~10年分で2700億ドル(約42兆7000億円)を超えた。各社発表では、GSKは2025年に今後5年間で300億ドル(約4兆7400億円)、Johnson & Johnsonは今後4年間で550億ドル超の投資を表明しており、いずれも研究開発などを含む。Eli Lillyは同年2月、米国内の新たな製造4拠点に少なくとも270億ドルを投じる計画を発表した。
■自動車部品も伸長、食品・消費財は減少
A3の統計では、自動車メーカー向けの第3四半期の受注台数は前年同期比7.5%増となり、上半期の減少から増加に転じた。1~9月累計では前年同期比17%減だった。一方、自動車部品向けの第3四半期受注は90.4%増加した。
プラスチック・ゴム分野は67.7%増、金属分野は37.0%増だった。食品・消費財分野は23.7%減となり、業種によって動きが分かれた。1~9月のロボット受注全体は2万8984台、約18億9000万ドルで、前年同期比の伸び率は台数9.6%、金額13.3%となった。
米製造業の景況指標では、米供給管理協会(ISM)の2026年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が54.5となった。製造業の拡大を示す50超は9カ月連続だった。米連邦準備制度理事会(FRB)によると、同月の製造業生産は前月比0.3%増加した。
A3は今後の注視点として、投入コストの上昇、貿易を巡る不確実性、大型製造プロジェクトの実施時期を挙げる。複数業種で受注が拡大する一方、設備投資の進み方を見極めるうえでは、こうした条件も重要となる。
■市場予測とA3安全会議の焦点
IFRの「World Robotics 2025」によると、2024年の世界の協働ロボット導入は約6万4500台で、産業用ロボット導入全体の11.9%を占めた。2017年の約2.8%から比率が上昇している。
Mordor Intelligenceが2026年に公表している推計では、北米の協働ロボット市場は2025年の25億6000万ドル(約4040億円)から2026年に32億6000万ドル(約5150億円)へ拡大し、2031年には68億8000万ドル(約1兆900億円)に達する見通しだ。2026~2031年の年平均成長率は16.11%と予測する。この市場には、協働ロボットのシステムと、それに直接付随するソフトウェアやサービスが含まれる。
Interact Analysisは、2025~2030年の世界の協働ロボット出荷台数の年平均成長率を17.4%と予測する。産業用ロボット全体の6.7%を上回る見通しで、米国の製造業回帰や半導体・電子分野の需要などを、市場拡大の背景に挙げている。
A3の安全会議では、ISO 10218の改定と米国のANSI/A3 R15.06-2025、リスク評価、協働ロボットの安全、機能安全などを扱う。移動ロボットや産業サイバーセキュリティ、AIを利用するロボットも議題に含まれる。用途が広がるなか、設計から運用まで安全性を組み込むための実務を共有する場となる。
A3は今後、2027年1月18~20日にオーランドでA3 Business Forumを、5月10~13日にラスベガスでAutomate 2027を開催する予定だ。機器メーカーやシステムインテグレーター、導入企業にとっては、今後の受注統計と各業種の設備投資計画が、2027年の需要を見極める材料となる。
元記事: A3 Robot Safety Conference Opens Monday: North American Cobot Orders Surge 56%
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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