ファンデリー、26年3月期は大幅増収・黒字転換予想、リテール販売拡大を加速、株価は調整一巡感強める

2025年5月20日 07:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ファンデリー<3137>(東証グロース)は、健康冷凍食「ミールタイム」宅配のMFD事業、ハイブランド冷凍食「旬をすぐに」のCID事業、周辺領域のマーケティング事業を展開し、ヘルスケア総合企業を目指している。CID事業は収益改善に向けてスーパーマーケット等でのリテール販売強化を加速させている。25年3月期は減収・赤字だった。マーケティング事業で獲得を見込んでいた大型案件の失注などが影響した。26年3月期は大幅増収・黒字転換予想としている。MFD事業はミールタイム価格改定効果、CID事業はリテール販売拡大加速と価格改定効果、マーケティング事業は受注拡大を見込んでいる。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は動意づいた4月の高値圏から急反落したが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■ヘルスケア総合企業を目指す

 企業理念のビジョンに「豊かな未来社会」の実現を掲げ、健康冷凍食「ミールタイム」宅配のMFD(Medical Food Delivery)事業、20年7月開始したハイブランド冷凍食「旬をすぐに」宅配のCID(Cooking Immediately Delivery)事業、周辺領域のマーケティング事業(食品メーカー等の企業向けマーケティング支援サービス)を展開している。

 25年3月期のセグメント別業績(調整前)は、MFD事業の売上高が19億70百万円で営業利益が2億90百万円、CID事業の売上高が1億02百万円で営業利益が3億89百万円の損失、マーケティング事業の売上高が3億91百万円で営業利益が2億69百万円だった。

 成長戦略としてヘルスケア総合企業を目指し、23年3月には低栄養・フレイル・サルコペニアの予防・対策に関して、医師による食と健康法をアドバイスするWebメディアを開設した。一人暮らし高齢者、生活習慣病患者、食事制限対象者の増加などで健康食宅配市場は拡大基調だろう。

■健康冷凍食「ミールタイム」宅配のMFD事業

 MFD事業は、健康冷凍食(冷凍弁当)の通販カタログ「ミールタイム」を医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から注文を受けて宅配する。製造は外部に委託している。従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。

 全国の医療機関や調剤薬局など約2万カ所の紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」「たんぱく質調整食」「ケア食」そして「パワーアップ食」など多様な健康食の開発やカウンセリングを強みとして、栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。製造は外部に委託している。

 25年3月期末のアクティブ会員数(過去1年以内に1回以上購入した会員数)は前期末比2000人増の2万6088人、アクティブ会員の月間ARPUは523円減の1万4480円、定期コース会員数は113人減の5971人、紹介ネットワークは486箇所減の1万9212箇所となっている。

 なお医療機関・調剤薬局向け「ミールタイム・ポータル」を25年3月にスタートし、DXを推進している。また原材料費等の高騰に対して「ミールタイム」の一部商品価格改定も実施(25年3月、25年6月)している。

■ハイブランド冷凍食「旬をすぐに」のCID事業

 ハイブランド冷凍食「旬をすぐに」宅配のCID事業は自社工場(埼玉工場)で製造する冷凍食の製造小売事業である。健康な身体はバランスの良い食事からという考えのもと、食の安心・安全にこだわり、国産食材100%であること、健康被害の恐れのある67種類の食品添加物を使用していないこと、食材ごとに異なる最適な加熱温度特許技術で1℃単位のコントロールを行っていること、冷凍工学に基づいた究極の特許冷凍技術で-70℃の瞬間凍結を行っていることなど、従来の冷凍弁当とは一線を画すクオリティの高さを特徴としている。

 管理栄養士が考えた栄養バランスや、特許加熱・冷凍による美味しさが特徴のメニュー構成である。コスト面では全国の生産者で構成する「旬すぐ共栄会」を通して、栄養価の高い旬の食材を収穫量が多く価格が下がる時期に仕入れる。商品力強化の面では21年12月に「AI旬すぐ」サービスを開始、21年1月に新ブランドPREMIUMシリーズを販売開始、22年12月に最高峰ブランド「SUPER PREMIUM」シリーズを創設した。商品構成変化による平均単価上昇も期待される。

 24年3月にはNTT東日本グループのNTTアグリテクノロジーとの協業を発表した。最先端農業ハウスで収穫した規格外の野菜を使用してコラボ商品を製造・販売する。24年6月には小売店舗での販売を開始した。その後、スーパーマーケットでのリテール販売強化に向けて販路を積極的に開拓しており、25年4月にはイオングループ、ライフコーポレーション、オオゼキ、クイーンズ伊勢丹、三浦屋、コープデリグループ、エイチ・ツー・オー・グループのイズミヤおよび阪急オアシス、ユニバース、ナリタヤ、魚長、コープさっぽろ、イオングループの九州エリア、ドラッグストアmac、25年5月には近商ストア、Celestとの取引開始を発表するなど、スーパーマーケット等でのリテール販売強化を加速させている。

 なお、原材料費等の高騰に対して一部商品価格改定(ECサイト向け商品は25年7月受注分より、小売店向け商品は25年9月納品分より)を実施する。

■周辺領域のマーケティング事業

 マーケティング事業は健康食宅配サービスから派生した周辺事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などを展開し、収益源の多様化を推進している。

■健康意識を高めるための「らくだ6.0プロジェクト」

 日々の食事において塩分摂取量を適正に保つことの重要性を啓蒙し、日本全体の健康意識を高めるための「らくだ6.0プロジェクト」も展開している。賛同企業として24年4月にイカリソース、24年5月に恩地食品、寿がきや食品、マエカワテイスト、もり、通宝、24年6月に大森屋、浅利佐助商店、24年9月に一正蒲鉾、オタフクソース、24年10月にカルビー、24年11月に山崎製パン、カゴメ、24年12月にはくばく、亀田製菓、大塚食品、25年2月に敷島製パンが新規加入し、25年2月末時点の賛同企業は46社、認定商品は110品となっている。

■25年3月期は減収・赤字、26年3月期は大幅増収・黒字転換予想

 25年3月期の業績(非連結)は売上高が前期比6.9%減の24億64百万円、営業利益が1億33百万円の損失(前期は58百万円)、経常利益が1億82百万円の損失(同55百万円)、そして当期純利益が1億83百万円の損失(同66百万円)だった。

 計画(24年4月30日付公表の期初計画値、売上高30億72百万円、営業利益62百万円、経常利益20百万円、当期純利益19百万円)を下回り減収・赤字だった。MFD事業とCID事業の販売が伸び悩んだほか、マーケティング事業で獲得を見込んでいた大型案件の失注などが影響した。

 MFD事業は売上高が4.6%減の19億70百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が10.5%減の2億90百万円だった。定期購入顧客数の減少や仕入価格高騰などにより減収減益だった。なお期末の定期コース会員数は前期末比113人減の5971人と減少傾向が続いているが、アクティブ会員数は2000人増の2万6088人と回復傾向である。また紹介ネットワーク数は486箇所減少して1万9212箇所となった。

 CID事業は売上高(セグメント間の内部売上高含む)が36.1%減の1億56百万円、利益が3億89百万円の損失(24年3月期は3億23百万円の損失)だった。前期の販売数を下回り、損失拡大した。なお期末時点のリテール販売新規導入店舗数は384店舗となった。

 マーケティング事業は売上高が17.7%減の3億91百万円、利益が21.2%減の2億69百万円だった。第4四半期に獲得を見込んでいた大型案件の失注などが影響した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高5億84百万円で営業利益48百万円の損失、第2四半期は売上高5億80百万円で営業利益79百万円の損失、第3四半期は売上高7億05百万円で営業利益38百万円、第4四半期は売上高5億94百万円で営業利益43百万円の損失だった。

 26年3月期の業績(非連結)予想は売上高が前期比21.5%増の29億92百万円、営業利益が86百万円(前期は1億33百万円の損失)、経常利益が28百万円(同1億82百万円の損失)、そして当期純利益が26百万円(同1億83百万円の損失)としている。

 セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が10.0%増の21億67百万円で営業利益(全社費用等調整前)が9.5%増の3億18百万円、CID事業の売上高(セグメント間の内部売上高含む)が154.2%増の3億98百万円で営業利益が2億85百万円の損失(前期は3億89百万円の損失)、マーケティング事業の売上高が32.9%増の5億20百万円で営業利益が42.9%増の3億85百万円としている。

 大幅増収・黒字転換予想である。MFD事業はミールタイム価格改定効果(米を使用している商品を中心に25年6月1日注文分より改定)、CID事業はリテール販売拡大加速と価格改定効果(ECサイト向け商品は25年7月受注分より、小売店向け商品は25年9月納品分より、すべてのカテゴリを対象に平均11.3%値上げ)、マーケティング事業は受注拡大を見込んでいる。CID事業のリテール販売新規導入店舗数は第1四半期時点で817店舗となっており、第2四半期には3000店舗への導入を目指す。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度を導入

 24年12月に株主優待制度導入を発表した。毎年3月31日現在で100株(1単元)以上保有株主を対象として、ハイブランド冷食「旬をすぐに」にて利用できるお食事クーポン券を、保有株式数に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。

 また25年1月に「ファン株主2万人構想」を発表した。ファンコミュニティ構築に向けて、株主試食会イベントの実施、株主優待制度の開始、株主アンケートの実施、管理栄養士による健康セミナー(株主懇親会)、流通株式比率増加への取り組みなどを推進する。

■株価は調整一巡

 株価は動意づいた4月の高値圏から急反落したが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。5月19日の終値は428円、今期予想PER(会社予想のEPS4円23銭で算出)は約101倍、前期実績PBR(前期実績のBPS35円03銭で算出)は約12倍、そして時価総額は約28億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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