【決算分析】米アマゾンのAWS受注残が約4960億ドルに急増、AI設備投資を2200億ドルへ引き上げ

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米アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(AWS)」で、顧客からのクラウド容量需要が同社の構築能力を上回っている。2026年第2四半期末の残存履行義務は4960億ドル(約78兆8640億円)に達し、2027年も需給の逼迫が続く可能性がある。複数年のAWS利用を検討する企業にとって、近い将来の容量確保が難しくなり得る状況だ。
■AWSの受注残が急増、需要が構築能力を上回る
Amazon Web Services(AWS)はすでに、自社が構築できる以上のクラウド容量を販売している。これがAmazonの2026年第2四半期決算を読み解くうえで中心となる事実であり、同時に発表された過去最高の2200億ドル(約34兆9800億円、1ドル=159円換算)という設備投資(CapEx)計画を含め、ほかの数値の意味合いも変える。
Amazonの2026年第2四半期決算発表によると、2026年6月30日までの四半期におけるAWSの売上高は422億ドル(約6兆7098億円)で、前年同期比37%増となった。これは過去18四半期で最も高い成長率である。この結果は、約31%増というウォール街のコンセンサス予想を上回り、多くのアナリストが明確な上振れと評価した。しかし、より重要な情報は決算説明会で開示された。アンディ・ジャシーCEOは、契約済みのクラウド利用契約のうち、まだ売上として認識されていない金額が、1四半期で3640億ドル(約57兆8760億円)から4960億ドル(約78兆8640億円)へ増加したと明らかにした。利用可能な分析によると、この1四半期における1320億ドル(約20兆9880億円)の増加額は、同じ期間にGoogle Cloudが記録した同等の受注残の増加額を大幅に上回った。
この受注残は、単なる財務指標ではない。AWSインフラに対する企業需要が、Amazonの短期的な供給能力を上回るほどの規模に達していることを示している。ジャシーCEOは次のように述べた。「2026年に寄せられているすべての需要を満たすだけの容量は、依然として確保できないだろう。この状況は2027年にも続くと考えている。実際、すでに寄せられている2028年の需要は目を見張るものだ」
7月30日の時間外取引で、Amazonの株価は10%以上上昇した。
■メモリ価格の高騰が設備投資を2200億ドルへ押し上げる
Amazonは2026年初めに、約2000億ドル(約31兆8000億円)の設備投資見通しを示していた。これ自体がすでに同社史上最大のインフラ投資計画だった。木曜日の決算説明会で、ジャシーCEOはこの金額を2200億ドル(約34兆9800億円)に引き上げた。
ジャシーCEOが具体的な要因として挙げたのは、メモリコストの上昇である。AIアクセラレータGPUで使用される広帯域メモリ(HBM)について、メモリメーカーは従来型DRAMよりもAIデータセンター向け製品を製造した方が、ウェハー当たりで推定3〜5倍の収益を得られる。このため、製造能力が従来型DRAMからAIデータセンター向けへ振り向けられている。この供給構造の変化によって2026年のメモリ契約価格は大幅に上昇し、Amazonの予想インフラ費用を約200億ドル(約3兆1800億円)押し上げた。
ジャシーCEOによると、Amazonは2027年末までに電力容量を2025年比で倍増させる計画を予定通り進めている。2027年に計画されているクラウドコンピューティング容量の大部分はすでに顧客によって予約され、2028年分についても相当部分で契約上のコミットメントを得ているという。Wells Fargoのアナリストから、4960億ドルというRPO(残存履行義務)がAmazonの2028年の計画にどのような影響を与えるかと問われたジャシーCEOは、今後2〜3年にわたって大規模なデータセンター容量を追加し続ける見通しを示した。
この規模の先行契約は、企業のテクノロジー購買担当者にとって重要な意味を持つ。複数年のAWS容量契約をまだ結んでいない組織は、短期的に利用できる容量の大部分が、先に契約した顧客によって事前に割り当てられている市場に直面することになる。
■4960億ドルの契約済み受注残が意味する実態
Amazonの2026年第2四半期決算発表によると、Amazonの残存履行義務は第2四半期末時点で4960億ドル(約78兆8640億円)に達し、前年同期比で3桁の伸びを記録した。残存履行義務とは、契約済みだが、まだ売上として認識されていない金額を表す正式な会計用語である。
規模を比較すると、AWSの現在の売上高は年換算で1690億ドル(約26兆8710億円)に相当する。ジャシーCEOは、AWSが独立した企業であればFortune 500で24位に入る規模だと述べた。4960億ドルの受注残は、この年換算売上高の3倍近い。Amazonは、現在のAWS売上高の約3年分に相当する、まだ請求も提供もしていない契約を抱えていることになる。
SEC(米国証券取引委員会)への提出書類によると、AlphabetのGoogle Cloudは2026年3月31日時点で、同等の残存履行義務を4676億ドル(約74兆3484億円)抱えていた。利用可能な分析によると、Amazonの受注残が1四半期で1320億ドル増加したのに対し、同じ期間におけるAlphabetの同等指標の増加額はこれを大幅に下回った。この違いは、クラウドプラットフォームとの長期契約を検討する企業にとって重要である。両社とも複数年にわたる持続的な需要を示す受注残を抱えているが、直近四半期におけるAWSの受注残の増加ペースは、絶対額で大幅に上回っていた。
■Trainium戦略の成果を示すAWSの利益率拡大
第2四半期決算で見落とされやすい点の一つが、AWSの営業利益率の上昇である。2026年第2四半期決算発表によると、AWSの営業利益は166億ドル(約2兆6394億円)となり、前年同期の102億ドル(約1兆6218億円)から64%増加した。営業利益率は39.4%に達し、2025年第2四半期の32.9%から650ベーシスポイント上昇した。
大規模な設備投資の増加と同時に営業利益率が上昇したことは、Amazonのカスタムチップ「Trainium」戦略が、大規模な事業において財務的成果につながっていることを示す有力な材料である。MicrosoftやMetaの設備投資額も押し上げているメモリ不足を反映した市場価格でNvidiaのGPU容量を購入する代わりに、AmazonはTrainiumを開発した。Trainiumは、Transformerモデルの学習と推論で中心となる行列乗算処理に最適化された、独自のAIアクセラレータ・アーキテクチャである。
第3世代のTrainium3は、TSMCの3ナノメートルプロセスで製造されている。サードパーティーによる分析では、144個のチップを搭載したフル構成のUltraServerは、合計362 MXFP8ペタフロップスの演算性能を備える。ラック単位ではNvidiaのBlackwell NVL72に匹敵する性能を、約50%低い総所有コスト(TCO)で実現するとされる。チップ間の接続には、NeuronSwitch-v1によるAll-to-All型のスイッチドファブリックを採用したNeuronLink-v4インターコネクトが使われ、チップ間通信に伴う処理負荷をコンピュートコアから切り離している。
ただし、明確なトレードオフもある。Trainiumが性能面とコスト面の優位性を発揮するには、Amazon独自のNeuron SDKを利用する必要がある。NvidiaのCUDAエコシステムを前提に構築されたAIワークロードを持つ企業には、移行に伴うポーティングコストが発生する。Amazonがコスト面の優位性を打ち出しているにもかかわらず、AIコンピューティング支出におけるNvidiaの強い地位が崩れていない理由の一つが、この移行上の負担である。一方、すでにAmazon Bedrockを利用している顧客や、新たなAIワークフローに投資する顧客にとって、2200億ドルの設備投資の多くは、Amazonがシリコンレベルからコストを管理できるインフラの整備に充てられる。
2026年第2四半期決算発表によると、TrainiumとBedrockへの投資を最も直接的に反映するAWSのAIサービス事業とチップ事業は、第2四半期にそれぞれ年換算売上高250億ドル(約3兆9750億円)を突破した。いずれも前年同期比で3桁の成長率を記録している。ジャシーCEOが世界をリードする2つのAIラボと表現したAnthropicとOpenAIは、それぞれTrainiumについて複数年、数ギガワット規模の容量利用を約束している。
■AIチップにとどまらないインフラ戦略、Graviton5とBedrock
AWSのサーバーCPU事業も、独自シリコン戦略の進展を示している。2026年第2四半期決算発表によると、第2四半期に一般提供が始まったGraviton5は、同等のインスタンスと比較して最大30〜40%高い価格性能比を実現し、Graviton4と比較してコンピューティング性能が最大25%向上している。Gravitonは現在、EC2の上位1000顧客の98%に利用されている。Graviton5の成長速度は、製品ライフサイクルの同じ段階におけるGraviton4の約2倍だという。
Amazon Bedrockは、企業顧客がAmazon、Anthropic、Google DeepMind、MetaなどのAIモデルを単一のプラットフォームから利用できるマネージド基盤モデルサービスである。現在は数十万の顧客が利用している。2026年第2四半期決算発表によると、直近6カ月間に新たにBedrockを利用し始めた顧客数は、サービス開始後の最初の2年間に獲得した顧客数を上回った。また、顧客による第2四半期の利用額は、それ以前の全四半期の合計を上回った。第2四半期の発表では、新たに追加されたモデルとして、OpenAIのGPT-5.6、AnthropicのClaude Opus 5、Google DeepMindのGemma 4、SpaceXAIのGrok 4.3などが挙げられた。
■初の2000億ドル超え四半期、純利益には評価益の影響
Amazonの2026年第2四半期の総純売上高は、前年同期比20%増の2006億ドル(約31兆8954億円)に達した。Amazonが単一の四半期で2000億ドルを超える売上高を記録したのは初めてである。営業利益は43%増の275億ドル(約4兆3725億円)、広告サービスの売上高は26%増の198億ドル(約3兆1482億円)となった。
純利益は前年同期の3倍を超える626億ドル(約9兆9534億円)となり、希薄化後1株当たり利益は5.75ドル(約914円)だった。ただし、この数字を見る際には重要な背景がある。Amazonの2026年第2四半期決算発表によると、純利益のうち534億ドル(約8兆4906億円)は営業外の非現金利益によるもので、その大部分はAnthropicへの投資をより高い公正価値で評価したことに伴う評価益だった。それでも、営業利益が前年同期比43%増の275億ドルとなった本業の業績は、それ自体で堅調である。
過去12カ月間のフリーキャッシュフローは、前年同期の182億ドル(約2兆8938億円)の流入から、76億ドル(約1兆2084億円)の流出へ転じた。長期債務は、2025年末の656億ドル(約10兆4304億円)から、2026年6月30日時点で1289億ドル(約20兆4951億円)へ増加した。これは、Amazonがインフラ投資の資金を調達するために行った債券市場での活動を反映している。
■AWSが挑むインフラ競争の行方
Amazonによる設備投資計画の2200億ドルへの引き上げは、業界で単独の動きではない。主要ハイパースケーラー4社のAmazon、Microsoft、Google、Metaは、2026年にAIインフラへ合計約7250億ドル(約115兆2750億円)を投じると予測されている。これは2025年の約4100億ドル(約65兆1900億円)から77%の増加であり、そのほぼすべてがAIの学習および推論能力の整備に向けられる。直近の四半期では、Google Cloudが前年同期比82%増、Microsoft Azureが同社の第4四半期に43%増となった。
AWSの37%増という成長率は、競合2社よりも大幅に大きい売上基盤の上で達成された。利用可能な分析によると、これに加えて、主要クラウドプラットフォーム3社のなかで、契約済み受注残の絶対的な増加額が最大だったとみられる。
Amazonは2026年第3四半期の売上高を1970億ドル(約31兆3230億円)から2020億ドル(約32兆1180億円)と見込んでいる。同社は、例年7月に実施していたプライムデーを今年は6月に移したため、前年同期との比較が複雑になっていると説明した。この時期変更の影響を除くと、第3四半期の前年同期比成長率は約400ベーシスポイント高くなるという。
2027年のインフラ需要によって、2200億ドルという設備投資見通しをさらに上方修正する必要が生じるかどうかについて、ジャシーCEOは明確な回答を避けた。一方、受注残が前年同期比で3桁の伸びを示していること、Amazonが今後2〜3年にわたって大規模なデータセンター容量を追加し続ける見通しであることは明言した。
■注目ポイントQ&A
●AWSの売上受注残とは何ですか?また、なぜ重要なのですか?
CNBCの決算報道によると、AWSの残存履行義務は、2026年第1四半期末の3640億ドルから第2四半期末には4960億ドルへ増加しました。1四半期で1320億ドルの増加です。残存履行義務とは、顧客が契約したものの、Amazonがまだ請求やサービス提供を完了しておらず、売上として認識していない金額を指します。
この数字は、契約上は販売済みである一方、Amazonがまだ提供していないクラウド利用契約の規模を示します。受注残が前年同期比で3桁の伸びを続ける一方、Amazonが現在の需要をすべて満たせないと説明していることは、契約の増加速度が、その履行に必要なデータセンターやチップの整備速度を上回っていることを示しています。企業の購買担当者にとっては、競争力のある価格と容量を複数年契約で確保できる余地が狭まりつつある可能性を示す情報です。
●Amazonは2027年の需要を満たすのに十分なクラウド容量を確保できるのでしょうか?
ジャシーCEOの2026年第2四半期決算説明会での発言に基づけば、おそらく十分には確保できません。CNBCが報じたところによると、同氏は需給の不均衡が2027年にも続くと予想し、2028年についても、すでに寄せられている需要は「目を見張るものだ」と述べました。
Amazonは2027年末までに電力容量を2025年比で倍増させる計画を進めていますが、2027年に計画されている容量の大部分はすでに予約されています。複数年のAWS契約をまだ結んでいない組織にとって、契約されていない利用可能容量がすでに限られている可能性があります。
●なぜAmazonは2026年の設備投資を2000億ドルから2200億ドルに引き上げたのですか?
CNBCによる決算説明会の報道では、ジャシーCEOは具体的な理由としてメモリコストの上昇を挙げました。AIアクセラレータで使用される広帯域メモリ(HBM)は、メモリメーカーがAIデータセンター向け製品から、ウェハー当たりでより多くの収益を得られるため、製造能力が従来型DRAMからAIデータセンター向けへ振り向けられています。
この供給構造の変化によって2026年のメモリ契約価格が大幅に上昇し、Amazonの予想インフラ費用を約200億ドル押し上げました。Amazonのカスタムチップ「Trainium」戦略は、この影響を部分的に抑えることを目的としています。ただし、サーバー向けメモリ市場全体は、依然として同じ供給制約の影響を受けます。
●Amazon Trainiumとは何ですか?また、大規模な環境で実際にコストを削減できるのでしょうか?
Trainiumは、Nvidia GPUの代替としてAIモデルの学習や推論処理を実行するためにAmazonが開発した独自のAIアクセラレータです。TechTimesによるAWSのシリコン戦略に関する過去の報道によると、現行世代のTrainium3はTSMCの3ナノメートルプロセスで製造されています。サードパーティーの分析では、Nvidiaの上位ラックスケールシステムに匹敵する演算性能を、約50%低い総所有コストで実現するとされています。
AWSの営業利益率は、設備投資計画が引き上げられるなかでも、前年同期の32.9%から2026年第2四半期には39.4%へ上昇しました。650ベーシスポイントの改善です。この利益率上昇は、Trainiumを含む独自インフラ戦略がコスト面の成果につながっている可能性を示す有力な材料です。
一方、Trainiumの利点を得るにはAmazon独自のNeuron SDKを利用する必要があります。NvidiaのCUDAを前提とする既存のAIワークロードを持つ企業には、ソフトウェアの移植や移行に伴うコストが発生します。このため、コスト面の利点だけで移行を判断することはできません。
元記事: AWS Backlog Hits $496B as Amazon Raises AI Spend to $220B and Capacity Runs Short
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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