AMD「Ryzen AI Max PRO 400」、最大192GBメモリで3000億パラメータ級LLMのローカル実行を訴求

2026年9月5日 21:26

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記事提供元:Tech Times

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AMDは、最大192GBの統合メモリに対応する法人向けプロセッサ「Ryzen AI Max PRO 400」シリーズを展開する。内蔵GPUに最大160GBを割り当てられ、同社は4ビット量子化された3000億パラメータ級の大規模言語モデル(LLM)をローカルで実行できるとしている。HPとLenovoから2026年第3四半期以降に搭載システムが登場する予定だが、製品ごとのメモリ構成や価格、実際の推論性能は各社の発表と実機検証を待つ必要がある。

■最大160GBをGPU用に割り当て

開発コードネーム「Gorgon Halo」のRyzen AI Max PRO 400シリーズは、AMDが2026年5月に発表し、IFA 2026でもパーソナルAIを支えるプロセッサとして取り上げた製品だ。CPU、内蔵GPU、NPUが大容量の統合メモリを共有し、クラウドや単体GPUへの依存を抑えたローカルAI処理を主な用途とする。

搭載システムは最大192GBのLPDDR5X-8533メモリに対応し、そのうち最大160GBを内蔵GPU用メモリとして割り当てられる。従来のRyzen AI Max 300シリーズでは統合メモリが最大128GB、GPUへの割り当てが最大96GBだったため、大規模モデルを読み込める余地が大きく広がった。

LLMの推論では、演算性能だけでなく、モデルの重みを保持するメモリ容量と読み出し帯域が性能を左右する。単体GPUを搭載する一般的なノートPCでは、システムメモリとGPU専用メモリが分かれており、GPU専用メモリに収まらないモデルを扱うと、PCI Express経由のデータ転送が必要になる。

統合メモリ構成では、CPUとGPUが同じメモリプールを参照できるため、システムメモリからGPU専用メモリへモデル全体を複製する必要がない。大容量のモデルを一つの機器で扱いやすくなることが、Ryzen AI Max PRO 400の主な特徴である。

AMDが掲げる3000億パラメータ級LLMの実行は、4ビット量子化が前提となる。パラメータだけを単純計算すると、3000億個を4ビットで格納するために約150GBが必要となる。ただし、実際の推論では量子化方式に伴う付加情報、実行環境、キー・バリューキャッシュなどにもメモリを使う。最大160GBという割り当て容量はモデルを読み込める可能性を示す一方、利用できるコンテキスト長や処理速度はモデルとソフトウェア構成によって変わる。

LPDDR5X-8533を256ビット幅で接続した場合の理論上のメモリ帯域は約273GB/sとなる。データセンター向けAIアクセラレーターが採用するHBMと比べて帯域は限られるため、モデルがメモリに収まることと、高速に推論できることは分けて考える必要がある。AMDによる3000億パラメータという訴求は、主として処理可能なモデル規模を示すものである。

■3モデルを用意、最上位は16コア

Ryzen AI Max PRO 400シリーズは、Ryzen AI Max+ PRO 495、Ryzen AI Max PRO 490、Ryzen AI Max PRO 485の3モデルで構成される。CPUにはZen 5、内蔵GPUにはRDNA 3.5、NPUにはXDNA 2の各アーキテクチャを採用する。

最上位のRyzen AI Max+ PRO 495は16コア32スレッドで、ベースクロックは3.1GHz、最大ブーストクロックは5.2GHzとなる。内蔵GPUは40基のコンピュートユニットを備えるRadeon 8065Sで、GPUクロックは最大3.0GHz、NPU性能は最大55 TOPSである。キャッシュ容量は合計80MB、標準TDPは55W、構成可能なTDPは45~120Wとなる。

Ryzen AI Max PRO 490は12コア24スレッドで、ベースクロックは3.2GHz、最大ブーストクロックは5.0GHzである。内蔵GPUは32基のコンピュートユニットを備えるRadeon 8050S、NPU性能は最大50 TOPS、キャッシュ容量は合計76MBとなる。

Ryzen AI Max PRO 485は8コア16スレッドで、ベースクロックは3.6GHz、最大ブーストクロックは5.0GHzである。内蔵GPUはRadeon 8050S、NPU性能は最大50 TOPS、キャッシュ容量は合計40MBとなる。

3モデルとも最大192GBの統合メモリに対応する。従来のRyzen AI Max 300シリーズからの主な変化は、対応メモリ容量と速度の引き上げである。最上位モデルでは、CPUの最大ブーストクロックとGPUクロックも従来製品から100MHz引き上げられた。

シリーズ名の「PRO」が示す通り、企業向けのセキュリティー機能や管理機能にも対応する。AMDが発表したRyzen AI Max PRO 400搭載システムの中心は、法人向けPC、モバイルワークステーション、小型デスクトップとなる。

■NVIDIA製品とは容量とソフトウェア環境が相違

大容量の統合メモリを備えた小型AIシステムでは、NVIDIAのDGX Sparkも比較対象となる。DGX SparkはGB10 Grace Blackwellスーパーチップを搭載し、20コアのArm CPUとBlackwell GPU、128GBの統合メモリを組み合わせる。

NVIDIAによると、DGX SparkはFP4精度で最大1ペタFLOPSのAI演算性能を備え、最大2000億パラメータのモデルを扱える。米国でのFounders Editionの価格は4699ドルで、1ドル=156円で換算すると約73万3000円となる。

メモリ容量では、最大192GBに対応するRyzen AI Max PRO 400搭載システムがDGX Sparkの128GBを上回る。一方、DGX Sparkは低精度演算用のTensorコアとCUDAを中心とするソフトウェア環境を備える。モデルの学習やファインチューニング、既存のCUDA向けアプリケーションを重視する場合には、演算機能とソフトウェア対応を含めた比較が必要になる。

NVIDIAは2026年5月、Windows PC向けの「RTX Spark」も発表した。RTX SparkはBlackwell GPUと20コアのGrace CPU、最大128GBの統合メモリを組み合わせ、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft、MSIなどが搭載ノートPCや小型デスクトップを2026年秋から投入する予定である。

Ryzen AI Max PRO 400はx86-64環境を採用するため、既存のWindowsおよびLinux向けx86アプリケーションとの親和性が強みになる。もっとも、AIフレームワークの実際の性能や対応機能は、OS、ドライバー、ROCmへの対応状況によって異なる。

■大容量メモリ製品では価格と供給も焦点

大容量メモリを採用するPCや小型AIシステムでは、メモリ価格と供給状況も製品化を左右する。NVIDIAは2026年2月、世界的なメモリ供給の制約を理由に、DGX Spark Founders Editionの希望小売価格を3999ドルから4699ドルへ引き上げた。

AppleのMac Studioでも、2026年3月に512GBのユニファイドメモリ構成が注文画面から削除され、256GB構成の価格が引き上げられた。その後、選択できる大容量構成はさらに縮小しており、高密度メモリを必要とする製品の供給環境が厳しくなっていることがうかがえる。

Ryzen AI Max PRO 400が最大192GBに対応することはAMDの仕様として確認されているが、すべての搭載PCに192GBが採用されるわけではない。実際に販売されるメモリ構成、地域ごとの発売時期、価格、供給量は、HPやLenovoなど各メーカーの製品発表によって決まる。

■HPとLenovoが搭載システムを展開

AMDは2026年5月の発表時に、HPとLenovoがRyzen AI Max PRO 400搭載システムを2026年第3四半期以降に投入する予定だと明らかにした。想定される製品には、法人向けAI PC、モバイルワークステーション、小型デスクトップが含まれる。

AMDは開発者向けの小型デスクトップ「Ryzen AI Halo」も展開している。第1世代はRyzen AI Max+ 395と最大128GBの統合メモリを搭載し、最大2000億パラメータのモデルを扱えるとしている。AMDは同製品について、WindowsとLinux、ROCmに対応し、PyTorch、vLLM、llama.cpp、Ollama、ComfyUI、LM Studioなどを利用できるとしている。

Ryzen AI Max PRO 400を採用する次世代のRyzen AI Haloも計画されている。ただし、個別製品の販売時期や価格、各ソフトウェアの対応範囲については、製品版の正式情報を確認する必要がある。

■3000億パラメータ対応は容量を示す指標

大規模なモデルを端末内に保持できる構成は、機密性の高いデータを外部サービスへ送らずに処理したい企業や、クラウドAPIの利用量を抑えながらモデルを検証したい開発者に選択肢をもたらす。複数のモデルやエージェントを同時に動かす場合にも、大容量のメモリプールを利用できることは利点となる。

一方、3000億パラメータ級のモデルがメモリに収まることだけで、用途に適した応答速度や精度が得られるとは限らない。推論速度はメモリ帯域、量子化方式、コンテキスト長、モデル構造、ソフトウェア最適化、システムの電力設定などに左右される。

4ビット量子化も、常にFP16より一律に品質が低下するわけではなく、影響の大きさはモデル、量子化手法、評価タスクによって異なる。導入時にはパラメータ数だけでなく、実際に使うモデルでの生成速度、精度、消費電力、ソフトウェア互換性を確かめることが重要になる。

Ryzen AI Max PRO 400の最大192GBという仕様は、単体GPUの専用メモリ容量を超えるモデルを一台のx86システムで扱うための新たな選択肢となる。製品版システムの価値を判断するうえでは、最大容量の構成がどの程度流通するかに加え、3000億パラメータ級モデルを動かした際の独立した性能検証が焦点となる。

元記事: Ryzen AI Max PRO 400: 192GB Unified Memory Puts 300B-Parameter LLMs on Your Desk Without the Cloud

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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