PayPay、担保・保証不要の「PayPay資金調達」開始 最短数分で入金

2024年3月28日 16:26

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PayPay資金調達の仕組み(画像:PayPayの発表資料より)

PayPay資金調達の仕組み(画像:PayPayの発表資料より)[写真拡大]

  • PayPay資金調達の申し込みフロー(画像:PayPayの発表資料より)

 コード決済サービスを手がけるPayPayは26日、将来のPayPay経由の売上を事前に受け取れるサービス「PayPay資金調達」の提供を開始すると発表した。最大100万円までの調達が可能で、担保や保証は不要。最短数分で受け取りできるという。加盟店向けに、PayPayの利用実績に応じた招待制サービスとして展開する。

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 PayPay資金調達は、融資や貸付ではない。加盟店の将来の売上金支払請求権をPayPayが買い取ることで、資金調達を行う仕組みだ。書類手続き不要で、加盟店専用の「PayPay for Business」のアプリかWebを通じて調達を申し込める。

 調達後は、精算として毎月の売上金から定率で一定割合が自動的に差し引かれる。売上金に応じて毎月の精算が変わり、少なければ精算も少なくなる。赤字月の支払は発生せず、それに伴う追徴などもない。

 調達可能な上限金額と精算割合は、PayPayが保有する決済・取引データを活用してAIが算出する。算出結果は加盟店によって異なり、申し込み時に算出された範囲内で、調達金額の設定や精算割合の選択をする形となる。また利用時には、資金調達額に対して3.0%~18.0%の手数料がかかる。手数料率は、調達金額と精算割合に応じて決まる。

 申し込みから受け取りまでのスピードが速いことも特徴だ。振込先がPayPay銀行の場合は、最短数分から翌営業日に受け取り可能。その他の金融機関でも、最短当日から3営業日目途に入金されるため、銀行融資などよりも早く調達できる。

 導入の背景には、中小事業者の突発的な資金需要がある。PayPayのサービス開始は2018年10月で、コード決済サービスの中では後発スタートだった。

 当初より中小事業者をメインにサービスを展開し、加盟店数は398万に到達(22年末時点)。その中で、突然の設備機器の故障や破損などによる資金需要がある実態を捉え、今回のサービス提供に至ったという。なおPayPayの登録ユーザーは、23年10月時点で6,000万人を超えている。

 3月19日、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを行った。緩和的な環境を継続するとし、現時点では大きな影響はないと見られているが、年内に追加利上げの観測もある。今後、中小事業者の資金繰りが難しくなると想定される中で、PayPay資金調達は資金需要を支えるサービスの1つになりそうだ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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