メインターゲット:後期高齢者急増、を反映したシルバーライフの中計

2025年4月12日 10:01

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 シルバーライフ(9262、東証スタンダード市場)。高齢者向け配食サービスのFC本部を運営。高齢者施設向け食材販売や冷凍弁当のOEM供給も手掛けている。

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 創業者社長の清水貴久氏と初めて会ったのは、かれこれ10年近く前になる。「群馬工場(1日4~5万食の冷凍食材を製造)から戻ってきたところで・・・」という清水氏と名刺の交換をした。

 代表取締役社長の肩書と並んで、「調理師」の3文字が鎮座していた。「???」とした顔つきの私に「国家資格です・・・でも7教科のペーパー試験に通ればOK・・・資格がなくても業務用の料理は作れるんですよ」と言って、ニコリと微笑んだことをいまでも記憶している。

 収益動向は堅調。コロナ禍に晒された2021年7月期/22年7月期こそ「営業減益」を余儀なくされたが、以降は「19.3%/14.7%の営業増益」。そして今25年7月期は「7.0%の増収(145億円)、10.6%の営業増益(8億5000万円)、1円増配16円配」計画。そして中間期予想を「原価率/運送負担改善効果」で、上振れ修正。ただ通期は「コメ価格など原材料費の上昇懸念」を理由に、慎重に判断し据え置いた。

 ただ今後についても「堅調」を示唆している。至28年7月期の中計では「売上高180億円(24年7月期比37.4%増収)、営業利益12億円(57.9%営業増益)」を掲げているが、営業利益率は5.8%から6.8%に上昇。その背景をシルバーライフでは「当社のメインターゲット:後期高齢者の急増」としている。単なる自社推定ではない。内閣府の「令和5年度版高齢社会白書」でも、こう示されている。

 <75歳以上の後期高齢者人口が、65歳~74歳人口を上回ったのは2018年(1860万人対1742万人)以降>

 <その差が加速すると予測されるのは25年以降(2155万人対1498万人)。65年には、2316万人/1197万人を予測している>

 後期高齢者を「メインターゲット」とするのなら、絶対員数の減少にどう対峙するか・・・という課題も残るが中計の2年後:2030年で見る限りは後期高齢者の絶対数は2261万人・・・18年の1860万人を依然大きく上回っている。

 後期高齢者⇔宅配弁当需要に関しては、実感している。私は齢75歳、同居人は73歳。2年近く前から「宅配弁当」を重宝している。

 調理師社長が率いるシルバーライフは、なかなか商売上手でもある。3月19日に「これ、本当に150円?、極めてお得に始める新食生活!お惣菜パック販売サイト『わけありおかず屋さん』をリリース!」と題するリリースを発信した。工場で作り過ぎた余り物を捨てずに急速冷凍し商品として活かす、というのだ。

 時価のROE10.83%は、そんな商売上手を映し出した結果ということか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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