AppleがM5 Ultra搭載Mac Studio発表、最大512GBメモリで巨大AIモデルをローカル実行

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Appleは2026年8月25日、2ナノメートルプロセスを採用した「M6」と、初の4ダイ構成となる「M5 Ultra」を発表した。M6は新型Mac mini、M5 Ultraは新型Mac Studioに搭載され、いずれも予約注文を受け付けており、9月22日に販売が始まる。
M5 Ultra搭載Mac Studioは、最大512GBのユニファイドメモリと1.2TB/sのメモリ帯域幅を備える。数千億パラメータ規模のオープンウェイトモデルをクラウドへ送らず、デバイス上のメモリに読み込んで推論できることが大きな特徴だ。
■2nmプロセスを採用したM6
M6は、Appleが初めて2ナノメートルプロセスで製造するチップだ。Appleは製造委託先を発表していないが、採用されているのはGAA(全周ゲート)方式のナノシートトランジスタで、従来のFinFETに代わってゲートがチャネルの周囲を覆う構造を持つ。
TSMCが公表しているN2プロセスの指標では、N3世代と比べて同じ消費電力で10~15%の性能向上、または同じ性能で25~30%の消費電力削減を見込む。ただし、これらは製造プロセスに関する指標であり、M6搭載製品全体の性能や消費電力が同じ割合で改善することを直接示すものではない。
M6は12コアCPUを搭載し、2つのスーパーコア、4つの高性能コア、6つの高効率コアで構成される。Appleによると、マルチスレッド性能はM5の最大1.2倍、M1の最大2.4倍になるという。
GPUも12コア構成となり、各GPUコアにAI処理を高速化するNeural Acceleratorを内蔵する。さらに、2基の16コアNeural Engineからなる「Dual 16-core Neural Engine」を備え、前世代に対して最大2倍のピーク演算性能をうたう。
ユニファイドメモリは最大32GB、メモリ帯域幅は170GB/sである。新型Mac miniには、M6搭載モデルに加えてM5 Pro搭載モデルも用意される。
■4つのダイを統合したM5 Ultra
M5 Ultraは、AppleのMシリーズとして初めて4つのダイを単一のシステム・オン・チップとして統合した製品だ。
M5 ProとM5 Maxでは、複数の機能を2つのダイに分けて接続する「Fusion Architecture」が導入された。M5 Ultraは、2ダイ構成のM5 Maxを2基接続することで、合計4ダイの構成を実現している。
ダイ間の接続には次世代のUltraFusionを使用する。Appleによると、ダイ間帯域幅は4.4TB/sを超え、従来世代より接続密度も向上した。複数のダイとメモリを、アプリケーションから単一のチップと共通のメモリ領域として利用できる設計だ。
M5 Ultraは最大36コアCPUと最大80コアGPUを搭載する。GPUの各コアにはNeural Acceleratorが組み込まれ、32コアNeural Engineも備える。
Appleは、M3 Ultraと比べてCPU性能が最大1.3倍、AI関連のピークGPU演算性能が最大4.3倍、グラフィックス性能が最大1.8倍になるとしている。これらはAppleが試作機と特定のアプリケーション、ワークロードを用いて測定した数値で、実際の性能は処理内容やモデルによって異なる。
映像処理では、H.264、HEVC、ProRes、ProRes RAWに対応したメディアエンジンと、AV1のハードウェアデコード機能を搭載する。Appleによると、8K ProRes 422映像を最大33ストリーム同時に再生できる。
■最大512GBのユニファイドメモリ
M5 Ultra搭載Mac Studioは、最大512GBのユニファイドメモリと1.2TB/sのメモリ帯域幅に対応する。CPU、GPU、Neural Engineが同じメモリ領域へアクセスするため、大規模なモデルを複数のメモリ領域に分割して転送する処理を抑えられる。
大規模言語モデルの推論速度は、演算性能だけでなく、モデルの重みを処理装置へ送るメモリ帯域幅の影響を大きく受ける。特に1回の要求を順次処理する推論では、モデルの重みを読み出す速度が主要な制約になることがある。一方、入力の長さ、同時処理数、キャッシュ容量、推論ソフトウェアなども性能を左右する。
モデルの重みだけを単純計算すると、700億パラメータのモデルは16bit形式で約140GB、4050億パラメータのモデルは約810GBを必要とする。4050億パラメータを4bitで保持する場合の理論上の最低容量は約203GBだが、実行時には量子化用の追加情報、キャッシュ、作業領域なども必要になる。実際のメモリ使用量はモデル形式やコンテキスト長、推論ソフトウェアによって変わる。
最大512GBの構成では、このような数千億パラメータ規模の量子化済みオープンウェイトモデルを、ストレージや別のコンピューターへ重みを退避させずに実行できる余地が生まれる。モデルをローカルで処理すれば、推論対象のデータを外部のAPIへ送らずに運用する構成も選択できる。
最大512GBのユニファイドメモリ自体はMac Studioで初めてではなく、2025年に登場したM3 Ultra搭載モデルも対応していた。新モデルの特徴は、この容量を維持しながら、メモリ帯域幅やAI向けGPU演算性能、複数台での分散処理を強化した点にある。
■MLXは推論だけでなく学習や微調整にも対応
AppleのMLXは、Appleシリコン向けに設計されたオープンソースの機械学習フレームワークだ。大規模言語モデルの推論に加え、モデルの学習、勾配計算、最適化、LoRAによる微調整にも対応している。
したがって、Macではモデルを微調整できず、必ずNVIDIA製GPUが必要になるわけではない。ただし、既存のAI研究・運用環境では、PyTorch、vLLM、TensorRT-LLMをはじめ、NVIDIAのCUDAを前提とするソフトウェアや最適化手法が数多く利用されている。
既存コードとの互換性、大規模な分散学習、多数の利用者へ同時に応答するバッチ推論では、CUDAを中心とした環境が適する場合がある。一方、単一端末での推論、プロトタイプ開発、モデル規模を抑えた学習や微調整では、MLXと大容量ユニファイドメモリを組み合わせたMacも選択肢になる。
macOS 27で提供されるCore AIは、Appleシリコン上でAIモデルを構築、実行、配備するためのフレームワークだ。CPU、GPU、Neural Engineとユニファイドメモリを利用し、ローカルでのモデル配備やアプリへの独自モデルの組み込みを支援する。
■Thunderbolt 5で複数台をクラスタ化
新しいMac StudioはThunderbolt 5を標準搭載し、RDMA(Remote Direct Memory Access)を利用した複数台のクラスタ化に対応する。RDMAは、別のコンピューターのメモリへ低い処理負荷でデータを転送する技術で、分散型AI推論におけるデータ交換の効率化に利用できる。
Appleによると、4台のMac Studioで構成したクラスタでは、単体と比べて最大3倍の分散型AI推論性能を実現するという。複数台のメモリを利用することで、単体の512GBを超えるモデルを読み込む構成にも対応する。
この性能値もAppleの試作機による測定結果であり、モデル、推論ソフトウェア、通信量などによって拡張効率は変わる。
新しいMac Studioはこのほか、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Thunderbolt 5に対応する。ストレージは前世代と比べて最大2倍の性能をうたっている。
■M6 Mac miniとM5 Ultra Mac Studioの位置付け
M6は2ナノメートル世代の新しいチップだが、M5 Ultraより上位の製品ではない。Mac mini向けのM6は、日常的な作業、ソフトウェア開発、比較的小規模なオンデバイスAI処理を対象とする。
最大32GBというメモリ容量は、ローカルで実行できるモデルの規模を制限する。4bit量子化モデルでも、モデルの重み以外に実行用の領域が必要になるため、利用できるパラメータ数はモデル形式やコンテキスト長によって変わる。
M5 Ultra搭載Mac Studioは、大容量メモリ、最大80コアのGPU、高いメモリ帯域幅を必要とするAI開発、映像制作、3D処理、科学技術計算などを想定したワークステーションである。
■価格と販売スケジュール
米国での価格は、M6搭載Mac miniが899ドル(約14万3000円、1ドル=159円換算)から、M5 Pro搭載モデルが1699ドル(約27万円)からとなる。
Mac Studioは、M5 Max搭載モデルが2499ドル(約39万7000円)から、M5 Ultra搭載モデルが5499ドル(約87万4000円)からである。円換算額は為替レートに基づく概算で、日本での実際の販売価格とは異なる。
新しいMac miniとMac Studioは予約注文を受け付けており、2026年9月22日に販売が始まる。最大512GBのユニファイドメモリを選択した構成の価格は、メモリやストレージなどの構成によって変わる。
■注目ポイントQ&A
●M5 Ultra搭載Mac StudioはGPUサーバーを置き換えられますか?
用途によってはローカル推論用のシステムとして利用できます。特に、大容量メモリを必要とするオープンウェイトモデルを1台で実行したい場合に適しています。一方、大規模な分散学習、CUDA専用ソフトウェア、多数の利用者を対象とする高スループット推論では、NVIDIA製GPUを使ったサーバーが適する場合があります。
●M6とM5 Ultraのどちらを選ぶべきですか?
一般的なデスクトップ作業、開発、比較的小規模なローカルAI処理にはM6搭載Mac miniが候補になります。最大512GBのメモリや最大80コアのGPUを必要とする巨大モデルの推論、映像制作、科学技術計算にはM5 Ultra搭載Mac Studioが適しています。
●MLXではモデルを微調整できますか?
はい。MLXは推論専用ではなく、モデルの学習やLoRAによる微調整にも対応しています。ただし、モデルや既存コードがCUDA向けに作られている場合は、移植や別の実装が必要になることがあります。
●最大512GBなら、どのAIモデルでも実行できますか?
いいえ。必要な容量はパラメータ数だけでなく、数値精度、量子化形式、コンテキスト長、キャッシュ、推論ソフトウェアによって変わります。最大512GBは数千億パラメータ規模の量子化モデルを実行できる可能性を広げますが、個々のモデルについて動作条件を確認する必要があります。
●独立した性能評価はいつ確認できますか?
一般販売は2026年9月22日に始まる予定です。Appleが示した性能値は試作機による測定結果であり、実製品を使った第三者の評価は販売開始前後に公表されるとみられます。
元記事: Mac Studio M5 Ultra Ships With 512GB to Run Frontier AI Models Locally
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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