【決算分析】米アップルの4-6月期は過去最高も株価下落―Mac供給不足と次期見通しが重荷に

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Appleが発表した2026年度第3四半期(4-6月期)決算は、MacやiPhoneの好調により記録的な増収増益となった。しかし、第4四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったことや、深刻化するサプライチェーンの制約が懸念され、株価は時間外取引で下落した。AI需要に牽引されたメモリ価格の高騰と先端半導体の生産能力逼迫により、Macの供給不足は少なくとも年末まで続くとみられ、9月の発売が予想される「iPhone 18」の価格にも影響が及ぶ可能性がある。
■記録的な決算でも株価が下落した理由
Appleは水曜日に発表した2026年度第3四半期(4-6月期)決算で、ほぼすべての製品ラインにおいて4-6月期として過去最高を更新した。売上高は前年同期比16%増の1094億ドル(約17兆3900億円、1ドル=159円換算)、純利益は298億ドル(約4兆7400億円)、希薄化後1株当たり利益(EPS)は同29%増の2.02ドル(約321円)だった。Macの売上高は同29%増の104億ドル(約1兆6500億円)と、4-6月期として過去最高を記録した。iPhoneの売上高も同22%増の543億ドル(約8兆6300億円)に達し、同じく4-6月期として過去最高となった。売上高はLSEGがまとめた市場予想の1086億5000万ドルを余裕を持って上回り、EPSも市場予想の1.89ドルを6%以上上回るなど、数字は明確に好調だった。
それにもかかわらず、同社の株価は木曜日の時間外取引で6%以上下落し、金曜日の市場前取引では約7.7%安の約307.87ドルまで売り込まれた。市場が反応したのは、発表された実績ではなく、今後の見通しだった。Appleが示した第4四半期(7-9月期)の売上高成長率の見通しは前年同期比9〜11%増にとどまり、LSEGのコンセンサス予想である12%増を下回った。7-9月期の粗利益率は47〜48%になると予想されている。これには関税還付による約1ポイントの押し上げ効果が含まれるが、それでも4-6月期の50.1%から低下する見込みだ。
さらに、2部門の予想未達が失望に拍車をかけた。投資家が利益率の高さという観点から特に注視しているサービス部門の売上高は307億4000万ドルで、アナリスト予想の312億2000万ドルに届かなかった。iPadの売上高も61億9000万ドルと、予想の69億2000万ドルを下回り、前年同期比で約6%減少した。これらの予想未達に加え、第4四半期の見通しもアナリストの予測を下回ったことから、市場は「上振れは確かなものの、決算の内容は見た目ほど強くない」と判断した。
■「需要予測の問題」が意味するもの
決算説明会でティム・クックCEOは、供給問題について、Appleが過去に使ってきた一般的な「サプライチェーンの制約」という表現よりも踏み込んだ説明を行った。「根本的な原因は通常の供給問題ではない」と同氏は述べた。「需要予測の問題だ。iPhoneもMacも我々が考えていた以上に非常に好調であり、もともと我々の期待も高かった」
この説明は、問題が生じた仕組みを明らかにしている点で購入者にとって重要だ。工場が操業を停止したわけでも、輸送ルートが機能しなくなったわけでもない。AppleはiPhoneとMacに対して高い需要を見込み、それを前提にサプライチェーンを構築したが、実際の需要はそれでも供給を大きく上回った。
クックCEOはアナリストに対し、「我々の期待が低かったわけではない。iPhoneが22%増、Macが29%増という並外れた数字を見れば分かるように、サプライチェーンの柔軟性が通常よりも低くなっている」と語った。Appleは需要に対応するため、将来分の供給を前倒しして確保してきたが、短期的にサプライチェーンから得られる供給量の限界に達したことも認めた。
実際の影響として、Mac miniやMac Studioの納期がすでに長期化している購入者は、一部構成で数カ月待ちとも報じられている状況が、少なくとも年末まで続くと見込んでおく必要がある。
■供給を圧迫する2つの要因
クックCEOは、Apple独自のシステム・オン・チップ(SoC)の生産に使われる先端プロセスノードの供給能力を、主要な技術的ボトルネックとして挙げた。これは、すでにMacやiPadの値上げにつながっている広範なメモリ不足とは別の問題だが、両者は関連している。
この2つの問題が同時に起きている理由を理解するには、その基盤となる技術を見る必要がある。2024年以降、半導体業界の関心と供給能力を引きつけてきたAIインフラの構築には、高帯域幅メモリ(HBM)が用いられる。これはMacBookやiPadに搭載されているLPDDR5Xメモリとは根本的に異なるアーキテクチャだ。HBMでは複数のDRAMダイを垂直に積層し、シリコン貫通電極(TSV)と呼ばれる数千本の微細な銅製経路で接続する。さらに、CoWoSと呼ばれるパッケージング技術を使い、積層したメモリ全体をAIプロセッサに直接実装する。その結果、従来型メモリのバス幅が32〜64ビットであるのに対し、HBMでは1024ビットとなり、現代の大規模言語モデルを処理するAIアクセラレータに必要な帯域幅を確保できる。
製造能力の配分という点ではゼロサムとなる。1GBのHBMを製造するには、1GBの従来型LPDDR5Xメモリを製造する場合の約3倍のシリコンウェハー生産能力を必要とする。Samsung、SKハイニックス、MicronがNVIDIAのAIアクセラレータ向けHBMにウェハーを割り当てるほど、MacやiPhoneに搭載するメモリの生産に使えるウェハーは減少する。調査会社IDCはこれを構造的な再配分と表現している。データセンターが消費するメモリチップの割合は、2022年の時点では全生産量の20〜30%だったが、2026年には約70%に達すると予想されている。
もう1つの圧力は、TSMCの先端ノードの生産能力だ。すべてのMacに搭載されているMシリーズプロセッサ、すなわちAppleシリコンは、TSMCの最先端プロセスノードで製造されており、現在の3nmから2nmへの移行が進んでいる。TSMCのC.C.ウェイCEOは2026年6月の年次株主総会で、AIチップの供給は「何年にもわたって」需要に「追いつかない」と述べ、需要の伸びを「異常だ」と表現した。先端ノードの生産能力は少なくとも2027年まで完売していると報じられている。Appleは現在、同じTSMCのノードを利用して独自のAIチップを設計するNVIDIA、AMD、Google、Meta、Microsoftと生産枠を争っている。Appleは歴史的にTSMCの最大顧客であり、現在も相応の優先割り当てを受けているが、生産能力がすべて埋まった環境では、その優位性も影響を和らげるにとどまり、供給制約を完全に免れさせるものではない。
■「100年に一度の洪水」とメモリ価格の高騰
クックCEOはAppleのコスト状況について、異例なほど率直に語った。「価格については、ご存じの通り、我々は不本意ながら値上げした」と同氏は述べた。「その理由は、メモリ価格が指数関数的に上昇する、いわば『100年に一度の洪水』とでも表現すべき状況にあるためだ」
Mac購入者を取り巻く価格環境を見ると、メモリコストは過去3四半期連続で上昇している。クックCEOは、7-9月期にはAppleが支払うメモリコストがさらに高くなるとの見通しを示した。このコスト増の一部は、Appleがすでに確保している在庫や、メモリ以外の部品でのコスト削減によって相殺される。しかし、差し引きではハードウェアの利益率に対する下押し圧力がさらに強まる。
「100年に一度の洪水」という表現でさえ、この問題の構造的な性質を控えめに表している。DRAM市場はSamsungが世界売上高の約38%、SKハイニックスが約29%、Micronが約22%を占める3社寡占の状態にある。その市場集中度を示すハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)は約2838で、米国の反トラスト規制当局が「高度に集中した市場」と判断する目安である2500を大きく上回る。
クックCEOが市場に対して「主要3社以外にも供給元を広げる」よう求めたのは、2026年6月にカリフォルニア州で提起された連邦集団訴訟が進行する中でのことだった。この訴訟では、同じ3社が意図的な供給制限で協調し、従来型DRAMの価格を4年間で約700%上昇させたと主張されている。これは現時点では法的な申し立てにすぎないが、仮に立証されれば、この「洪水」の一部が人為的に作り出されたことになる。
■第4四半期の見通しと次期iPhoneへの影響
消費者にとって、このガイダンスは直接的な影響を持つ。ケバン・パレクCFOは、第4四半期(7-9月期)のiPhone売上高が前年同期比で10%台半ばの成長になるとの見通しを示した。一方、為替変動は前四半期比で約2.5ポイントの逆風になるという。
9月の発売が予想され、iPhone 17世代よりも価格が高くなると広く見込まれている「iPhone 18」は、ターナス新体制における最初の主要製品となる。複数のアナリストはすでに、iPhone 18 Proモデルの小売価格が100〜200ドル上昇すると予測している。
TechInsightsのDRAMコストモデルによると、iPhone 17 Proに搭載される12GBのDRAMパッケージのコストはAppleにとって約39ドル(約6200円)だが、iPhone 18 Pro向けの同等パッケージは約145ドル(約2万3100円)になると予測されている。同じメモリ構成で272%のコスト増となる計算だ。クックCEOはiPhone 18の価格には言及しなかったが、Appleが過去3四半期にわたり、より高いメモリコストを支払ってきたことは認めた。
Macについては、供給制約を受けて、Appleはすでに大容量メモリを搭載したMac Studioの一部構成の販売を終了している。クックCEOは、こうした状況が短期間では解消されないことを示唆した。今後3〜4カ月以内にMacの購入を検討している人にとって、水曜日の決算説明会から読み取れる実用的な見通しは、製品の入手しやすさが2026年の大半より改善するのではなく、むしろ悪化するということだ。
■アナリストの評価は二分
水曜日の決算説明会を受けたアナリストの評価は、Appleが6月にMacとiPadを値上げして以降、それぞれが示してきた立場に沿って明確に分かれた。
Bank of America、Goldman Sachs、Morgan Stanleyの強気派は、供給制約によって売上が失われるのではなく、計上時期が先送りされるだけだと主張している。流通在庫が少なく、買い替え可能なユーザーが過去最多となっていることから、iPhone 18の発売サイクルに向けて有利な環境が整っているという見方だ。その根底にあるのは、需要が弱まったのではなく、Appleが需要を満たすだけの速さで製品を供給できていないという考え方である。供給が正常化すれば、それがいつになるにせよ、受注残は売上へと転換される。
一方、Barclaysなどの弱気派は、サービス部門の減速と中国市場の不安定さを構造的な逆風として指摘している。中華圏の売上高は188億ドル(約2兆9900億円)で、予想の195億ドルを下回った。これは、Appleにとって競争が最も激しい地域市場における圧力を反映している。Appleで最も利益率の高い事業であるサービス部門も、アナリスト予想を約5億ドル下回った。この未達は半導体不足では説明できない。
Bloomberg Intelligenceのアナリストであるシュリ・レン氏は、より楽観的な見方を示した。供給不足は2026年第2四半期にピークを迎えた可能性があり、新たなメモリ生産能力が稼働することで、2028年までに状況が緩和する可能性があるという。ただし、この見方は、2027年が半導体業界史上最悪の供給不足の年になるとしたSKハイニックスの2026年7月の予測とは対立している。
■複雑な局面で迎える経営トップの交代
水曜日の決算説明会には、ティム・クック氏がAppleのCEOとして四半期決算説明会に出席する最後の機会という、もう1つの重みがあった。クックCEOは、9月1日付で正式にCEOに就任する後継者のジョン・ターナス氏を称賛した。
「移行は極めて順調に進んでおり、ジョンが新たな役割に就いてAppleを次の時代へ導くことを、心から楽しみにしている」とクックCEOは述べた。「彼は本当に唯一無二の存在であり、会社の舵取りを任せるのに彼以上の人物はいない」
Appleに25年間在籍し、3月のAppleイベントで発表された「MacBook Neo」を主導したターナス氏は、現在Appleが販売するすべての主要製品ラインでハードウェアエンジニアリングを率いてきた。決算説明会では、OpenAIやSpaceXを含む企業が開発するAIネイティブデバイスとの競争について質問を受けた。
「この分野で起きているあらゆることは、我々に非常に多くの機会をもたらす」とターナス氏は述べた。「我々は自分たちの計画に集中しており、それを非常に楽しみにしている」
決算説明会の数日前には、Appleの経営移行に対する楽観論から、同社の時価総額が初めて一時5兆ドル(約795兆円)を突破し、NVIDIAを抜いて世界で最も時価総額の大きい企業となった。しかし、水曜日に示されたガイダンスによってその関係は再び覆り、Appleの時価総額はNVIDIAを下回った。
第4四半期の供給制約が、好調な需要サイクルに一時的な上限を設けるだけなのか。それとも、AI時代のメモリを巡る経済構造と長期的に向き合う始まりになるのか。この問題は、ターナス新体制にとって最初期かつ最も重要な試練の1つとなるだろう。
Appleは10月下旬に2026年度第4四半期の決算を発表する予定だ。
■注目ポイントQ&A
●記録的な決算を発表したのにAppleの株価が下落したのはなぜですか?
第3四半期の売上高と1株当たり利益は市場予想を上回りましたが、第4四半期の売上高成長率の見通しが9〜11%増にとどまり、アナリスト予想の12%増を下回ったためです。利益率の高いサービス部門の売上高が307億4000万ドルと予想の312億2000万ドルに届かず、iPadの売上高も61億9000万ドルと予想の69億2000万ドルを下回りました。投資家は、記録的な四半期業績には比較対象の有利さや関税関連のタイミングによる効果も含まれており、今後も同様の力強い業績が続くとは限らないと判断しました。
●Macの供給状況や価格はいつ改善しますか?
2026年中の改善は見込みにくく、2027年も厳しい状況が続く可能性があります。Appleのガイダンスでは、第4四半期に供給制約が悪化するとされています。構造的な原因として、AIデータセンターへのメモリ生産能力の再配分と、AIチップ需要を満たすためTSMCの先端ノードの生産能力が少なくとも2027年まで完売していると報じられていることが挙げられます。SKハイニックスは2026年7月、2027年が半導体業界史上最悪の供給不足の年になると予測しました。一方、Bloomberg Intelligenceは、新たな生産能力の稼働に伴い2028年までに状況が緩和する可能性があるとみていますが、これは少数派の見解です。
●メモリ不足の影響で「iPhone 18」は「iPhone 17」より高くなりますか?
Appleは価格を正式に発表していませんが、現時点で入手できる情報からは、値上げの可能性が極めて高いとみられます。ティム・クックCEOは決算説明会で、Appleが過去3四半期にわたり上昇するメモリコストを負担しており、第4四半期にはさらに高くなると予想していることを明らかにしました。TechInsightsの推計では、iPhone 18 ProのDRAMパッケージのコストは約145ドルとなり、iPhone 17 Proの同等パッケージの約39ドルから272%上昇すると予測されています。JPMorganは小売価格が約50〜100ドル上昇すると予測している一方、TechInsightsは利益率を維持するには約270ドルの値上げが必要になると試算しています。予測の幅は大きいものの、値上げの方向性についてアナリストの見方は一致しています。
●Macの購入を検討している場合、供給悪化の見通しを受けて今どうすべきですか?
最も明確な現実的選択肢は、供給状況の改善や価格の正常化を待つのではなく、現在入手できる在庫を購入することです。Appleのガイダンスでは、次の四半期に供給面と価格面の状況が改善するのではなく、悪化するとされています。必要な構成ですでに納期が長期化している場合は、Appleの整備済製品ストアや正規販売店を確認すると、Appleの通常のオンラインストアには表示されていない在庫が見つかる可能性があります。購入を先送りできる場合でも、供給状況が改善し始めるのは早くても2027年後半と予想されています。そのため、少なくとも今後12〜18カ月は、高い価格と限られた在庫が続く可能性を受け入れる必要があります。
元記事: Apple Q3 2026 Earnings: Record Revenue, Worsening Mac Supply, and a Below-Consensus Q4 Outlook
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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