ビックカメラの新事業進出法:アクセラレーターに感心する

2025年8月31日 17:41

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 ビックカメラ(3048、東証プライム市場)。家電量販店大手。ターミナル駅近くの店舗軸にECも展開している。

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 市場環境に左右される面も否定できない。2023年8月期などは、その典型例。新会計基準適用の2年度目。2.9%増収も「20.4%営業減益」を余儀なくされた。ゲームなど、その他商品の好調で増収確保も、増収牽引商品群の粗利益率の低さや人件費増で販管費増加を受け大幅減益となっている。

 しかし総じて見ると、しっかりの展開を示している。前24年8月期の「13.1%増収、71.6%増益、18円増配33円配」に続き今期も、期中の上方修正を経て「4.9%増収(9680億円)、27.1%増益(310億円)、7円増配40円配」計画。第3四半期までに積み重ねた実績は「7299億200万円、245億1500万円」。

 至29年8月期の中計も「グループ(ビックカメラ+コジマカメラ+ソフマップ)売上高:1兆1000億円(24年8月期比19%強増収)、営業利益:400億円(65%強増益)」を掲げている。

 「しっかり」の背景に関しては諸々指摘されているが、私は大きな要因として「提携戦略による新業態の展開」と捉える。知られたところでは「酒類販売」があるが、昨年夏には『日本調剤(3341、東証プライム市場)、ビックカメラとコジマの計35店舗でOTC医薬品プライベートブランド「SCOINS PHARMA」を販売開始』と題するリリースが発信された。OTC医薬品の泣き所?は定価。これを提携でPB品を開発し提供するのは、双方にとり一つの抜け道?・・・

 私は高坂勲氏が興したGOOPASSという企業を取材した際、ビックカメラの巧みな新業態開発の枠組みを知った。

 GOOPASSは2500種類以上の撮影機材(カメラ・レンズ・ドローン)の、サブスク型レンタルサービスを展開している。売り場は「喉から手が出るほど」欲しい。

 ビックカメラに的を絞って交渉をした。勝算はあった。ビックカメラは在庫を抱えるような新事業は「ノーサンキュ」。サブスク型レンタルなら、クリアできる。ビックカメラは2017年に同社の新規事業の施策『ビックカメラアクセラレーター』として、提携に踏み切った。双方にとり「ウィンウィン」。

 ビックカメラの本稿作成中の時価は1600円台入り口。年初来高値1760円(1月)から安値1354円(4月)まで調整し、戻り場面ではある。がIFIS目標平均株価は1593円。

 算出者の4人が全員中立構え。当面は押し目待ち姿勢が賢明か。過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは53%強を勘案し待てば海路の日和ありか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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