エヌビディア、メタに30億ドル出資へ―AIエージェント「Muse」と計算基盤で提携拡大

2026年10月29日 11:04

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記事提供元:Tech Times

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NVIDIAは2026年10月26日付の発表で、Metaの株式募集に30億ドル(約4740億円)を投資する計画を明らかにした。パーソナルAIエージェント「Muse」と関連モデルの性能改善に向け、技術提携も拡大する。AMDも27日に10億ドル(約1580億円)の出資計画を発表し、MetaのAI基盤を支える半導体企業が資金面でも関与を深める。

Metaは、将来の市場売却プログラムを含めて最大975億ドル(約15兆4000億円)の資金調達を計画している。日本では10月23日にMuseの提供が始まっており、サービスの拡大を支える計算基盤と、安全に操作を任せるための仕組みが重要になる。

■ハードウェア供給と資金面で深まる提携

NVIDIAとMetaは、MuseとMuse系列モデルの学習・推論性能を改善するため、協業を拡大する。NVIDIAの発表によると、処理の流れ全体を最適化し、性能向上と総保有コストの改善を目指す。

Metaは、NVIDIAのVera RubinプラットフォームとVera CPUの導入を拡大する方針だ。ネットワークにはSpectrum-X EthernetとBlueField-4を採用し、接続効率や処理能力を高める。

両社は2026年2月にも、複数年・複数世代にわたるAIインフラの戦略的提携を発表していた。その計画には、数百万基のBlackwellおよびRubin GPUの導入が含まれる。今回の出資計画は、こうした供給・技術面の関係に資本面のつながりを加える。

Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、Museをパーソナル超知能を届ける手段と位置付け、何十億人もの利用者にエージェントと先端モデルを提供するため、NVIDIAと協業を続ける考えを示した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも、人の目標を理解し、推論とツール利用を通じて作業を進めるAIエージェントを、新たなコンピューティングの形として説明している。

■最大975億ドル(約15兆4000億円)の調達計画、その構成と時期

Metaの調達計画は、250億ドル(約3兆9500億円)のクラスA普通株の募集、125億ドル(約1兆9800億円)の強制転換優先株に対応する預託株式の募集、最大600億ドル(約9兆4800億円)の市場売却プログラムで構成される。ロイターによると、普通株の募集規模は当初の225億ドル(約3兆5600億円)から250億ドル(約3兆9500億円)に拡大した。

Metaの価格決定発表では、普通株の募集価格は1株625ドル、優先株に対応する預託株式は1口50ドルとなった。優先株の年間配当率は6.50%で、所定の条件に従って2029年8月に普通株へ転換される。普通株と預託株式の募集は、条件の充足を前提に2026年10月29日の完了を予定している。

普通株の募集には先渡売却契約を用いる。Metaが資金を受け取るのは契約の決済時で、決済期限は2027年11月19日だ。また、ロイターによると、最大600億ドル(約9兆4800億円)の市場売却プログラムは、議決権のないクラスC株が取引を始める2027年第1四半期以降の開始を見込み、実施時期や条件は今後決まる。

Metaは募集開始時、NVIDIA、AMD、Broadcomが合計最大50億ドル(約7900億円)の普通株購入に関心を示していると説明した。この購入意向には拘束力がなく、その後に発表されたNVIDIAとAMDの投資計画は合計40億ドル(約6320億円)となる。

Investing.comによると、Wells Fargoは、この資金調達が同社の推計する2027年度の600億~800億ドル(約9兆4800億~12兆6000億円)の資金不足を埋める可能性が高いと評価した。Mizuhoのロイド・ウォルムズリー氏も、資金調達を巡る不透明感の一部が和らぐとの見方を示している。

Metaが10月21日に公表した第3四半期決算では、売上高は前年同期比26%増の646億ドル(約10兆2000億円)だった。2026年の設備投資見通しは、ファイナンスリースの元本返済を含め1350億~1450億ドル(約21兆3000億~22兆9000億円)とし、従来の1300億~1450億ドル(約20兆5000億~22兆9000億円)から下限を引き上げた。大規模なインフラ投資と、その資金確保が並行して進む。

■Vera Rubin NVL72が担う大規模推論

NVIDIAがCES 2026で発表したVera Rubinは、GPU、CPU、ネットワークなどを一体で設計したAI基盤である。ラック単位のVera Rubin NVL72は、72基のRubin GPUと36基のVera CPUを液冷システムにまとめ、大規模モデルの学習や推論に対応する。

Tom’s Hardwareによると、Rubin GPUはTSMCの3nm級製造プロセスを用い、複数の計算用ダイを1つのパッケージに統合する。NVIDIAの2026年10月時点のNVL72製品仕様では、GPU当たりのHBM4メモリ容量は288GB、メモリ帯域幅は毎秒19.2TBとなっている。

この帯域幅は、毎秒4.8TBのH200の4倍、毎秒8TBのBlackwell B200の2.4倍に当たる。大容量メモリはモデルや処理中のデータを保持する余地を広げ、広い帯域幅は演算器へデータを供給する能力を高める。複数の利用者の処理を並行して進める際にも重要な要素だ。

NVIDIAの公表仕様では、Rubin GPUのNVFP4学習性能は密行列演算で35ペタFLOPS、推論性能は疎行列条件で最大50ペタFLOPSとなる。参考として、HGX B200の密行列FP4性能は8GPU合計72ペタFLOPSで、1GPU当たりに換算した演算性能の比は約3.9倍となる。NVL72のラック全体では、疎行列条件のNVFP4推論性能が最大3.6エクサFLOPSだ。

現行のNVL72仕様では、NVLink 6のラック内合計帯域幅は毎秒216TBで、72基のGPUを同じ高速接続領域にまとめる。ラック間の接続はSpectrum-Xなどが担い、BlueField-4はネットワークやセキュリティなどの基盤処理を分担する。これらを組み合わせることで、モデルの演算と周辺処理をシステム全体で支える。

電力供給についても開発が進む。Tom’s Hardwareは2026年7月、NVIDIAがVera Rubin NVL72向けの800V直流給電用サイドカーを実演したと報じた。NVIDIAは800V直流のデータセンター電力基盤を、2027年からの高密度ラックに向けて推進している。

■日本でも始まったMuse、複数段階の作業を実行

Metaは9月8日、MuseをパーソナルAIエージェントとして発表した。Muse Sparkを基盤に、メール送信、旅行予約、フォーム入力、料金交渉や買い物など、利用者に代わる作業を担う。アプリやWhatsAppを通じて対話し、時間のかかるタスクはアプリを閉じた後も進める設計だ。

日本では10月23日から、iOS、Android、ウェブ版で提供を開始した。Metaの日本語発表によると、基本的な機能の多くは無料で、より多く利用したい人向けにサブスクリプションも用意する。GmailやGoogleカレンダーなどとの連携に加え、メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携も進める方針だ。

AP通信によると、ザッカーバーグ氏は10月21日の決算説明会で、Museのアカウント数が1000万を超えたと説明した。利用者が増えるにつれ、モデルの応答生成に加え、ブラウザー操作、外部サービスとの連携、作業状態の保持を支える基盤が必要になる。

エージェントは、目標を複数の手順に分け、推論、ツールの呼び出し、結果の確認を繰り返して作業を進める。この構造では、GPUの演算性能やメモリ帯域幅だけでなく、CPUによる処理の制御、外部サービスの応答時間、ネットワークも使い勝手を左右する。Vera RubinとVera CPUを含む提携拡大は、こうした処理全体の改善を狙うものだ。

■Muse Wonderが広げるモデルの選択肢

Metaは10月12日、Muse WonderとMuse Wonder Fullを公開した。Muse WonderはMeta Model APIと開発支援サービスのMuse Codeで、Muse Wonder FullはMuse Codeの契約者向けに提供する。Metaは、一般向けMuseにも契約者から順にMuse Wonderを導入する計画を示している。

両モデルの特徴としてMetaが挙げるのが、会話をまたいで重要な情報を取り出す「Active Memory」と、難しい作業でも別の方法を試しながら進める「Active Focus」だ。利用者の意図や過去の情報を保持し、複数段階の作業に結び付ける能力を重視している。

iClarifiedが紹介したMetaの公表結果によると、長時間のソフトウェア開発を評価するSWE-Marathonでは、推論設定を「xhigh」としたMuse Wonder Fullが57.5%を記録した。同じ比較表に掲載されたGPT-6 Astraの値は42.5%だった。これはMetaが各モデルの設定条件とともに示した評価結果である。

こうしたモデルを多数の利用者に提供するには、モデル本体に加え、会話履歴や推論中の状態を扱う計算・記憶資源が重要になる。GPUのメモリ容量、GPU間の通信、CPUとの役割分担をまとめて設計することが、サービスの応答性と運用コストを改善する手掛かりになる。

■操作の権限管理とセキュリティ協業

Metaによると、Museは利用者ごとに隔離されたクラウド上の専用仮想マシン「Muse Secure VM」で動作する。Museから独立したSentinelがインターネットへのアクセスを管理し、メール送信や購入など重要な操作では利用者に確認する。操作済み・実行予定の履歴も確認できる。

Metaは、利用者が接続するサービスや権限の範囲を選び、後から変更・解除できるとしている。会話や仮想マシン内のデータを広告システムと共有せず、やり取りをAIモデルの学習に利用させない選択肢も用意する。個人情報を扱うエージェントでは、こうした権限管理とデータの扱いが利用判断の重要な要素となる。

NVIDIAとMetaは、OpenShell Reference ArchitectureやSentryを活用した追加協業を検討する。NVIDIAによると、OpenShellはエージェントを安全に動かすための実行基盤を含み、SentryはBlueField-4上でエージェントの振る舞いを監視する。モデルの性能に加え、実行中の操作を管理する仕組みも協業の対象となる。

セキュリティ面では、Ars Technicaが9月21日、研究者のパトリック・ウォードル氏がMuseのMacアプリに認証情報を奪取できる脆弱性を発見したと報じた。端末上で動く不正なプログラムが悪用できる問題で、The RegisterはMetaが修正を提供したと報じている。アカウントに接続して操作する製品では、クラウド基盤と端末アプリの双方が重要になる。

■顧客への投資を広げるNVIDIA

NVIDIAは、計算資源を大量に必要とする企業への投資を広げている。AP通信によると、2026年2月に発表されたOpenAIの資金調達では、NVIDIAが300億ドル(約4兆7400億円)を投資する計画が示された。Metaへの出資も、AI企業との商取引に資本参加を組み合わせる動きの一つだ。

The Next Webは5月、CNBCによる公開資料の集計を基に、NVIDIAの2026年最初の4カ月のAI関連株式投資の約束額が400億ドル(約6兆3200億円)を超えたと報じた。同メディアは、コレット・クレスCFOが、自社ハードウェアを使う計算基盤の整備を支える観点から投資を説明したと伝えている。

出資先と供給先が重なる構造は、企業間の関係を複雑にする。CoreWeaveが公表した2025年9月の契約では、NVIDIAが同社の未販売のクラウド計算容量にアクセスする仕組みを設け、当初契約額は63億ドル(約9950億円)だった。The Next Webは、こうした投資と取引の結び付きについて、開示が取引規模に追い付いているかという論点を挙げている。

半導体企業が投資を通じて周辺産業の成長を支える取り組みには先例がある。Intel Capitalは1991年に設立され、同社の2026年の説明では、1800社以上のスタートアップに累計200億ドル超(約3兆1600億円超)を投資してきた。NVIDIAの現在の投資は、こうした企業投資の手法がAIインフラの大型案件へ広がっていることを示す。

■AMDとの競争も続くMetaの調達

AMDは10月27日、Metaへの10億ドル(約1580億円)の出資計画とともに、Heliosラックシステムの初期導入機をMetaが設置し、試験していると発表した。AMD EPYC CPUはMuseの専用計算環境を支えており、Metaは複数世代にわたるEPYCを数百万基導入しているという。

AMDとMetaは2月、最大6GW相当のAMD Instinct GPUを複数世代にわたり導入する提携を発表した。最初の1GW向け出荷は2026年後半の開始を予定し、カスタムのMI450ベースGPU、第6世代EPYC、ROCmソフトウェア、Heliosラック設計を組み合わせる計画だ。

この提携に伴い、AMDはMetaに最大1億6000万株を購入できるワラントを発行した。AMDの証券取引委員会への提出資料によると、行使価格は1株0.01ドルで、GPUの購入・出荷や株価などの条件に応じて権利が段階的に確定する。最初の1GWは拘束力のある購入契約で、全株分の権利確定には6GW相当の購入などが必要となる。

MetaはNVIDIAとAMDの双方から計算基盤を調達し、両社は資金面でもMetaに関与する計画だ。供給元を複数持つことは、用途やコストに応じて基盤を選ぶ余地を広げる。今後は、資金調達の実行、設備の導入、モデルと安全策の改善を、サービスの拡大に合わせて進められるかが焦点となる。

Museのようなエージェントでは、利用者が外部サービスを接続し、作業手順や個人設定を積み重ねていく。継続して使える基盤と、操作の範囲を自分で管理できる仕組みの両方が製品価値を支える。今回の提携拡大は、その計算能力と運用の仕組みに投資する動きとして位置付けられる。

元記事: NVIDIA Takes $3B Meta Equity Stake, Turning Biggest Customer Into Strategic Partner

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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