ゴールドマン、原油価格予想を上方修正―中東・ウクライナ情勢で供給途絶リスク織り込む

米金融大手ゴールドマン・サックスは、12月と2027年の原油価格予想を引き上げた。(Photo by Maria Lupan on Unsplash)[写真拡大]
米金融大手ゴールドマン・サックスは、12月と2027年の原油価格予想を引き上げた。中東およびロシア・ウクライナでの紛争が世界の供給を脅かしており、エネルギー市場の緊張が持続的に和らぐ時期を見通すのは難しいと警告した。
同社は、国際指標の北海ブレント原油が12月に1バレル=105ドル(約1万6600円)に達すると予想する。従来予想は90ドル(約1万4200円)だった。米国の指標であるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の12月予想も、81ドル(約1万2800円)から94ドル(約1万4900円)に引き上げた。
今回の修正は、地政学的な不安定さによって原油市場が供給途絶にさらされ続けるとの懸念の強まりを反映している。2027年の平均予想については、ブレントを80ドル(約1万2600円)から88ドル(約1万3900円)へ10%引き上げた。WTIは73ドル(約1万1500円)から78ドル(約1万2300円)へ、約6.8%引き上げた。
■予想の前提に「供給途絶枠」
予想引き上げの中心的な理由は、潜在的な供給減少の扱い方を変えたことにある。同社は、原油の生産と輸送が大きな途絶なく進むと想定するのではなく、供給途絶を見込んだ枠を基本予想に組み込んだ。
同社世界コモディティー調査共同責任者のダーン・ストルイフェン氏が率いるチームはリポートで「中東とロシア・ウクライナの紛争は、より広範な地政学的分断と相まって、高い供給途絶リスクを生んでいる」と指摘した。さらに「途絶の時期と場所を予測することはほぼ不可能であり、当社の基本シナリオには2027年に日量100万バレルの世界的な供給途絶枠を盛り込んだ」と説明した。
この枠は、ゴールドマンの見通しに組み込まれた前提条件であり、特定の産油国が特定の時期にその量の供給を失うと予測するものではない。
この手法により、同社は次の供給途絶を正確に特定しなくても、全体的なリスクの大きさから価格予想の引き上げが妥当だと結論付けることができる。個々の途絶の性質は不透明なままでも、未解決の紛争が複数あることで供給減少の可能性が高まり得るためだ。
■リスクプレミアムも上昇
リポートによると、今回の見通しは地政学的リスクプレミアムの上昇も反映している。トレーダーは、外交努力が持続的な打開策を生み出すのは難しいという可能性をより重視している。原油市場におけるリスクプレミアムとは、将来の供給不足が実際に起きる前に、その脅威が価格に反映され得ることを意味する。
売り手と買い手は、利用可能な供給量や予想される需要に加え、潜在的な供給途絶も判断材料に織り込む。このため、交渉や軍事情勢をめぐる見通しは、生産量に直ちに変化がなくても価格に影響を及ぼし得る。
■来年は12月より低い水準を予想
12月のブレント予想の引き上げ幅は特に大きく、従来予想から15ドル(約2370円)、率にして約16.7%の上方修正となった。同社が短期的な価格見通しを従来より高く見積もっていることを示している。
ただ、2027年の平均価格は12月の予想を下回る水準にとどまる見通しだ。2027年のブレント予想88ドルは12月予想を17ドル(約2690円)下回り、WTI予想78ドルは12月予想より16ドル(約2530円)低い。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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