ビル再開発の流れを享受する、ビル空調計装工事大手:日本電技

2025年5月12日 15:37

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 日本電技(1723、東証スタンダード市場)。ビルの空調計装工事大手。工場の搬送ライン用などの自動制御システムも手掛けている。覗いて見ようと思ったのは不動産専門紙の記者の「都市圏のビルの再開発は関連業者の収益を押し上げている」という見方だった。久しぶりに日本電技の名前が頭に浮かんだ。

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 確かに恩恵を堪能している収益の推移だった。2023年3月期は「8.3%増収、10.5%営業増益、38円増配152円配」。そして前24年3月期も「13.4%増収(388億9400万円)、38.8%営業増益(62億4800万円)、32円増配184円配」。

 今期計画も「6.7%増収、0.8%営業減益」で始まったが、昨年11月5日に「11.8%増収(435億円)、44.0%営業増益(90億円)、今年元旦付の1対2の株式分割を勘案すると実質236円配」に上方修正。第3四半期の実績は「261億7300万円、57億5300万円」。

 日本電技のここにきての収益増は、先の記者も指摘しているように空調計装関連事業が「首都圏再開発」効果であり、「半導体工場などの大型新設/既設工事」が想定以上に好調な点に求められる。加えて日本電技では先の上方修正の理由を「利益率改善効果」とし、好環境を堪能しうる体制の整備を示している。

 そうした上で長期展望の見直しを明言している。至25年3月期の中計は「売上高418億円(23年3月期比21.9%の増収)、営業利益75億(66.7%の増益)」だった。が今期の修正予想は双方を悠に上回る。

 そこで中計発表時に長期ビジョンとして掲げていた「28年3月期:売上450億円、営業利益80億円」を、「5月の今期決算発表時に(上方)修正する」というのである。

 業態柄「人件費の負担増」を効率化効果でカバーしながら、という次第だ。提携関係にあるアズビル(6845、東証プライム市場)の新製品効果も大きい。

 本稿作成中の株価は3900円台前半、予想税引き後配当利回り2.5%弱。ROE14.26%は目下、儲け環境に恵まれていることを示している。

 4月1日の年初来高値:4055円からトランプ関税ショックの相場の中で、4月7日に3065円まで急落後の着実な戻り歩調。好配当利回り享受も一法だが、中長期構えで新たに発表される28年3月期の長期ビジョンへの歩みを確認したい・・・という思いも湧く。ちなみに過去9年4カ月余りの修正済み株価パフォーマンスは4.6倍水準・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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