3月4日杏林製薬の株価がNO1となった理由と、間質性肺炎治療薬への期待

2025年3月12日 12:43

印刷

 杏林製薬(4569、東証プライム市場、以下キョウリン)を覗いて見ようと思ったのは、3月4日の株価動向だった。ストップ高(300円高、21.79%上昇)の1677円で引けた。東証プライム市場で一番の値上がり率だった。

【こちらも】今期利益下方修正:インフロニアHD、理由をチェックすると興味深い事実も浮上

 上昇自体は、予想ができた。3日の引け後に『(スイス製薬大手の)ノバルティス社とのKRP-M223に関するグローバルライセンス契約締結について』を発表していたからだ。

 KRP-M223は一口で言うと「じんましんの治療薬候補。キョウリンの研究で浮上してきた。今後の治験を含めて開発はノバルティスが担う。承認後の国内販売権もノバルティスが有するがキョウリンには一時金として約82億円、最大で約1160億円が支払われるという内容だった。

 中堅製薬のキョウリンにとっては、一つのビジネススタイルである。キョウリンでは発表に際し、「収益への影響は精査中」とした。

 3月4日、改めて四季報を繰ってみた。キョウリンは「ぜんそく薬・呼吸器アレルギー薬が軸」とされ、業績欄の見出しは【連続増益】となっていた。そして特色欄に“間質性肺炎治療薬候補”KRP-R120の3相治験進む、25年度中のデータ解析終了見込む」とあった。

 昨年5月早々に二つ年下の弟が、入院僅か27日目に命を奪われた病である。

 「間質性肺炎は肺胞の間の組織(間質)に、炎症が起きた状態。軽症で済むケースもあるが、重症化もある。羅漢の要因は多種多様。(弟さんの場合は)原因が特定しきれない。従い治療法が判断できない。とにかく呼吸器を体内に入れ肺が硬くなる状態を回避しながら、原因の特定を進める・・・」と主治医から説明を受けたが、原因不明のまま逝去した。

 間質性肺炎の治療薬候補の3相治験クリアを、切に望む。

 キョウリンの収益動向は新会計基準に移行した2022年3月期後「7.3%増収、4.6%営業増益」「5.5%増収、13.5%営業増益」。そして今3月期な「2.3%増収、30.4%営業減益」で立ち上がったが、「3.2%の増収(1234億円)、4.3%営業増益(65億円)」予想に上方修正。

 本稿作成中の株価は1500円台終盤、予想税引き後配当利回り2.6%余。2月の年初来安値から冒頭に記した3月4日の高値をつけた後の、微調整場面。個人的には「間質性肺炎」治療薬の治験情報の出方を確認したい。がこんな課題も抱えている。時価の予想PBRは0.70倍にとどまっているのである・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事