クアルコム、2nm採用のSnapdragon 8 Elite Gen 6を2モデル投入 Extremeは端末上で300億パラメータAIを想定

2026年9月25日 14:27

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記事提供元:Tech Times

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米クアルコムは9月22日、スマートフォン向けの新型SoC「Snapdragon 8 Elite Gen 6」と、上位モデル「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」を発表した。いずれもTSMCの2nmプロセスを採用し、最大5GHzで動作するCPUを搭載する。上位版は300億パラメータ超のAIモデルの端末内処理に対応し、ゲームや動画撮影機能も強化した。

■フラッグシップ向けSoCを2モデル展開

クアルコムは、米ハワイ州マウイ島で9月22~24日に開催した年次イベント「Snapdragon Summit 2026」で、新しいフラッグシップ向けモバイルプロセッサ2製品を発表した。従来の最上位製品を発展させ、異なる性能と機能を持つ2モデルを同時に展開する。

標準版のSnapdragon 8 Elite Gen 6は、CPU、GPU、NPUの性能と電力効率を高め、幅広いプレミアムスマートフォンへの採用を想定する。一方、Extreme版は大規模AIモデルの処理、高度なゲーム描画、プロ向けの動画撮影機能などを強化した上位製品となる。

クアルコムは今回の複数フラッグシップ戦略について、端末メーカーに「より大きな選択肢」を提供するものと説明している。採用予定のブランドとして、HONOR、iQOO、Motorola、OnePlus、OPPO、REDMI、RedMagic、vivo、Xiaomiの9ブランドを挙げた。

両製品の具体的な搭載機種や発売時期、販売価格は端末メーカーごとの発表による。日本国内での提供についても、各メーカーの正式な案内を確認する必要がある。

■TSMCの2nmプロセスと最大5GHzのOryon CPU

両製品には、TSMCの2nmプロセスで製造する半導体を採用した。TSMCの2nm世代では、従来のFinFETに代わり、ゲート・オール・アラウンド(GAA)型のナノシートトランジスタを導入している。

GAAは、電流が流れるチャネルをゲート電極が周囲から取り囲む構造だ。電流の制御を改善し、微細化に伴う漏れ電流の抑制や、性能と消費電力の改善を目指す。TSMCは、2nm世代の改良版であるN2Pについても、従来世代からの性能・電力効率向上を説明している。

CPUには、クアルコムが独自設計した次世代のOryon CPUを採用した。高性能なPrimeコア2基は最大5GHz、Performanceコアは最大4GHzで動作する。クアルコムは、5GHzに到達した世界初のモバイルCPUとして位置付けている。

新たな「Flex Cache」アーキテクチャも採用した。16MBのキャッシュを処理負荷に応じて動的に割り当て、単一スレッドの高負荷処理やマルチタスク、AIエージェントの処理などを効率化する。

■標準版はCPU性能10%、GPU性能35%向上

標準版のSnapdragon 8 Elite Gen 6は、前世代と比較してCPU性能を10%、CPUの電力効率を37%改善したとしている。再設計したAdreno GPUについても、性能を35%、電力効率を40%向上させたという。

GPUには12MBの「Adreno High Performance Memory」を搭載する。グラフィックス処理で必要となるデータを高速に扱うためのメモリであり、負荷の高いゲームなどでの描画性能向上を狙う。

AI処理を担当するHexagon NPUは、前世代比で性能が14%向上し、ワット当たりのAI性能も最大20%改善した。新しいElement Acceleratorを含む再設計により、端末上でのAI処理の高速化と省電力化を図る。

カメラ機能では、映像の色調を調整するElite Color Engineや、画素単位で画像を最適化するIntelligent Pixel Controlを採用した。被写体の動きに応じた映像安定化を支援するMotion Intelligenceにも対応し、写真や動画の画質向上を目指す。

■Extremeは300億パラメータ超のAIモデルに対応

Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6は、CPU、GPU、NPUを組み合わせた端末内AI処理を重点的に強化した。クアルコムによると、300億パラメータを超えるMixture of Experts(MoE、混合専門家)モデルをスマートフォン上で実行できる。

MoEは、複数の専門的なニューラルネットワークを組み合わせ、入力に応じて必要な部分を選択して動作させるAIモデルの構造だ。すべてのパラメータを毎回の演算で使用する方式と比べ、実際に計算する部分を限定できるため、大規模モデルの推論効率を高めることができる。

Extreme版では、Hexagon NPUの共有メモリを従来世代から50%拡大した。さらに、演算処理の効率化に向けた新しいElement Acceleratorを採用している。クアルコムは、NPU性能が前世代比で35%向上し、ワット当たりのAI性能も最大33%改善したと説明する。

端末上でAIモデルを処理することで、クラウドへの通信を必要としない利用場面を広げられる。ユーザーの状況や好みを学習し、複数の処理を連続して実行するパーソナルAIエージェントへの活用も想定されている。

もっとも、実際に利用できるAI機能は、搭載端末のメモリ容量やソフトウェア、対応アプリによって異なる。300億パラメータ超のモデルへの対応はプラットフォームの能力を示すものであり、すべての搭載端末で同じAIモデルや機能が利用できることを意味するものではない。

■AI専用GPUコアでゲーム描画を強化

Extreme版は、前世代比でGPU性能を44%、GPUの電力効率を40%向上させたとしている。さらに、18MBのAdreno High Performance Memoryを搭載し、標準版の12MBより大きなメモリ容量を確保した。

GPUには、AI処理に特化した新しい「Adreno Matrix Cores」を搭載する。これを利用する描画技術「Adreno Neural Fusion」は、AIによる超解像、フレーム生成、画像再構成を組み合わせ、ゲーム映像の画質と描画効率を高める仕組みだ。

超解像は、低い解像度で生成した画像をAIによって高解像度化する技術である。フレーム生成は、描画済みの画像を基に中間フレームを生成し、画面上の動きを滑らかに見せる。こうした技術を組み合わせることで、描画負荷を抑えながら高精細な映像表現を目指す。

Extreme版は、Unreal Engine 5のLumen Global Illumination、MegaLights、Nanite Virtualized Geometryなどの描画機能にも対応する。対応ゲームでは、光の反射や複雑な形状の表現に加え、Adreno Neural FusionによるAIを活用した描画が可能になる。

実際のフレームレートや消費電力、連続プレイ時の性能は、端末の冷却設計やゲーム側の対応状況にも左右される。搭載スマートフォンでの性能は、製品ごとの実測結果を確認する必要がある。

■8K・60fps動画撮影など映像機能も拡充

Extreme版は、8K解像度で毎秒60フレーム(60fps)の動画撮影と、4K解像度で240fpsのスローモーション撮影に対応する。高解像度の映像記録と、高速で動く被写体の滑らかなスローモーション表現を可能にする。

動画制作向けには「Advanced Professional Video(APV)」コーデックをサポートする。撮影した映像をスマートフォン上で編集・調整し、完成した作品として出力するまでの一連の制作工程を支援する。

カメラ処理には、標準版と同様にElite Color EngineやIntelligent Pixel Controlを活用する。Extreme版では、最大6400万画素のカメラ3基を組み合わせた撮影にも対応し、複数のカメラを利用する高度な映像制作を想定している。

また、AIを活用した「AI Voice Bubble」や、立体音響の表現を支援するQualcomm Spatial Audio Rendererも備える。映像だけでなく音声処理も強化することで、スマートフォンを使った撮影・編集・視聴の各段階を支援する。

■5Gは最大14.8Gbps、Wi-Fi 8にも対応

両製品は、通信機能として「Qualcomm X105 5G Modem-RF」を採用する。クアルコムの公表仕様では、5G通信の最大速度は下り14.8Gbps、上り4.2Gbpsとなっている。

X105は、AIを活用した通信最適化に加え、複数アンテナによる受信機能や、非地上系ネットワーク(NTN)を利用する衛星通信への対応を特徴とする。衛星通信の具体的なサービス内容や利用可能地域は、搭載端末や通信事業者によって異なる。

Wi-Fi接続には「Qualcomm FastConnect 8800」を搭載し、4×4構成のWi-Fi 8に対応する。公表されている理論上の最大通信速度は約11.6Gbpsで、Bluetooth、超広帯域無線(UWB)、Threadにも対応する。

両製品は、高性能CPUやAI処理機能に加え、次世代の無線通信技術を組み合わせることで、ゲーム、動画配信、AIサービスなどの利用を支える。実際の通信速度や利用できる機能は、通信環境、対応機器、端末メーカーの実装によって異なる。

■Motorolaが搭載スマートフォンを発表

新しいSnapdragonの採用を予定するメーカーのうち、MotorolaはExtreme版を搭載する「motorola signature 27」を発表した。クアルコムの新型SoCを採用する最初のスマートフォンの一つとして、Snapdragon Summit 2026で披露された。

同製品は、ソニー製イメージセンサーを使用したカメラシステムや、ペリスコープ式の望遠カメラ、Bang & Olufsenのオーディオ技術を採用する。高性能SoCを搭載した端末として、撮影性能や音響、AI機能を重視する。

Motorolaは、2026年中にグローバル市場で順次展開する予定としている。日本での発売日や販売価格については、国内向けの正式発表を待つ必要がある。

XiaomiやHONORなども、新型Snapdragonの採用予定ブランドに含まれている。今後は、標準版とExtreme版のどちらを搭載するかによって、各メーカーの最上位スマートフォンの機能や製品構成に違いが生じることになる。

■搭載端末の価格と実際の性能が焦点

Snapdragon 8 Elite Gen 6シリーズは、2nmプロセスへの移行に加え、CPU、GPU、NPU、通信機能などを刷新した。一方、搭載スマートフォンの販売価格については、クアルコムのチップ仕様だけで決まるものではない。

端末の価格は、半導体の調達費用だけでなく、メモリやカメラなどの部品構成、製造コスト、販売地域、メーカーの製品戦略によって左右される。標準版とExtreme版の価格差についても、各メーカーの製品発表によって明らかになる。

今回の2モデル展開で注目されるのは、端末上で動作するAIの規模と、AIを活用したゲーム描画や動画制作機能の違いだ。特にExtreme版は、300億パラメータ超のMoEモデルへの対応と、専用GPUコアを用いたAdreno Neural Fusionを特徴とする。

一方、標準版も最大5GHzのOryon CPUや再設計したHexagon NPUを搭載し、従来世代から性能と電力効率の向上を図っている。両製品の実際の使い勝手や性能差は、今後登場する搭載端末と対応アプリによって具体化していく。

元記事: Qualcomm Snapdragon Summit Debuts Dual 2nm Chips: Extreme Gen 6 Runs 30B AI Models Offline

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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