今期・中計下方修正:駒井ハルテックの中村社長は、現状から決して身をかわさなかった

2025年2月21日 15:59

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 駒井ハルテック(5915、東証プライム市場)。鉄骨・橋梁の大手。超高層建築などに実績。風力発電に参入。

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 確かに大都市圏の再開発事業で超高層オフィスビル・官公庁庁舎・教育文化施設・大規模生産施設などで、鉄骨納入に幾多の実績を残している。東京都第一本庁舎然り。我が住処:埼玉合同庁舎/虎ノ門ヒルズ然り。数え上げていくと両手・両足の指の数を悠に超える。

 橋梁工事も同様。詳細は省くが「トラッククレーンベント工法」「ケーブルエレクション工法」「トラベラークレーンベント工法」「フローティングクレーン工法」等々、工事現場の状況に応じた工法で実績を積み重ねてきている。社会インフラの整備に貢献してきた(している)企業である。

 そんな駒井ハルテックの中村貴任社長がスピーカーを務める、「Zoomミーティングに参加しないか」という誘いを受けた。快諾した。是非、確認したいことがあったからだ。

 手元の四季報の業績欄は【一転減益】。収益動向をチェックした。今2025年3月期の期初計画は「27.8%減収、14.8%営業増益」。期中に「29.6%減収(390億円)、2億7000万円の営業損失」に下方修正。開示済みの第3四半期実績は「311億5400万円、3億7000万円の営業損失」。

そんなタイミングで中村社長がミーティングに登場するという。説明を耳にしたいと思うのは当然かと・・・

 参加申し込みと同時に、過去数期の収益をチェックした。

 コロナ禍の影響で受注減に晒された2020年3月期(97.2%の営業減益)以降の営業利益動向は「719.9%増益/231.0%増/79.1%減益」、そして前3月期は「128.9%増」。推移の数値を見る限り「前期の反動」という捉え方も浮かんでくる。

 23年3月期の決算資料は「橋梁の受注は前年度を下回り、鉄骨の受注量はほぼ横ばい。が激しい競争や建設資材の高止まりで・・・」、下方修正に晒された今期(第3四半期)は「橋梁の受注量は前年同期比を下回り、大型開発案件の見直し・延期で鉄骨の発注量の低下、材料費・人件費の高止まりで」としている。

 中村社長は、キッパリとした口調でこう語った。

 「受注・完工高が想定以上の後ずれ状態にある。加えてコスト増。“反動云々”ではない。厳しい。それが26年3月期の中計の(下方)修正にも反映されている」。

 トップ自らが直接「厳しい現状」を語りに登場してきたことに「風力発電への注力を含め今後を見守りたい」と、妙に感じ入った。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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