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エス・エム・エス創業者諸藤周平氏が、10年でCEOを去った理由
エス・エム・エス(2175、東証プライム市場)。介護・医療業界向け人材紹介サービス最大手。介護業者向け経営支援も展開。海外事業に積極姿勢(13カ国)。
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エス・エム・エスにそもそも興味を持ったのは、創業者:諸藤周平氏の姿勢だった。九州大学を卒業後、キーエンス(6861)/ゴールドクレスト(1782)を経てエス・エム・エスを2003年設立。2008年に東証マザーズ(2011年東証1部)上場を実現した。そして2014年にCEOの職を辞した。その間、13期連続の増収増益。何故?。残された文献を追うと、創業3年目にこんな発言を残している。
「100年超の存続企業にするためには、創業者が長く続けるのはよくない。10年目には代表を降りることを決めた」。
その限りでは、起業家・上場企業CEOの歴史を振り返っても必ずしも少くはない。膨らんだ創業者資産が背景としてある。が、そうした起業家・創業者がシリアルアントレプレナー(連続起業家)となっているケースは稀。諸藤氏は退任後、シンガポールでREAPRA(事業投資企業。新たな事業創造をミッションとする企業)を設立している。
エス・エム・エスは、100年企業への道を着実に歩んでいる。昨今の収益動向にも見て取れる。
今26年3月期計画「10.8%増収(675億4400万円)、15.0%営業増益(72億8700万円)」を含む5期間の平均収益動向は、「13.5%増収、7.18%増益」。22年3月期に1円増配10.5円配だった配当は、前期28.5円配となっている。この間、25年3月期は12.9%増収も23.4%営業減益。
「介護・医療従業者のキャリアパートナーの積極採用」「広告宣伝費投下」など、増収・増益体制拡充のコスト投資は不可欠。
加えて当該期は、積極姿勢を続けている海外部門の頭を抑える要因もあった。「一時的なビザ発給の停止」「中東情勢の変化」など、政治的・地政学的リスク。がそれでも売上高は前年比4.3%増(93億8500万円)と、創業者:諸藤氏の「アジア・オセアニア13カ国で医療情報サービス事業を手掛けるMIMSグループの買収」などの置き土産に端を発する海外戦略の深耕は進んでいる。
本稿作成中の株価は1500円台終盤。今期の配当は未定としているが手元の四季報は、「増配含み」の予想。年初来高値ゾーン。過去9年8か月余りの修正済み株価パフォーマンスは24%水準。ただIFIS目標平均株価は1700円余。「100年企業」視野に押し目待ちで中長期構えの対応が賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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