DC映画「クレイフェイス」北米公開、ボディーホラーで探るDCUの新路線

(dc.com)[写真拡大]
DCスタジオの映画「クレイフェイス」が2026年10月23日に北米で公開された。日本では10月30日に公開される。バットマンの敵役を主人公に、肉体の変容への恐怖を描くボディーホラーとして、DCユニバース(DCU)のジャンルの幅を広げる作品だ。
米国ではR指定、日本ではR15+となる。大型スーパーヒーロー映画よりも小さな製作規模で、コミック映画とホラーの双方の観客にどう届くかが注目される。
■ヴィランの誕生を、肉体と心の崩壊から描く
「クレイフェイス」は、2025年の「スーパーマン」、2026年夏の「スーパーガール」に続くDCUの劇場映画3作目だ。世界を救うヒーローから、復讐へと向かう一人の人物へと焦点を移す。
主人公は、ウェールズ出身の俳優トム・リス・ハリスが演じるマット・ヘーゲンである。DCの公式あらすじによると、ゴッサムの路上からハリウッドの主演俳優へと上り詰めたマットは、犯罪組織のボスによって顔に重い傷を負い、それまでの生活を失う。
周囲から見放されたマットは、容姿を取り戻すために先端的な治療を求める。治療は外見を回復させる一方、現実を捉える感覚にも影響を及ぼし、彼を復讐へと駆り立てる。肉体が粘土状に変わる過程を、アイデンティティーと人間性の喪失に重ねた物語だ。
2026年のサンディエゴ・コミコンでは、ジェームズ・ワトキンス監督とハリスが「Jim Lee & Friends」のパネルに登場した。The Directによると、ワトキンスは本作を「スーパーヴィランの物語」と説明し、登場人物を現実の人間として身近に感じられるほど、恐怖も伝わると語った。
デヴィッド・クローネンバーグ作品を連想させるのは、身体の変化が自己認識まで揺さぶるという発想である。能力を手に入れることを、力の獲得と同時に、自分自身を失っていく悲劇として描く点が、本作のホラーとしての核になる。
■フラナガンの提案から生まれた企画
AP通信によると、本作の出発点はマイク・フラナガンが持ち込んだ企画だった。DCスタジオ共同CEOのジェームズ・ガンとピーター・サフランは、当初クレイフェイスの単独映画を予定していなかったが、フラナガンの構想に引かれて製作へと進んだ。
ガンは2025年のCBS Mornings出演時、本作について「同じユニバースに属しているが、完全なホラー映画だ」と説明した。作品ごとに監督や脚本家の個性を生かすという考え方が、DCUの中で異なるジャンルを展開する土台になっている。
脚本はフラナガンとホセイン・アミニ、原案はフラナガンが担当した。TheWrapは2025年5月、アミニが脚本の改稿に起用されたと報じている。アミニにはニコラス・ウィンディング・レフン監督作「ドライヴ」の脚本や、BBCの犯罪ドラマ「マクマフィア」の共同企画などの実績がある。
監督のワトキンスは、「バイオレンス・レイク」「スピーク・ノー・イーブル 異常な家族」「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」などを手掛けてきた。暴力による恐怖、対人関係の不穏さ、怪奇現象と、異なる形の恐怖を描いてきた作り手である。
2026年10月25日確認時点のRotten Tomatoesの批評家レビューでは、これら3作品の肯定的評価の割合は、それぞれ74%・35件、83%・212件、66%・197件となっている。ワトキンスとアミニは「マクマフィア」でも共同企画を担当している。
製作にはマット・リーヴス、リン・ハリス、ガン、サフランが名を連ね、6th & Idahoが製作に参加した。米国のR指定の理由には、激しい流血を伴う暴力、残酷描写、言葉遣い、一部の裸体表現、短い薬物使用描写が挙げられている。
■演技への称賛と、物語への評価
2026年10月25日確認時点で、Rotten Tomatoesでは155件の批評家レビューの75%が肯定的評価となっており、Certified Freshにも選ばれている。MetacriticがIMDbに提供する掲載情報では、確認時点で37件の批評に基づく加重平均が100点満点中59点だった。
Rotten Tomatoesの数字は肯定的レビューの割合、Metacriticの数字は批評家の採点を基にした加重平均である。Metacriticの59点は同サイトの「賛否混在または平均的」の区分に当たり、作品への受け止め方には幅がある。
Dread Centralは、特殊効果や身体変容の恐怖表現を評価する一方、重苦しい怪物映画と軽妙なコミック映画の間で調子が揺れると指摘した。TechRadarも、ハリスの演技や特殊メイクを評価しつつ、脚本や人物描写に掘り下げの足りない部分があると評している。
ハリスの演技には、複数の媒体から称賛が寄せられた。Rotten Tomatoesが紹介した批評では、ComicBook.comが感情の幅と身体的な演技を、IndieWireがメイクや視覚効果に覆われた中でも伝わる悲哀を評価している。怪物の外見だけでなく、その内側にある喪失感を表現できるかが、本作の人物描写を支える要素になっている。
観客側の初期反応については、FandomWireが10月21日時点で、Letterboxdの130件の評価に基づく平均を5点満点中3.7点と報じた。これは公開初期に同サイトへ投稿された利用者評価の集計だ。
■小規模なホラー映画として問われる興行力
Varietyが10月23日に報じた製作費は4400万ドル(約69億1000万円)だ。一方、興行データサイトThe Numbersによると、「スーパーガール」の製作費は1億7000万ドル(約267億円)で、2026年10月25日確認時点の世界興収は約1億2647万ドルとなっている。「クレイフェイス」は、それより小さな投資規模で観客を開拓する作品という位置付けになる。
前売りの動きには弱さも見られた。GamesRadar+は10月12日、Box Office Theoryの追跡情報を引用し、公開前の同じ段階で「スーパーガール」を約80%下回るペースだったと報じた。これは公開前の追跡情報として伝えられた数字である。
公開直前の北米初週末予測にも幅があった。Bam Smack Powは10月21日の記事で1500万〜2000万ドル(約23億6000万~31億4000万円)という追跡予測を紹介し、Boxoffice Proは同日の週末展望で2500万〜3000万ドル(約39億3000万~47億1000万円)を予測した。DC作品のファンに加え、ホラー映画の観客をどこまで取り込めるかが興行の焦点になる。
公開後の数字では、The Numbersが10月23日の北米興収を1040万ドル(約16億3000万円)、上映館数を3458館と集計している。Varietyによると、これには木曜先行上映の350万ドル(約5億5000万円)が含まれる。初週末全体の成績は、23〜25日の興行を通じて明らかになる。
ハロウィーンを前にした公開で、ホラーとしての訴求力が試される。Boxoffice Proは同じ週末、A24の「You Can See Everything」の拡大公開との競争にも注目している。収益性には製作費に加え、宣伝費や劇場との興行収入の配分なども関わる。
本作が観客を引き付ければ、DCは大型作品の合間に、特定ジャンルと人物描写を軸にした映画を展開する選択肢を広げられるだろう。初週末の動員と、その後の興収の推移は、DCUの表現の幅が商業面でも支持されるかを探る材料となる。
元記事: DC’s Clayface Opens Today: Why a R-Rated Villain Horror Film Could Change the Studio’s Playbook
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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