ホルムズ海峡の石油輸送、なお戦争前の半分以下か―米政権と民間推計に隔たり

2026年9月15日 10:51

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記事提供元:International Business Times

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 ホルムズ海峡を通過する原油・石油製品の輸送量が、米軍の支援を受けて回復している。ただ、民間の船舶追跡会社による推計では、イランとの戦争が始まる前の日量約2000万バレルを大きく下回っている。

 ワシントン・ポストは、ドナルド・トランプ米大統領をはじめとする米政権関係者が示す数字と、世界有数のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の船舶往来を調べる民間会社の推計に大きな隔たりがあると報じた。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年にホルムズ海峡を通過した原油・石油製品は日量平均約2000万バレルだった。米エネルギー情報局(EIA)の推計では、通過量は2025年第4四半期の日量2160万バレルから、戦争開始後の2026年第1四半期には1490万バレル、第2四半期には490万バレルへ減少した。

 トランプ大統領は8月31日、同海峡を通過する船舶が「一晩平均30隻」に達していると述べた。30隻すべてが積載能力200万バレルを超える大型原油タンカーだったと仮定すれば、輸送能力は合計6000万バレルを超える計算になる。

 ただし、この計算は船種、船体の大きさ、積み荷の種類、実際の積載量を考慮していない。通過船舶には、原油タンカーだけでなく、石油製品船、液化石油ガス(LPG)船、ばら積み貨物船なども含まれるため、船舶数をそのまま原油輸送量へ換算することはできない。9月12~13日の週末には、湾岸から退出した4隻の内訳が、原油またはコンデンセートを積載したスエズマックス型船1隻、LPG船1隻、肥料を運ぶばら積み船1隻、空荷のばら積み船1隻だった。

 米政権内でも発表する輸送量には幅がある。スコット・ベッセント米財務長官は、戦争開始後の最多記録として24時間で1700万バレルを超えたと説明した。JD・バンス米副大統領も、ある1日に約1500万バレルが海峡を通過したと述べた。

 一方、クリス・ライト米エネルギー長官は、海上輸送量が日量900万バレルを超えているとFOXニュースに語った。米政権関係者はその後、原油・石油製品の7日間平均が日量1000万バレルをやや上回り、さらに日量400万~500万バレルがパイプライン経由で湾岸地域から輸送されているとワシントン・ポストに説明した。

 民間の推計はこれを下回る。船舶追跡会社TankerTrackersは、ホルムズ海峡を通過した石油の60日間平均を日量785万バレルと推計した。リスク助言会社Obsidian Risk Advisorsのマネージング・プリンシパル、ブレット・エリクソンは、1カ月間の平均が日量約650万~700万バレルで推移し、直近では800万バレル近くまで増えたと見積もった。

 1日当たりの輸送量は大きく変動する。ある日に1100万~1200万バレルが通過しても、翌日には300万~400万バレルへ減ることがある。このため、特定の1日の最多記録だけでは、継続的な輸送状況を判断できない。

 ロイター通信によると、9月12~13日の週末にホルムズ海峡を通過した商品輸送船は計14隻にとどまり、直近10日間の1日平均14隻を大きく下回った。内訳は湾岸から退出した船舶が4隻、湾岸へ入った船舶が10隻だった。

 輸送量の把握を難しくしているのが、船舶自動識別装置(AIS)の停止である。タンカーの一部はイラン側による追跡を困難にするため、ホルムズ海峡の通過時にAISの電波を止めている。こうした船舶は通常の追跡データに直ちに反映されず、民間会社が衛星画像などを使い、数日後に通過を確認する場合がある。

 米軍はホルムズ海峡を通過するタンカーと時刻や航行手順を調整し、イランのミサイルや無人機による攻撃に備えて離れた場所から船舶を防護している。

 米中央軍の報道官を務める米海軍のティム・ホーキンス大佐によると、米軍は5月以降、約1600隻の船舶と8億バレルを超える原油の輸送を支援した。8月21日時点では約1300隻、6億6000万バレルと発表されており、その後も支援対象が増えたことになる。

 それでも、ホルムズ海峡の輸送量は戦争前の水準には戻っていない。さらに、サウジアラビアは9月、イラクから飛来した複数の無人機による攻撃を受け、同国東部から紅海沿岸へ原油を運ぶ東西パイプラインを予防的に停止した。サウジ政府によると、攻撃では負傷者が出たほか、設備も損傷した。

 東西パイプラインはホルムズ海峡を回避する主要な輸送経路で、最大輸送能力は日量約700万バレルである。戦争後には、このうち日量約400万~500万バレルが湾岸地域を迂回するために使われていた。修復には3~5週間かかる可能性があると報じられている。

 ロイター通信は、AISを止めて航行するタンカーを推計に加えても、湾岸地域からの石油輸出の約3分の1が戦争前の水準から失われたままだと報じた。

 ホルムズ海峡では原油・石油製品の輸送が続き、米軍の支援によって通過量も増えている。しかし、民間の船舶追跡データが示す日量800万バレル前後という規模は、戦争前の日量約2000万バレルをなお大幅に下回る。

 米軍関係者はワシントン・ポストに対し、「ゼロではないが、紛争前の水準でもない」と述べた。

※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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