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【分析】グラフィックカード出荷減でも2倍超の増益、PC Partner決算が映すGPU価格高騰の構造

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グラフィックカード市場では、メモリ供給の逼迫を背景に店頭価格の上昇が続く一方、メーカー側の収益が拡大する例も出ている。ZOTAC、Inno3D、Manliを傘下に持つPC Partner Groupは、2026年上半期に自社ブランドのグラフィックカード販売数量が前年同期比18.4%減少したものの、グループ全体の親会社株主に帰属する利益は同117.9%増となった。
業界アナリストのJon Peddie氏は、メモリ価格の上昇や不足に関する報道を背景に、AIBメーカーが実際のメモリコスト上昇幅を超えてカード価格を引き上げている可能性があるとの見方を示した。ただし、各社の1台当たり調達原価は開示されておらず、増益のどの程度がコスト転嫁や利幅の拡大によるものかは確認できない。
■販売数量が減る一方で純利益は117.9%増
シンガポール取引所に上場するPC Partner Groupが2026年8月14日に公表した中間決算によると、2026年上半期の売上高は前年同期比1.5%増の64億5020万香港ドル、売上総利益は同58.8%増の10億6280万香港ドルだった。親会社株主に帰属する利益は、前年同期の2億5036万香港ドルから5億4552万香港ドルへ増加した。
ZOTAC、Inno3D、Manliなどを含む自社ブランドのグラフィックカード事業では、売上高が前年同期比9.2%減の44億6250万香港ドルとなった。販売数量は18.4%減少したが、平均販売価格は10.7%上昇した。PC Partnerは数量減少の要因として、GPUとグラフィックスメモリの供給制約を挙げている。
ODM・OEM向けグラフィックカード事業では、販売数量が38.4%減少した一方、売上高は8億5330万香港ドルから14億8430万香港ドルへ73.9%増加した。平均販売価格は181%上昇しており、製品構成や販売単価の変化が数量減少を上回った。
これらの数値は、販売数量と利益が単純に連動しないことを示している。ただし、グループ全体の利益には製品構成、販売単価、原価、為替、事業別採算など複数の要因が影響するため、純利益の増加だけを根拠に消費者向けカードの利幅が同じ割合で拡大したとは判断できない。
■米国では大容量VRAMモデルの値上がりが目立つ
Tom's Hardwareが米通販サイトNeweggの掲載価格を調査したところ、GeForce RTX 5060 Ti 16GBの価格中央値は、2026年6月の569.99ドルから8月には804.99ドルへ約39%上昇した。円換算では約12万8800円となる。米国での発売時価格429ドルと比べると、約88%高い水準だ。
GeForce RTX 5070の価格中央値も659.99ドルから899.99ドルへ約36%上昇し、GeForce RTX 5060は369.99ドルから469.99ドルへ約27%上昇した。一方、GeForce RTX 5060 Ti 8GBは469.99ドルから529.99ドルへの約13%上昇にとどまった。
同じGPUを使うRTX 5060 Tiの8GB版と16GB版で上昇率に大きな差があることは、VRAM容量が価格形成に強く影響している可能性を示す。ただし、Neweggの掲載価格を基にした中央値であり、NVIDIAが希望小売価格を改定したことを意味するものではない。販売店、在庫、カードメーカー独自の設計によって実売価格には幅がある。
最上位のGeForce RTX 5090は、同じ調査で中央値が4699.99ドル、約75万2000円となり、米国での発売時価格1999ドルを約135%上回った。日本で発表された発売時の価格は39万3800円からであり、米国価格を単純に円換算した数値は国内の実売価格とは一致しない。
AMD製GPUを搭載するカードでも値上げの例がある。米国ではASUSのRadeon RX 9070 XT「Prime OC」が799.99ドルから939.99ドルへ、「TUF Gaming」が849.99ドルから989.99ドルへ上昇したと報じられている。これらも特定メーカーの特定モデルに関する米国価格であり、AMD製品全体や日本市場に一律に当てはまるものではない。
■AI向けメモリ需要が消費者向け製品にも影響
GeForce RTX 50シリーズは主にGDDR7、Radeon RX 9000シリーズはGDDR6をグラフィックスメモリとして採用する。これらのメモリと、AIアクセラレーターに使われる広帯域メモリのHBMは、いずれもDRAMメーカーの生産能力や設備投資の配分から影響を受ける。
IDCは、AIデータセンター向けのHBMや大容量DDR5が優先されることで、PCやスマートフォンなどに使われる汎用メモリの供給が圧迫されていると分析している。従来の循環的な需給変動だけではなく、製造能力がAIインフラ向けへ戦略的に再配分される構造変化の可能性も指摘した。
TrendForceも2026年第3四半期のグラフィックスDRAMについて、需要自体は弱含んでいるものの、メーカーが生産能力をほかの主力製品へ柔軟に振り向けているため、GDDR6とGDDR7の供給は引き続き逼迫し、価格も汎用DRAMに連動して上昇すると予測している。
この構造では、AI向けHBMの需要増加とグラフィックカード用メモリの値上がりが、同じ製品を直接奪い合うというより、限られたDRAM生産能力の配分を通じて結び付く。GPU価格にはメモリ以外にもGPUダイ、基板、電源回路、冷却機構、物流、為替、販売店の在庫状況などが影響するため、値上がりを一つの要因だけで説明することはできない。
■エントリー向けカードにも供給不足の可能性
PC Partnerは2026年下半期について、価格上昇に加え、エントリー向けグラフィックカードがさらに深刻な供給不足に直面し、平均販売価格が一段と上昇する可能性があると説明した。
同社はまた、2026年上半期のグラフィックカード出荷量が2025年下半期に比べて大幅に減少し、2026年下半期には入手性がさらに低下する可能性があると予想している。CPU、汎用DRAM、そのほかの主要部品でもリードタイムが大幅に長期化しているという。
これはPC Partnerによる業績見通しであり、市場全体の価格が同じ幅で上昇することを確定するものではない。それでも、メモリ搭載量が少ないため影響が比較的小さかった低価格帯にも、供給制約が広がる可能性を示す材料となる。
■メモリ価格の上昇圧力は当面続く見通し
TrendForceは2026年7月、同年第3四半期の汎用DRAM契約価格が前四半期比13〜18%上昇すると予測した。第1四半期の90〜95%上昇に比べると上昇ペースは鈍化するものの、価格が下落に転じるとの予測ではない。
IntelのLip-Bu Tan CEOは2026年2月、メモリ業界の主要企業との会話を基に、供給不足について「2028年までは緩和がない」との見方を示した。SK hynixのKwak Noh-jung CEOも同年7月、供給面では2027年が業界史上最も厳しい年になると予測し、顧客需要が同社の供給能力を上回る状態が2030年以降も続くとの見通しを語った。
いずれも企業経営者による予測であり、需要や設備投資の変化によって状況は変わり得る。一方、少なくとも現時点では、短期間でメモリ供給が大幅に改善し、グラフィックカード価格が一斉に発売時水準へ戻ると判断できる材料は乏しい。
■購入時は容量だけでなく実売価格と用途を比較
グラフィックカードを購入する際は、希望小売価格からの上昇率だけでなく、実際の用途に必要な性能とVRAM容量、国内販売店の在庫、保証、消費電力などを比較する必要がある。
8GBモデルは16GB以上のモデルより価格上昇が小さい例があるが、必要なVRAM容量はゲームの解像度や画質設定、映像制作、生成AIなどの用途によって異なる。価格だけを理由に容量を減らすと、目的のソフトウェアで性能上の制約が生じる可能性もある。
旧世代製品や中古品も選択肢になるが、旧世代であることだけを理由にメモリ供給の影響を受けないとはいえない。新品と中古の価格差、保証期間、消費電力、必要な機能を個別に確認することが重要だ。
未発表のGeForce RTX 50 SUPERシリーズについては、NVIDIAから製品構成や発売時期が正式に案内されていない。3GB容量のGDDR7チップの価格を理由に計画が保留されているとの報道はあるものの、購入判断の前提となる確定情報としては扱えない。
■注目ポイントQ&A
●販売数量が減っているのに、なぜPC Partnerの利益は増えたのですか?
自社ブランド製品の平均販売価格が上昇したほか、ODM・OEM事業でも高単価化が進んだためです。グループ全体では売上総利益も増加しました。ただし、純利益には製品構成や原価など複数の要因が影響するため、値上げ分がそのまま利益になったとは断定できません。
●メーカーがメモリコスト以上の値上げをしたことは確認されていますか?
確認されていません。Jon Peddie氏がその可能性を指摘していますが、メーカー各社は1台当たりのメモリ調達原価を公表していません。現時点では、検証を要するアナリストの見解です。
●エントリー向けグラフィックカードも値上がりしますか?
PC Partnerは2026年下半期にエントリー向け製品の供給不足が深刻化し、平均販売価格が上昇する可能性があると予測しています。ただし、製品や地域、販売店によって価格動向は異なります。
●GeForce RTX 50 SUPERシリーズを待つべきですか?
NVIDIAは製品構成や発売時期を正式発表していないため、確実な購入計画には組み込みにくい状況です。現在必要な性能、国内で購入できる製品の価格、待てる期間を基に判断するのが現実的です。
●今買うなら8GBモデルや旧世代製品がお得ですか?
一律には判断できません。8GBモデルは価格上昇が比較的小さい例がありますが、用途によってはVRAM容量が不足します。旧世代品や中古品についても、価格だけでなく性能、保証、消費電力、必要な機能を比較してください。
元記事: GPU Makers Doubled Profits as Prices Climbed: Analyst Suspects Opportunistic Markups
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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