iOS 27.2、自撮りで成人確認が可能に 4カ国で選べる新たな手段

AppleはiOS 27.2で自撮りによる成人確認を追加し、対応する4カ国ではクレジットカードや身分証明書とともに確認手段として選べる。(Photo by Maxim Potkin ❄ on Unsplash)[写真拡大]
Appleは2026年10月26日に公開したiOS 27.2とiPadOS 27.2で、自撮りによって成人であることを確認する機能を追加した。オーストラリア、ブラジル、シンガポール、英国で利用でき、顔画像を解析する年齢推定モデルが成人かどうかを判定する。
この機能は、Apple AccountやApp Storeに設けられた年齢確認の選択肢となる。クレジットカードや政府発行の身分証明書による確認も用意され、利用者に適用される条件は国や地域によって異なる。
■成人確認を求める場面と地域別の条件
Appleの案内によると、成人確認が必要になる場面には、Apple Accountの新規作成、ソフトウェアの更新、安全性に関する一部設定の変更、18歳以上向けアプリのダウンロードや購入などがある。どの操作で確認を求めるかは、居住する州や国・地域の要件によって決まる。
2026年10月時点で、Appleが地域別の年齢確認要件を案内しているのは、オーストラリア、ブラジル、シンガポール、韓国、英国と米テキサス州だ。このうち自撮りによる確認の提供地域は、オーストラリア、ブラジル、シンガポール、英国の4カ国となっている。
既存のApple Accountについては、Appleが登録済みのクレジットカードなどを調べ、成人であることを確認する場合がある。追加の確認には本人のクレジットカードや、地域に応じてパスポート、運転免許証、政府発行の身分証明書を使用できる。デビットカードとギフトカードは対象外だ。
確認を後回しにした場合も端末は引き続き使えるが、対象となるサービスや機能、アカウント操作では確認を求められることがある。自撮りで成人と確認されれば、対象の操作やサービスを利用できるようになり、Appleは再確認が不要になると説明している。
■顔を4方向から撮影し、端末とクラウドで解析
自撮りによる確認では、画面の案内に従って顔をフレームの中央に収め、頭をゆっくりと右、左、上、下へ動かす。Appleは、明るく照明が均一な場所で撮影し、マスクや帽子、サングラスなど顔を覆うものを外すよう案内している。
使われるのは、顔画像の特徴から年齢を推定するモデルだ。特定の人物の登録画像と照合して本人を識別する処理とは、目的が異なる。撮影時には、音声による指示や方向指示の簡略化など、アクセシビリティの調整も利用できる。
Appleによると、年齢推定モデルは端末上とPrivate Cloud Compute(PCC)の両方で動作し、結果を端末上で組み合わせる。PCCは、Apple Intelligenceで端末だけでは処理しきれない要求を扱うため、2024年に導入されたクラウド基盤である。
Appleは、解析中の自撮り画像には同社を含め誰もアクセスできず、年齢の確認後は削除され、いかなる形式でも保持されないと説明している。自撮りで確認を完了できなかった場合は、インターネット接続を確かめて撮り直すか、クレジットカードや政府発行の身分証明書など別の方法を利用できる。
■推定精度とデータ保護をどう評価するか
顔画像による年齢推定では、成人と未成年を分ける境界付近の判定が重要になる。実年齢より若く推定されれば成人の利用手続きに影響し、逆に高く推定されれば未成年者への保護に影響するためだ。撮影条件や年齢層ごとの性能も評価の対象となる。
米国立標準技術研究所(NIST)は、Face Analysis Technology Evaluation(FATE)の一環として年齢推定技術を継続的に評価している。2024年に公表した研究では、開発者が提出した6つのアルゴリズムを調べ、画像の品質や被写体の属性などによって性能が変わることを示した。継続評価の結果は2026年9月29日にも更新されている。
業界団体Computer & Communications Industry Association(CCIA)は、2025年の論考でNISTの評価を分析し、13歳の年齢を実年齢から1年以内に推定できた割合は、対象手法によって7.2〜34.5%だったと指摘した。こうした研究は、年齢制限の境界付近での誤判定や、確認をやり直す手段を検討する材料になる。
PCCには、研究者がセキュリティを検証するためのソフトウェアや仮想研究環境、一部のソースコードが公開されている。また、2026年7月末までを対象とするSOC 3報告書では、基盤の管理体制などが独立監査の対象となった。年齢推定モデルの性能評価では、年齢層別の誤判定率や、実際の撮影条件を含む検証が別途重要になる。
Appleは2026年6月、GoogleとNVIDIAとの協業により、PCCをGoogle Cloud上にも拡張すると発表した。同社は、第三者のデータセンターでもPCCのプライバシー保護と、外部研究者による検証を可能にする仕組みを維持するとしている。
■オーストラリアと英国で進む年齢確認
Appleは2026年2月24日、オーストラリア、ブラジル、シンガポールで、成人と確認された利用者に18歳以上向けアプリのダウンロードを認める運用を発表した。App Storeが自動的に確認を行う一方、アプリ開発者にも独自の確認義務が生じる場合があると説明している。
オーストラリアのeSafety Commissionerによると、成人向けコンテンツへの子どものアクセスを制限する6つの業界規範が2026年3月9日に発効した。ポルノや成人向けゲーム・アプリ、一部の生成AIサービスなどが関係し、アプリ配信サービスの年齢確認要件は9月9日から適用された。
規範では、18歳未満の利用者がR18+アプリを購入・ダウンロードすることを防ぐ措置が求められる。eSafetyは、規範への是正命令に違反した場合、裁判所を通じて違反1件当たり最大4950万豪ドル(約54億9000万円)の制裁金を求められると説明している。
英国では、Online Safety Actに基づき、対象サービスに高度に有効な年齢確認が求められる。規制当局Ofcomは、その要件を満たし得る手段として顔画像による年齢推定、クレジットカードの確認、通信事業者による確認、写真付き身分証明書との照合などを挙げている。
Ofcomは2026年2月、必要な年齢確認を導入していなかった8579 LLCに135万ポンド(約2億8400万円)の罰金を科したと発表した。TechRadarによると、Appleは同年3月、iOS 26.4とiPadOS 26.4で英国向けの成人確認を導入した。今回の自撮り機能は、こうした既存の確認手段に加わるものとなる。
■米州法と韓国で異なる運用
テキサス州では、App Store Accountability Act(SB 2420)を受け、2026年6月4日以降に同州で新規作成されたApple Accountに年齢確認などの要件が適用されている。Appleの案内では、18歳未満の利用者はファミリー共有グループへの参加が必要となる。
「承認と購入のリクエスト」とスクリーンタイムの一部機能は自動で有効になり、保護者も無効にできない。未成年者のアプリのダウンロードや購入、アプリ内購入には保護者の許可が必要だ。対象アカウントの年齢範囲は開発者と常に共有され、アプリに重要な変更が加わる場合も保護者の同意が求められる。
同法は、連邦地裁が2025年12月に執行を差し止めた後、第5巡回区控訴裁判所が2026年6月にその差し止めの効力を停止した。AP通信によると、連邦最高裁では7月6日、執行を再び止めるよう求めた申立てが退けられた。法廷での争いは続いている。
ルイジアナ州について、法律事務所Alston & Birdは、2026年5月の法改正でアプリストア関連法の主要な義務の施行が2027年7月1日に延期されたと説明している。アラバマ州では2027年1月1日の施行に加え、2026年10月2日に存在するアカウントの年齢区分を、2027年10月1日より前に確認する規定が設けられている。
韓国では、Appleのサービスで成人向けの楽曲、番組、動画、ゲームなどをダウンロード・ストリーミングする際、法的に19歳以上であることの確認が必要となる。携帯電話の契約者情報と一致する氏名などを入力して確認し、年に1回の再確認が求められる。
■規制対応とAppleの姿勢
Appleは、テキサス州法のような制度について、アプリをダウンロードするために機微な個人情報の収集を求めることが、利用者のプライバシーを損なう恐れがあると表明してきた。ウォール・ストリート・ジャーナルは2025年5月、当時CEOだったティム・クック氏がグレッグ・アボット州知事に法案の修正や拒否権の行使を求めたと報じた。
クック氏は2026年9月1日、ジョン・ターナス氏にCEO職を引き継ぎ、取締役会の会長に就任した。AFP通信によると、同年10月6日に欧州を訪問した際、欧州委員会が提案したEU KIDS Actが子どものオンライン保護について建設的な議論を促したことを歓迎した。
欧州委員会が9月17日に公表したEU KIDS Act案は、SNSや動画共有サービス、オンラインゲーム、AIサービスに加え、アプリストアやOSも対象に含めている。未成年者の安全設計や年齢確認について、EU域内で共通する枠組みを設ける提案だ。
年齢情報をアカウントや端末の仕組みで扱う方式は、複数のアプリに共通する確認基盤となる。対象となる操作、開発者に渡す情報、誤判定時に選べる手段をどう設計するかが、利用者のアクセスとプライバシーの双方に関わる。
■他社の導入事例と利用者の選択肢
Metaは2026年7月、動画の自撮りをプロフィール写真と照合する無料の「Facebook Verified」を発表した。これはプロフィールの背後に実在の人物がいることを示すためのバッジである。米誌Inc.によると、Metaの広報担当者は、確認後30日以内に動画と関連する顔データを自動削除すると説明している。
Googleは2026年9月、カナダでアカウントの利用状況などから成人か未成年かを推定する仕組みを導入すると発表した。成人が誤って18歳未満と推定された場合には、政府発行の身分証明書や自撮りなどで年齢を訂正できるとしている。
Redditも欧州で年齢確認を実施している。同社の案内では、条件に応じてApple Accountの年齢情報や、Personaを通じた自撮り・身分証明書による確認を利用する。Redditは、Personaに提出した画像を自社で受け取ったり保管したりせず、確認された年齢情報を利用すると説明している。
CCIAは2025年の論考で、米国の成人の最大約11%が有効期限内の政府発行写真付き身分証明書を持たないと指摘した。また、年齢確認への一般的な支持と、自分や子どもの身分証明書を提出する意思との間には隔たりがあると論じている。
アプリ単位の確認に比べ、Apple AccountやApp Storeの確認は、複数のアプリの取得や設定に影響する。そのため、確認方法の選択肢、データの扱い、成人と判定されなかった場合の再試行手順は、年齢確認を日常の操作に組み込むうえで重要な要素となる。
元記事: iOS 27.2 Puts Biometric Gate Below App Layer: Any Government Can Now Mandate Face Scans on iPhones
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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